おやじの遊び道具。

  シケたおやじも、愛されたいのだ!

ワーニングワーム

2008-12-25 | ショウセツ&しなりお
 この交差点はさながら巨大な下水溝だ。
毎日30万ものヒト形汚泥を吸い込んでは垂れ流している。
顔色の悪いサラリーマンや香水を瓶ごとアタマから被った臭いOLや、
フィギャが友達そしてネット上しかコミュニケーションの取れない宅ガキや、
顔が歪んでいるのか帽子を斜めにしか被れない単なるB系デブや
見るからにコピーのバッグを自慢気に提げた真っ黒ホストマンなどなど
それらを全部上げていったらもうそれだけで、紙面が覆いつくされてしまう。
民主主義をうたい始めて、ある意味日本は多民族国家になった。
ファッションだの組織だの自分たちの趣味思考によって
単一的なコミュニティを作っては徒党を組んでいる。
おまえたちの存在意義はあるのかと問いただせば、
ウザイだとか人権に接触するだの用意不用意な応酬がある。
確かに聞いた本人も何様だということになり、全ては汚泥なのだ。

今日はやけにヘリコプタがウァンウァン頭上を旋回している。
「ええっ、うそーっ」
「まじ、まじっ」
地下鉄の地上出口横にある、喫煙スポットでは
既に気温は三十℃を軽くオーバーしているというのに
シープバックスキンのブーツを履いた
ネガパンダのように目の周りだけ白い女どもが
咥えタバコのまま大型ビジョンに釘付けになった。
その素っ頓狂な声に釣られて、
脇の下に大汗をかいた会社員たちも何事かと大型ビジョンを見上げる。
……さん死亡か… 画面下のテロップが半分通り過ぎていた。
「誰なんだ」と肥満度4を超えているだろう、
ブヨった顎から原油のようなオイルを放出させているオヤジが
上から言葉ではあるけれどにこやかに表情を整えて女に問うのだけど、
女どもは誰一人相手にせず、
その一人は無視を決め込みこれみよがしに
シールやラメでデコレイトした金きら携帯電話を取り出し、
ナンバーを確認して発信する。
「もしもー、マッキ寝てた?IJIちゃんが死んだの知ってる?
もうちょーショック。TVでやってネ?」
「間違い?、そんなハズはねえよ」
「なんかサ、大型ビジョンで流れてたんだけど」
「クスリ…病気…コロシ…ジサツ」
周囲の女どもに対しクビを縦や横に振り、タバコの灰を落としながら、
携帯を肩と耳に挟んで会話をしているのだが、
キルティングのフードのフェイクファーがベタついて心地悪いようで
キーっとなっているのが分かる。
ほれ見やがれ、このクソ暑いのに季節感のないそんな格好をしているからだ。
「IJIって、キャバ譲から議員になったあのオンナか」
既にタバコを1本吸い終えたブヨ顎が、懲りずに声を掛けるが誰も相手にしない。
「うん、ビットの交差点」
「東京ガールズコレクション」
「そうそう、まじヤバイ」
「まわり?めちゃダサイチェリーガールばっか」

                             to be continue




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