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バイク・キャンプ・ツーリング

NERIMA爺、遅咲きバイクで人生救われる

2000年12月15日  二宮町~やびつ垰

2025年06月15日 | 2000年
12月15日(金)





 以前より気になっていた二宮町の落花生屋にいくことにする。近場だし、雲一つない青空。買ったばかりのゴールドウィンのアンダー着用。オーバーパンツをはくほどでもないだろう。
 環8は渋滞がひどく、ちょっと停まると汗をかくほどで、車の流れがよくなると、かなり楽になる。やはり、オーバーパンツなどはいてこなくて正解(と、このときは思ったものだが……)

 1時間弱でようやく用賀インター着。高速の流れはいい。ジーンズとアンダーだけでも、このくらいの寒さならなんとかOK。気温は13~4度というところか。
 二宮までいくが、正確な場所がわからないので、郵便局前の公衆電話ボックスにある電話帳で落花生屋の名前から住所を調べる。地元の人に、その場所を訊いて、ようやく落花生「W商店」に到着。
 さっそく店内に足を踏み入れる。普通の落花生・500グラム・1500円。高え! しかし、まあ1回は食べてみなくちゃと、落花生1キロとランク落ち500グラム(1000円)をゲット。客のほとんどが贈答用に買っているようだ。

 帰りは久しぶりに、ヤビツ峠を越えて帰路につく。が、寒い。じょじょにフトモモに寒さが浸みてきて、ついには膝の関節が痛くなる。――このあと2週間、毎日、灸(生まれてはじめての経験)をやるはめになる。宮ヶ瀬湖のやまびこ大橋を越え、412号を相模湖までいき、さらに相模湖インターで高速に乗り、練馬着。
 結局、これが今年の走り納めとなる。
 ただいまのところ、総走行距離6万600キロ。



2000年12月6日  常盤道・日立おさかなセンター~那珂湊・おさかな市塲

2025年06月14日 | 2000年
12月6日(水)




 晴天。午前、常磐道方面にショート。今日の最高気温は10度弱とのこと。
 アンダー、インナー、ジーンズ、その上にオーバーの重装備。上も半袖Tシャツ、長袖Tシャツ、裏起毛のトレーナー、その上にダウンベスト付のジャケット。バイクカバーなど取っていると、汗が首まわりにじっとりと沸いてくるほどだ。ハンカチでしきりに拭いながらの出発準備。ネックウォーマーも装着。
 外環に乗り、飛ばしはじめると北風が強い。車体が風に流されそうになり、80以上はとても出す気になれない。

 常磐道にはいると、ますますひどくなる。長い橋の上では思わず手足に力がはいってしまい、ガチガチで運転。強弱の強のときに、ブオッと風が吹くと、車体がぐらっと揺れる。1車線くらい軽く流されそうな感覚に襲われ、ついつい路肩に寄ってしまう。うしろから迫ってくるトラックに注意しながら走る。と、突然、砂粒が右目に飛びこんできて、視界がきかなくなる。痛い。ごろごろ痛いのをがまんして走っていると、なんとか砂粒も涙といっしょに流れでてくれたが、目の縁がヒリヒリ痛い。くそお。と――また、五分もしないうちに、また、右目に砂粒侵入。く、くっそう。目の玉を動かすと、さっきと同じでごろごろ痛い。

 風の強さはそれほど大したことはなさそうだが、風が吹くといろいろ面倒が起きる。雨のほうがまだましだ。道路脇の風の吹き流しは、真横より少し下くらいの位置で泳いでいる。次々にあらわれる電光掲示板は、横風注意の表示ばかり。よほど、高速おりようかと思う。
 ピタリ80くらいで走るトラックの後をついて走る。
 水戸の手前、友部でちょっと休憩。
 浪江まで走ろうと思ったが、これから先、かなりトンネルがあり、ちょっとやばい。
 日立おさかなセンターで間に合わそう。今日の目的は、鮭とイクラ。ついでに食事。日立南太田で高速を下り、さっそくおさかなセンターへ。

 今日は、濱膳は一般営業もやっているようだが、刺身定食など千円以上もする。パス。この前いった別練の食堂にいく。今日も、外のイスに座って何人もの人が、メシを食っている。
 この間と同じ、刺身盛り合わせ定食の食券を買う。
 マグロのブツ、タコ、イカ、それに赤貝とおぼしき貝の刺身(この間は、これが白身の刺身だった)。ホタテのエンガワの炒め物。みそ汁。メシ。今回はでかいマグロは解凍したてだったらしく、芯の部分がチルド状態、冷たすぎて味がわからない。――しかし、この値段では文句は言えない。

 メシを食ったあとは、市場にいくが、あまりいいネタはない。完全に観光客相手のようで、半分以上の店が刺身の盛り合わせなどを商っている。卸しの店じゃなく、町の魚屋が集まったという印象だ。この間とは、ちょっと印象が違ってくる。呼び込みも、ちちょとしつこく感じる。
 店にも特徴がない。どこも似たりよったり。

