2019/7/31 追記
2014-07-14 11:58:27
この本を読む限り、当時のアカデミズムの偏見によって葬りさられたと思われる福来友吉の超能力実験が克明に追われている。気になるところを抜粋してみる。
福来は、送り返されてきた7通の状袋の封じ目を丹念に点検し、異常のないことを確認した後、静かに一通ずつ開いていった。・・・「すこぶる良好なる結果を見るを得たり」(7通が的中もしくはほぼ的中) p52
二日間にわたった熊本でのこの透視実験には、今村博士と・・・が立ち会っている。・・・その内容と成績は次のとおりである。(12通中9通が的中) p57
「よう見えました。「大島忠九郎」の字が見えました。・・・透視は的中している。 p70
福来は、千鶴子から青い封筒を受け取って封を開け、中の名刺を取り出した。「岡松忠利」 透視は的中していた。 p75
「木寺てい重」 透視は的中している。 p75
「串山寛次」・・・今村が鉄瓶の蓋の封を切、名刺を取り出すと彼女の告げた通りの名が印刷されていた。 p77
彼は、千鶴子の実験に直接に立ち会って目撃している立場では彼女の透視能力を信用できるが、今の方法で透視する限り、・・・客観的証明の真正な厳格性を十分に確保できない、と悩んでいた。 p92
福来と今村がそれぞれの鉛管の先端を金鋸で切断して、なかから実験物の紙片を取り出してひろげた。・・・いずれも的中していた。 p98
千鶴子は筆をとって道徳天と書いた。・・・山川博士が箱を開けて袋の中からカードを取り出すと、「道徳天」の三文字があらわれた。 p112
やがて貞子は精神統一に入り、念力を凝らす様子を見せたが、しばらくして・・・写りましたと告げると、座ったままの姿勢で右側に倒れ込んだ。・・・流麗な達筆でかなり鮮明に写っている。 p238
貞子が自分の意思によって念写した天と三本の指型のほかに金の字や円形、珊瑚形が現れたことについて・・・被験者の潜在意識が念写に現れるという仮説をもっていた p242
雲霞のごとくむらがる天下の反対学者を前に据え置いて、余は次のごとく断言する。透視は事実である。念写も事実である。 p248
仏教の神秘主義においては、人間はもともと仏性をもち、菩提智も慈悲心も神通力も具えているから、・・・人間の霊力を知るには仏教型の神秘主義によるべきであると考える。 p272
最後に三田光一の月の裏側写真の念写は圧巻で、当時はアポロも飛んでいず月の裏側を見た人は誰もいない。それを後世に証明してもらおうとの福来氏の執念が偲ばれる。東大元教授の後藤以紀氏や佐々木康二氏によってほとんど一致すると言う研究結果が発表されている。当然ながら反論もある。双方読み比べて判断するのも面白い。