グエル公園
2日目のバルセロナ観光は、ガウディの独創的な世界が広がるグエル公園へ向かった。地下鉄を乗り継いで中心部から住宅街へと移動したのだが、手元のガイドブックが混乱の原因に。1冊は徒歩15分、もう1冊は20分かかる駅を推奨しており、どちらが正しいか悩んだ末に、徒歩15分と記されていたVallcarca駅で降りることにした。
しかし、この決断は予想外の展開を迎えた。駅を降りた後に待っていたのは、写真のようにかなり急な坂道。途中にエレベーターがあって助かったものの、かなりの運動量で、登り切ると公園の一番上のエリアにたどり着き、そこからはバルセロナの街を一望できる素晴らしい眺めが広がっていた。ただ、ガウディのモニュメントが集まるエリアに行くためには、さらに坂を下らなければならなかった。
この経験から言えるのは、グエル公園へ向かうなら、地下鉄3号線のLesseps駅で降りる方が楽かもしれない。坂道を避け、もっとスムーズにガウディのエリアへアクセスできるはずだ
公園の中を下っていくと、ガウディらしいモザイクのベンチコーナーへ辿り着く。遠くにガウディのサグラダファミリアの塔や美術館の二本の塔が微かに見える。やってきたんだ!
後ろに見えるのは、波をモチーフにした廊下。大腸検査をするミクロの決死隊あるいはサーフィンで大波の真っ只中に。ガウディの作品は想像力を引き出してくれる。
これまた不思議な柱で波の吸い上げられる竜巻に見えた。この不思議な柱は崖の崩れるのを防ぐためとかの冷静な説明もあった。
グエル公園の入り口にガウディのデザインによるパビリオンの一つが。この建物はガウディの自然への愛と有機的な形状を強調するデザインの一例でおとぎ話の世界の外観を持っている。
屋根にはガウディのトレンカディス(壊れたタイルのモザイク技法)が施され、青と白の幾何学模様が面白い。曲線を多用したファサードや、頂上に立つ尖塔(タワー)はガウディの建築にしばしば見られるモチーフで遊び心あふれるデザインだ。トレンカディスはガウディを語るときに非常に大事なキーワードとなる。
グエル公園の建物の一部で特に屋根の部分を捉えたもの。ガウディによるデザインが際立っていると。この屋根は有機的な形状と、トレンカディス技法を活かした装飾で知られている。
屋根全体が地面から湧き出てきたかのように沸騰して波打つような曲線を描き、また一面ではカタツムリやキノコを連想させる。
タイルを割って作られたモザイク(トレンカディス)は白とグレーの菱形やカラフルな色彩が交互に並び、時間帯や天候によって異なる表情を見せる。
この建物はグエル公園の管理用として設計された。滑らかな曲線や石材を使用したファサードがガウディの典型的なデザインだ。モザイクタイルが窓の周りを飾るのがファンタジックでユーモラスだ。
この建物は公園の管理業務に利用されているが、訪れる観光客にとっても重要な見どころともなっている。
グエル公園にあるガウディの「ドラゴンの噴水またはサラマンダーの噴水」。青、白、赤、黄色のタイルが細かくランダムに割れて精妙に組み合わされ、鮮やかな色彩と複雑な模様でサラマンダーを浮き彫りにしている。「物事はよくみると真っ平なんてものはないよ」とガウディに言われているようだ。
中央に見えるドラゴン(またはサラマンダー ギリシア語で火の蜥蜴)は、カタルーニャの象徴ともいえる存在で、地元の伝説との結びつきが強い。その背後に見える赤と黄色の縞模様は、カタルーニャ州旗「セニェーラ」を表しているとか。
なんか似てるような。
花壇を抜けて、こんな鋳物で作られた手すりの階段を登っていくと。
ガウディの住居で「ガウディ・ハウス博物館」として知られている。この家は彼が晩年に約20年間住んだ場所であり、彼の建築に対する思想や生活様式をより深く理解するための貴重な資料となっている。ピンク色の外壁や装飾的に彫られた曲線が特徴で、窓枠やバルコニーの装飾は繊細さが際立つ。
ガウディはこの家で生活をしてサグラダファミリアやカサ・ミラ、カサ・バトリョを設計していた。彼の私生活や仕事に関する多くの資料がここに展示され、彼の思索の場であったことがうかがえる。ガウディの設計した家具や生活用品も展示されている。
入り口だったかな。鋳物の門が印象的だ。
出口かな。蝶のように見える鋳物の門がある。
「すごいね!」「全くすごい」少年とそんな会話を交わしているようなショット。
