「カラマーゾフの兄弟」スメルジャコフは黙っていれば安泰なのになぜイワンに告白して自殺するのか。最大の謎をあえて設定した理由はなにか。ヨーロッパ主義を吹き込まれ、イワンを勘違いして崇拝していたがその誤りに気がついて絶望し首をくくる。崇拝が絶望に変わるとき、スメルジャコフのそれまで外に向けられていた異常な心理が自分に向かう。
「1Q84」のあの女性はなぜ突然姿を消して、その後全く登場しないのか。非現実の世界から必要な部分のみを切り取って前後の脈絡なくペタッと張り付けコラージュ的存在。作者村上は本来物語に筋などあっても無くてもいいんですよと言いたいのだ。
「海辺のカフカ」の父あるいは非現実的なサンダースは一体なにものなのか。これも「1Q84」のあの女性と同じセオリーで説明がつく。