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まさおレポート

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NTT法廃止論議で自民党PTの提案が出された いよいよ正念場

2023-12-12 | 通信事業 NTT法廃止と課題

 

 

NTT法廃止論議で自民党PTの提案が出された。地域インフラの扱いは以下の課題が挙げられていますそして早急に検討し、政府による決定を求めると提言されている。これは現在行われている政府の諮問委員会で検討しろとの提案と考えられるが、あるいは別の委員会が立ち上がるのか不明だ。

その他の提案は競合他社の意見から見ても大きな振れ幅はなさそうに読める。

地域インフラは国有(運営は事業者委託)か資本分離か現状維持の3択に絞られたようだ。

国有(運営は事業者委託)と資本分離はかつての光の道構想で財務負担が大きく、却下された案に近いがこの難問をどう解決するつもりだろう。わたしは困難だと思う。

現状維持と共同溝構想を組み合わせる案が最上と思われるが別途説明したい。


  • 公共性を保つ観点から国有化と委託: NTTの通信基盤は、その公共性から国有化し、運営は通信事業者に委託すべきだとの主張があります。これにより、公共インフラの管理を確保し、競争環境を維持できると考えられています。
  • 資本分離: NTTの通信インフラと通信事業部門を切り離す提案もあります。これにより、競争環境が改善される可能性がありますが、技術革新や効率化の動機が低下する懸念も指摘されています。
  • 現状維持: 一部の意見では、NTTの現在の運営体制を維持すべきだとの立場もあります。これにより、設備の構築や管理が継続的に行われ、技術革新に対する刺激が保たれるとされています。

経済安全保障の観点も考慮しながら、NTTの通信インフラに関する将来の運営方法について早急に検討し、政府による決定を求める。


自民党PTの提案をまとめると以下のようになる。後のために長いが要約して掲載します。

1984年に制定されたNTT法について、約40年前に制定された「電話のあまねく提供」責務と「研究の推進及び成果の普及」責務は維持されたままであり、それを担保する様々な制約がNTTにのみ課されています。

NTT法の制定は、「電気通信分野への民間活力の積極的な導入を謳い文句に、電気通信事業の効率化と活性化を図り、もって、電気通信分野における技術革新と日本の経済社会の発展を目指し、更には国際化の進展に対処するとの見地から行おうとするものであった」とされています。

NTTのみならず、わが国の電気通信事業者には以下の3つの責務が課せられています。

  • 情報通信インフラの高度化と維持
  • 研究開発・ソリューション・人材育成などの情報通信産業全体の国際競争力の強化
  • 自由かつ信頼性の高い情報空間の構築に努め、国富の増大に寄与すること

わが国の情報通信事業者が真のグローバル企業として、世界各国の企業と競争し、成長するための環境を整えるため、NTT法などのあり方について提言されています。

NTT法の主な条文や各事業者から指摘された課題を含め、今後のNTT法のあり方について検討した結果、政府に対し、NTT法において速やかに撤廃可能な項目については2024年通常国会で措置し、それ以外の項目についても、2025年の通常国会を目途に電気通信事業法の改正等、関連法令に関する必要な措置を講じ次第、NTT法を廃止することを求めています。

「研究の推進・成果の普及に関する責務」についての規定に関して、NTT法の第一条から第三条までの関連内容を以下に示します。

第一条(目的):日本電信電話株式会社は、適切かつ安定的な電気通信役務の提供の確保を図ること並びに電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことを目的とする株式会社とされています。

第二条(業務):第1項第三号では、電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うことが規定されています。

第三条(責務):会社および地域会社は、電気通信技術に関する研究の推進及びその成果の普及を通じて、我が国の電気通信の創意ある向上発展に寄与し、公共の福祉の増進に資するよう努めなければなりません。

「研究成果の普及」に関する責務について、研究成果を一律に公開することが、グローバル競争上の優位性を損ない、また、海外企業との共同研究開発に障害となる可能性があります。

IOWNなどの取り組みは国際競争力の源泉となり得るものであり、研究成果の普及責務は、NTTの技術優位性を損なうだけでなく、わが国の経済安全保障にも関わる重要な問題となり得ます。

したがって、研究成果の普及責務については、次期(2024年)通常国会で撤廃すべきであると提言されています。

「電話の役務のあまねく提供(ユニバーサルサービス)に関する責務」についての規定に関して、NTT法の第三条に基づき以下の内容が述べられています。

第三条(責務):会社および地域会社は、電話のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与すると共に、公共の福祉の増進に資するよう努めなければなりません。