グエル公園は、ガウディの建築とデザインにおける創造力の集大成。スポンサーのグエル伯爵と理想的な分譲地を計画し60戸の住宅を建設、新しい都市モデルを提示することが目的だった。しかし立地がバルセロナ市内から離れていたためにプロジェクトは大失敗に終わった。ガウディとグエル伯爵の2軒だけが完成したことになる。後にバルセロナ市に寄贈され現在は公共の公園となった。
ガウディの革新的なアイデアは当時は理解されなかったことが明らかで、彼の有機的なデザインや曲線美は多くの人々には受け入れられなかった。作品は後の世代に評価され、現在ではユネスコの世界遺産に登録されるほどの文化的価値を持つようになった。
グエル公園の屋上広場にある長くうねったベンチ。トレンカディスを使ったモザイク模様でガウディの助手ジュゼップ・マリア・ジュジョールがさまざまな色や形のタイルを用いて遊び心のあるモザイクを作り上げた。知り合いのタイル工場や陶器工場などから廃棄されるタイルや陶器の破片を再利用しており、それを細かく砕いてモザイク状に組み合わせている。
石を固めた柱。間近にみると異様な迫力があル。
ねじり棒状の柱で支える。 石のかけらがつららのようにぶら下がっているが不思議と落ちてくる不安がない。
自然な崖に見えるがもちろん石で固められている。サグラダファミリアでも見かけた技法だ。
階段を上りきるとトカゲらしきものが迎える。太い柱が林立する空間は分譲邸宅市場を予定していた。
どこから見ても十字架に見える塔。
白と茶のタイルで、うねりを持たせたフェンス。
こうやってみるとキノコにも鍾乳洞にも見える。
敷き詰められた破砕石。
壁に埋め込まれたタイルの一つ一つに見入る。
曲面を舐めるように破砕タイルが貼られている。鉄の格子とのコンビネーションが見ものだ。
太い柱を巻く破砕タイル。鉄の鋲との対話。
タイルの存在感に時を忘れる。
窓の枠、窓に写ったタイルの柱、窓の中にいる観光客の顔がこの世ならぬ空間を作り上げる。
どうしてこのような写りこみになるのか。ひとつの窓に二つの異なった外部が写りこんでいる。
防犯用なのか、それにしてもおしゃれな鉄格子。ガウディは手の込んでいない造形は認めない。
古代的な柱のすぐ横には近代のビルが建っている。
窓からのぞく観光客が異世界からきた人のようだ。
モロッコ、イタリア、スペイン、これらの国のタイル文化の底の厚さに。
ピカソの焼き物に通じる色合いだ。やはりこの国の風土から生まれた共通がある。
組み合わせを楽しんでいる。
それにしても窓に写る光景がガウディだね。
スペイン、バレンシアの文様と色調はどこかイスミラミックに通じる。
この画像に見られる鮮やかな色彩や幾何学的な模様は、ガウディのデザインの特徴の一つであり、彼の作品は色彩と自然の調和によって、人々に活力や希望を与える力を持っている。しかし、ガウディ自身の人生は、外見的な華やかさとは対照的に、孤独で苦しい時期もあった。
彼は非常に信仰深く、特に晩年には宗教的な修行や断食に没頭し、時には極端なまでに自己を犠牲にしていた。その結果、長期間の断食を経験し、死に直面したこともあった。
なんてことは無い階段だがタイルがあるだけでガウディしている。
市場として設計した空間を支えるドーリア式の柱頭。グエル伯爵が古代ギリシャ風を取り入れてほしいとの注文をつけ、ガウディが応えた。
コブラ風のモチーフ。
こうやって眺めると破砕タイルをそれほど厳密に整えているのではなさそう。結構適当に貼ってセメントで埋めているように思うが出来上がった作品は完成度が高い。
市場の天井は非常に緻密に貼られている。場所で貼り方を変えている。緑のビンが混じっている。
これも市場の天井。皿の破片が使われている。
市場の天井。巨大な皿が埋め込まれたのか。四季をあらわすとの説明も。
公園らしい植栽が広がる。
市場の天井。色鮮やかな貝殻が埋め込まれている。落下防止に目立たないネットが張ってある。
市場の柱群が屋上の広場を支える。破砕タイルが古代ギリシャ柱と調和する。屋上のベンチがある砂地の広場から濾過された雨水を地下の水槽に蓄えるしくみになっているという。雨水はこの柱の中を通っていくのか。
やしの葉をモチーフにした鋳物のフェンス。
市場の天井。
モロッコのマラケシュで見た建物の色と同じだ。スペインとモロッコはジブラルタル海峡をはさんで地続きで地質も共通なのかも。鋳物の街灯がいいね。
長い階段。
グエル公園の模型。実際はかなり異なっている。
樹木の周りもガウディらしい。
紫の花はジャカランタかな。
これは破砕ではなく形を整えたタイルが貼られた壺。
ガウディ博物館の内部。壁紙、ランプ、文様。
椅子とテーブル。滑らかで心地よい曲線だ。
窓に掛かるように置かれた観葉植物。