7月6日(火)
バイク動かさず。車で富良野~旭岳。
バイク動かさず。車で富良野~旭岳。

ゆっくり起きて、10時過ぎK代ちゃんの車で富良野にいく。今日はバイクなし。
山道がいいというので美瑛町の裏道を進むが、道がだんだんせまくなり、ついに舗装路も途切れ、かなり狭い道となる。畑仕事をしていた人に訊くと、先は行き止まりになっているという。K代ちゃんは疲れているようなので運転を代わる。車はマニュアル仕様なので、ライダーブーツだとクラッチを踏みにくい。久々の車の運転だ。狭いダートくねくね進み、966号に出て、ようやく十勝岳展望台に到着。
昼は富良野「三日月食堂」で、3人とも醤油ラーメン。相変わらずダシがよくきいている。中富良野のワイン工場などと見学。ラベンダー畑も今が盛りと咲いているが、3人ともあまり興味なし。どうも麦畑や広大なジャガイモ畑の白い花が咲いているほうに惹かれてしまう。K代ちゃんがツーショットの写真など撮ってくれたが、なんかこっぱずかしい。ついでに美瑛のパッチワーク模様の畑群の中も走る。
午後5時くらいにいったん家に帰り、6時前に旭岳温泉に出発。
K代ちゃんたちが懇意にしている「ヌタプ・カ・ウシ・ペ」という山荘に招待してもらう。素直に好意に甘えることにする。山荘の主人、なっぱさんに頼まれた豆腐、アゲ、ピーマン、ブロッコリーなどを東川の町で買っていく。旭岳温泉にいく途中の川では、でかいダムができるらしく広大な工事をやっている。このダムができたらこのあたりの雄大な景観も一変するだろうと想像する。
山荘につくと、30分ほどでK代ちゃんは東川に帰り、わたしらはそれぞれ風呂にはいる。去年と同じ、浴場から見下ろす渓谷のせせらぎが相変わらず気持いい。風呂を上がると下の広間で食事。7~8人の男女グループと中年の夫婦1組、わしらの横には一人旅の女性。なにはともあれ、まずビールをもらう。メインは鶏肉をソテーしたやつで、これがハラ減り状態の胃袋にビールと共に合う。肉に食らいつく。だが、これだけではない。昼間、近くで採取したというササダケ(?)を焼いたものもうまい。姿焼きになっているので、食べるときには竹の皮を何枚も剥いてから中心部分だけを食す。竹の香ばしい匂いが鼻を抜け、口の中にほろりとした甘みが広がる。1人、5~6本だったが、あまりに素早く食べたものだからか、なっぱさんがもう2本ほどめぐんでくれる。これをみそ漬けにした香の物もいける。
だが、これだけではない。
今日、島牧から届いたばかりだというソウハガレイ、これがまたいける。普通のカレイよりは小ぶりだろうか。一夜干しのようだ。皮をほじり、身を放りこむ。口の中で淡い身がほふほふととけるようにして、ノドに消える。すかさず、それをビールで流すのが快感だ。アタマやヒレまでぱりぱりと食べ尽くす。肉じゃがのジャガイモも絶品。美瑛だったか、ある特定の農家から仕入れているらしい。メシなど食わず、ビールばっかし飲む。
そのうちに、なっぱさんのご両親も宿泊客の相手をして下さる。なっぱさんの奥さんが大阪に帰っているので、しばらくお手伝いだという。シシャモで有名な鵡川から出てこられたらしい。お父さんの紐の手編み細工の話やら、昔はシシャモで川が銀一色に賑わった話などを聞くが、酔っぱらっているので細部は右から左だ。楽しいなあという記憶のみが残る。――食い物については妙に憶えているのだが……。隣のテーブルにいたグループは礼文の民宿は散々だったなあなどと言っている。どうやら、料理があまりよくなかったらしい。
「それにどこにいってもフキばかり。北海道のフキ、あまりうまくないよね」
と、川越からきている女の人がぽろり。
その一言に、
「そんなことないよ。おいしいよ」
と、なっぱさんがやんわり反撃。
「そうですかあ」
「フキ、うまいよお。よしそれじゃあ、今、もってくるから。今日採ってきたばかりのがあるんだ……」
と言って、なっぱさんは厨房に引っこむ。
しばらくして、何種類か料理したフキを持ってくる。もちろん、つくったばかり。
「本当なら、今日はフキの料理を出すはずだったんだけど、ソウハガレイが送られてきたから、急遽、変便したんだ。札幌あたりからくる山菜採りの人は、フキをそのまま根っこ部分から刈るけど、うまいのは1番茎、2番茎なんだ」
ということらしい。
ただでさえ、この大雪で採るフキはうまそうなのだが、さらにその中でも本体から横に伸びている茎がうまいという。昨夜、K代ちゃんのところでもフキは食べたが、瑞々しくて、うまかった。たぶん、グループの人たちが食べたのは、大量に作って時間がたったものか、たんに宿屋の料理がヘタだったのだろう。
フキの煮浸し。茹でたてにミソ。
やはり、瑞々しくうまい。口に広がるフキの香りが心地よい。
なんだか、得した気分になる。
隣にいた女性客は、明日、旭岳に登るという。東海村の人で、母親と北海道旅行らしいが、しばらく別行動で2日後に富良野で合流だという。こういうのもいいなと思う。お互いに好きなところを廻って、好きに行動する。落ちついたところで再び合流。お互いに興味のあるところは一緒に廻る。旅行中、ずうっと一緒で、同じ景色を見て感動を分かち合うのもいいけど、ちょっとした感情の行き違いがあると、あとあと面倒そうだ。一緒に旅行したはいいが、気まずくなり、その後、絶交という人の話も聞いた。
ちなみにこの山荘「ヌタプカウシペ」とはアイヌ語で「川の曲がりくねった場所の上にいつもいらっしゃるお方」という意味だそうだ。大雪山のことらしい。
まあ、んなかんだがあったが、午後10時過ぎには部屋に引っこむ。8畳間は2人には広いくらいだが、なんか気持いい。「いい部屋って、言っといたからね」とK代ちゃんが楽しそうに言っていたのを思いだす。暗くて見えないが、窓の向こうには旭岳があるはずだ。
まあ、んなかんだがあったが、午後10時過ぎには部屋に引っこむ。8畳間は2人には広いくらいだが、なんか気持いい。「いい部屋って、言っといたからね」とK代ちゃんが楽しそうに言っていたのを思いだす。暗くて見えないが、窓の向こうには旭岳があるはずだ。

富良野。トミタファームだったか?

懐かしき三日月食堂。
7/16とあるが、6日。