近年の動向に関して、ユニバーサルサービスの対象となるアナログ固定電話契約数は、1997年には約6,300万件あったものが、2022年末には約1,500万件まで減少しています。一方で、移動系通信の契約数は、2000年に固定電話を超え、昨年末には2億件を超えました。さらに、光ファイバーなどの固定系ブロードバンドやIP電話の契約数も、2012年には固定電話を超えています。

このような変化を踏まえ、有線かつ音声通話のアナログ固定電話だけをユニバーサルサービスの対象として義務付ける意義は薄れています。NTTは2015年に公衆交換電話網(固定電話網)をIP網に移行する計画を発表し、2025年までにIP網への完全な移行を目指しています。

2019年の情報通信審議会の答申では、「他者設備(携帯電話など)の活用等を通じて電話を低廉に利用できる状況を確保すること」との目標が示され、2020年に電気通信事業法およびNTT法が改正され、携帯電話などの他者設備もユニバーサルサービスの提供に活用できるようになりました。

2022年には電気通信事業法が再び改正され、ユニバーサルサービスの対象を固定電話とブロードバンドサービスに拡充することとされました。

今後、ユニバーサルサービスの手段や提供事業者をさらに拡充し、経済安全保障および安全保障の観点から、わが国独自の通信衛星コンステレーションの構築を目指すべきです。ユニバーサルサービスの対象を多元化することは、災害や有事の際に国民の生命と生活を保護するためにも有効な手段と考えられています。

「ラストリゾート責務」についての現状と提案について、以下の内容が述べられています。

現在、電気通信事業法においてユニバーサルサービスとして位置づけられている固定ブロードバンドに関して、光ファイバーの整備率は99.72%に達し、2023年3月時点で契約件数は約4,500万件に達しています。しかし、離島などの未整備地域には依然として16万件の契約件数が残っています。

2022年の電気通信事業法改正では、第二種適格電気通信事業者(ブロードバンド提供事業者)に対して、過疎地や離島地域における赤字の一部を補填する交付金制度が導入されました。しかし、このような地域において光ファイバーを整備することを責務として規定しておらず、また、その責任を負う事業者が明確にされていないという課題が存在します。

このような状況を考慮し、固定電話や固定ブロードバンドが未整備の地域において、品質や料金水準を考慮した上で、携帯電話や衛星通信などの無線通信もユニバーサルサービスの手段として含め、サービス提供を可能とするために電気通信事業法を改正すべきです。

この改正において、NTT東・西に加え、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなどをユニバーサルサービスの提供主体とし、サービス提供者が不在の地域については、国が適切な事業者を指定できる仕組みを導入し、退出規制を設けるべきです。

2025年通常国会を目途に、電気通信事業法を改正すると同時に、NTT法第3条の「電話のあまねく提供」責務を撤廃すべきです。これにより、未整備地域への適切な通信サービスの提供と、効率的な通信インフラの整備が促進されるでしょう。

NTT法の第3条に規定された責務を遂行するための担保措置として、以下の項目が存在します:

  1. 政府による株式保有義務(第4条):政府は、常に会社の発行済株式の総数の三分の一以上を保有しなければなりません。この株式保有は、特別な資産の公共性と安定的な提供を保障するためのものであり、経済安全保障の観点からも重要です。
  2. 外国人等議決権割合の制限(第6条):会社の株式を取得した第一号から第三号までの者による議決権割合と、これらの者による第四号に掲げる者を通じての間接的な議決権割合を合計した割合が三分の一以上の場合、これらの者の氏名と住所を株主名簿に記載または記録してはなりません。この規制は外国人等の議決権を1/3未満に制限するものです。
  3. 外国人役員規制(第10条):日本国籍を持たない者は、会社や地域会社の取締役や監査役になれません。
  4. 定款変更、合併、分割、解散、事業計画の認可(第11条および第12条):これらの決議と事業計画は総務大臣の認可を受けなければ法的効力を持ちません。

外資規制や政府による株式保有義務は、特別な資産の公共性や提供の安定性の観点から設けられており、経済安全保障の観点からも検討されています。株式保有義務については、NTT法改正時に検討し、政府の保有株式の売却については、情報通信分野の研究開発や通信インフラの整備・維持、国際的な展開を支援するために充てることが望ましいとされています。