 鮭なども、生スジコを扱っている店など1軒もない。塩味のイクラ(東京よりちょっと安いくらいの値段)か、醤油漬けのスジコの加工品があるばかりで、鮭本体も買おうという気にはなれない。
 やはり、どうみてもここは市場という感じじゃなく、町の魚屋さんか、行商のおばちゃんたちが集まった寄り合いセンターといったところだ。
 食事をするにはいいかもしれない。

 海岸線を下っていけば、どこか専門店があるだろうと、245号を南下。マップルをふと見ると「那珂湊」におさかな市場があるじゃないか。
 まあ、たいしたことはないかもしれないが、よるだけ寄ってみよう。
 那珂湊の港への標識のままに245号を左折すると、突き当たりに「おさかな市場」があらわれる。7~8台のバイクの集団と出口付近ですれ違う。駐車場は駐車料を取るようなので、市場方面に右折して歩道にバイクを停める。

 あきらかに、日立おさかなセンターとは雰囲気が違う。外からみているだけでも、活気が違う。ちょっと嬉しくなる。
 市場内の規模がまったく違う。
 タコの丸ごと酢漬けが100個単位(たぶん)で床にドーンと置いてあったり、横の商店には活ズワイガニが並べてある。見ているとキリがないので、鮭を専門に売っている店にいき、鮭の半身(スジコつき)の3000円をゲット。岩手産だという。

「バイクなんですが……。箱かなんかありますか?」
 というと、細長い鮭用の発砲スチロールにいれてくれ、フタ代わりに段ボール紙をガムテープでびっちり留めてくれる。
 バイクのシートにくくりつけると、約3分の1ほどうしろにはみ出してしまう。だが箱を揺すってみると、意外にしっかり固定されている。これなら高速も大丈夫そうだ。高速が混み始める前に帰宅を決意。その前にトイレ。バイクを駐車している横で、スナック菓子のようなものをを売っている売り子にトイレの場所を訊くと、駐車場の横だという。

 約100メートルくらの距離だが、そこまで歩く間に額に汗が浮かんでくる。ジャケットの前をはだけたくらいでは、身体の熱気は取れない。うちにこもったままだ。完全防寒仕様なので、これはしかたないか。
 鮭半身の詰まった発泡スチロールをシートに載せて、今年、北海道に渡るときに使った東関東自動車道の「水戸大洗」から高速に乗る。

 意外なことに、風の強さはそれほど変わっていないのにバイクの安定感がずいぶん違う。そういえば、去年、東北道を走ったときもそうだったが、吹き流しの具合からほとんど風の状態は同じなのに、帰りはかなり楽だった。
 風向きにもよるかと思ったが、どうやら、それだけではなさそうだ。
 走りはじめのときは、ガソリンをいつも満タンにしているので、安定が悪いのだろうか。そういえば、、満タンのときはバイクのタンク付近が揺れるように風に煽られる感じがする。よくわからないが、たぶん、そういうことかもしれない。

 常磐道、三郷付近で3キロほどの渋滞。すぱぱと抜けして、暗くなる前に無事、練馬着。
 その夜は、シャケ身半分でチャンチャン焼き。スジコはぬるま湯の塩水でイクラにばらして醤油漬けにする。 



2000年10月31日 河原湯温泉~長野草津口~軽井沢

2025年06月13日 | 2000年
10月31日(火)




 午前9時過ぎ、午後3時までには帰宅するつもりで出発。
 関越道を約1時間、松井田妙義まで走り、一旦、国道18号に出て右折。地方道の33号にはいるつもりが、安中との市境いまでいってしまいUターンしてから、33号にはいる。倉淵村を経由して国道406号から、地方道58号経由、大戸口で国道145号を左折。しばらく走り、川原湯温泉に左折。

 紅葉のシーズンで、道には中年から老年のハイカーが溢れている。
 よほど湯にはいろうかと思ったが、あちこちに旅館があり、どこにいっていいのかわからないまま通過してしまう。ただ温泉街の雰囲気はかなりよい。ぽつんと2軒くらいの宿があるくらいのものだと想像していたので、余計にそう思うのかもしれない。看板によると、温泉街は建設中のダムが完成したら、湖底に沈んでしまうらしい。時間はまだ午前11時。今度にしよう。

 今日は、ただ、走るだけ。
 長野原草津口駅あたりからバイパスの145号を走っていると、なにやら、右前方にでかい建物が見えてくる。酒蔵をでかくしたような建物で、どこかの醸造会社がやっているドライブインのようだ。
 駐車場には、団体のバスがかなり停まっている。
 その団体の昼食場所でもあるようだ。――○○御一行様、お疲れさまでした。あたたかい食事が用意してございます。どうぞ、ごゆっくりごくつろぎ下さいませ、などと盛んにアナウンスしている。
 アナウンスが終わると、酒を仕込むときのだみ声のおじさんの歌を、やかましいくらいに繰り返し流す。