外国人役員規制については、外国人従業員が多く存在するNTTにおいて、その競争力向上のために規制の撤廃が検討されています。

これらの規制についての議論は、国際競争力と経済安全保障をバランスよく検討する必要があります。現行の外資規制の改善についても検討が進められており、国際的な状況に適切に対応するために検討が行われます。


公正な競争環境の整備に関する議論

東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、「地域会社」と称します。)は、地域電気通信事業を運営する株式会社です。

地域会社は、その目的を達成するために、次の業務を行うことが規定されています:

  • 各都道府県の区域内で行う地域電気通信業務(同一の都道府県内での通信を媒介する電気通信役務を提供する電気通信業務)

地域電気通信業務は、地域会社が自ら設置した電気通信設備を使用して行わなければなりません。

しかし、NTT東日本および西日本の業務は県内通話を対象とし、自己設置設備を用いると規定されています。この規定は、ルーターを介して提供される現実と大きく乖離しており、公正な競争環境の確保には不十分であるとの指摘があります。

さらに、NTT法が廃止される場合、NTT東日本と西日本がNTTドコモなどと統合し、移動通信事業に進出する可能性があるため、競争環境の懸念が浮上しています。NTT自体は統合の意向を否定していますが、法的な担保が必要とされています。このため、電気通信事業法に必要な規定を盛り込み、NTT法に関する規定を撤廃するべきであるとの主張が存在しています。

NTT通信インフラについての検討

NTT東日本とNTT西日本は、1985年に電電公社から電柱、局舎、管路、道路などの設備、つまり通信のためのインフラを、他の通信事業者にも提供してきました。これは、その設備が公共的で社会的な価値を持つという観点から行われてきました。

特に、光ファイバー網は、このインフラを利用して構築されています。将来的には、光ファイバー網をさらに拡充する必要があります。電気通信事業法第33条により、NTT東日本とNTT西日本には業務区域の回線数シェアに応じて、電話設備および光ファイバー設備の提供を義務付けています。

現在、NTT法を廃止する提案が出ており、それに対する意見として以下の点が挙げられています:

  • 公共性を保つ観点から国有化と委託: NTTの通信基盤は、その公共性から国有化し、運営は通信事業者に委託すべきだとの主張があります。これにより、公共インフラの管理を確保し、競争環境を維持できると考えられています。
  • 資本分離: NTTの通信インフラと通信事業部門を切り離す提案もあります。これにより、競争環境が改善される可能性がありますが、技術革新や効率化の動機が低下する懸念も指摘されています。
  • 現状維持: 一部の意見では、NTTの現在の運営体制を維持すべきだとの立場もあります。これにより、設備の構築や管理が継続的に行われ、技術革新に対する刺激が保たれるとされています。

経済安全保障の観点も考慮しながら、NTTの通信インフラに関する将来の運営方法について早急に検討し、政府による決定を求める声が高まっています。


ステップ1: 2024年通常国会での対応

2025年通常国会に向けて、NTT法の改正や研究推進・成果普及に関する責務の撤廃など、必要な法律改正を進めます。附則に、NTT法を廃止するための具体的な措置や経過措置などを明記します。

ステップ2: 2025年通常国会での対応

2025年通常国会で、以下の項目に関する電気通信事業法の改正を進めます:

  • ユニバーサルサービスの強化: ユニバーサルサービスの手段や提供主体を拡充し、ラストリゾート責務を明確に規定します。また、通信事業者の退出規制についても検討します。
  • 外国人役員の登用要件: 外国人役員の登用に関する要件を見直します。
  • NTT東・西の業務範囲の規律: NTT東・西の業務範囲について、例えばドコモとの統合を禁止するなどの規制を検討します。
  • 通信インフラの責任主体: 通信インフラ、特に線路敷設基盤などの責任主体について、現行の規定から変更が必要な場合を検討します。
  • 外資規制の補強: 外国資本による規制の強化を検討します。外為法令を改正する場合も検討の対象とします。

これらの法改正や措置を講じることで、NTT法の廃止、電話のユニバーサルサービス提供責務の撤廃、政府による株式保有義務の撤廃、外国人役員規制の撤廃、外資総量規制の撤廃、各種認可事項の撤廃などが実現される予定です。

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