 2階のトイレで小。かなり清潔で、金がかかっていそうな便所だ。
 2階踊り場を経由して、じいさま、ばあさまがドヤドヤ、ワヤワヤとエスカレーターで3階にいく。
「お先にどうぞ」
「いえいえ、あんたこそ」
「あら。そう。悪いわねえ~」
 などと、最後尾に残った婆さん2人が、エスカレーターの譲りあいをはじめる。
 こ、こんなとこで、妙な譲り合いをすんな~~。

 団体客の一員のようで、3階の食堂にいくようだ。ついでだ。婆さまたちのあとをついていって、3階の食堂を偵察。かなり広い。イスとテーブルの色で、何カ所かに区切られているようだが、数百人は軽く座れそうな雰囲気だ。入り口手前には、○○御一行様と黒板に白ペンキのようなもので名前の書かれた細長い板が、ざっと見ただけで10本はある。
 一般用の席もあり、数組の人が窓際に陣取り食事をしているようだが、なんだか、ここは高そうなものばかりのようだ。

 ためしに、空港ラウンジのようなカウンターにあるメニューをちらっと開いてみると、カラー写真付きの定食ばかり。値段も高い。こんなものをひとりで食ったって、うまくもなんともないな。
 再び、1階までエスカレーターで下りる。
 土産物の片隅にある「軽食コーナー」でカレーライス600円(セルフサービス)の食券を販売機で購入。
 13番の札をもたされ、まつことしばし、約5分。
「13番さ~ん。おまちどおさま~」
 という呼び声にカレーを取りにいく。

 このあいだのことがあるので、ついカレーの色具合を必要以上にじいっと観察してしまう。今回は、問題ないようだ。業務用のカレーではあるかもしれないが、ちゃんと手間をかけてつくってある。
 味はどうか。
 一口、ほおばる。アジアジ、アジ~。
 ヤケドしそうに、熱い。煮えたぎったカレーのルーをかけたばかりかあ。たぶん、他の客のソバをつくるのにいそがしく、カレーに目がいかなかったのだろう。
 けっこうコクはある。肉も煮こまれていて、口の中で溶けるようにうまい。牛肉だ。これで600円なら満足だ。1本だけ赤くなっている緑の山を観ながら、ゆっくりカレーを食う。

 1階の土産物屋は、酒造屋さんがやっているだけのことはあり、酒やワインがメインのようだ。ただ、なんとなくここで買う気はしない。高そうだ。
 再び、出発しようとバイクのところで、手袋などはめていると、身長160くらいの小柄なじい様がトコトコとわしの横にくると、バイクに向かって「でかいねえ」などと話しかけてくる。人のよさそうな目をキラキラさせている。
「わしも大きいのがほしかったが、足がとどかなくてよ。そのまま転んじゃったらおしまいだからなあ。それで中古で別なの買ってなあ」
 などと、前歯の欠けた口でヒラヒラ笑いながらいう。
 雰囲気が「のたり松太郎」の西尾のじいさまそっくりだ。

 自分は終始、はははと笑うばかり。
 再び145号を進み、すぐに北軽井沢に向かう国道146号に左折。紅葉は、まだ2分くらいといったところか。例年より、ちょっと遅れていると昨夜のテレビでいっていたが、どうもそのようだ。
 北軽の別荘群を横目に見ながら、再び国道18号に合流、碓井峠方面に左折。
 峠付近の山ははさすがに、色づきが進んでいる。一山、鮮やかな紅葉に彩られているものもある。道に積もるように落ち始めている赤、黄の枯葉を、ぱりぱり踏みつぶすような感じで、18号の山道を越える。

 やはり寒いのか、さっき小をしたばかりというのに、もう尿意感がある。
 釜飯・おぎの屋でちょっと休憩。ぶらっと店内を冷やかすように歩いてから、トイレを借りる。駐車場にはX42台、CBRなどが停まっている。
 午後1時45分、再び、松井田妙義インターに乗る。ジャスト1時間で、練馬インター着。総走行距離、ついに6万キロ突破。
 本日の走行距離約350キロ。総走行距離6万60キロ。
 でかいバイクもほしいが、4年4ヶ月・6万キロも走ると愛着が湧いてきて、もっと乗りたいと思うのは人情か。



2000年10月19日 雨畑渓谷~広川原

2025年06月12日 | 2000年
10月19日(木)





 晴れ。4時半起床。
 ようやく、1昨年から念願だった夜叉神峠より向こうに走りにいくことにする。
 午前5時過ぎには永福から高速に上り、そのまま中央高速。この秋一番の寒さということで、やはり寒い。下はアンダー、インナーをはいてその上にジーンズ。上はTシャツ(半袖、長袖の2枚防寒)に、トレーナー、冬用長裾ジャケット。グローブは皮手袋一枚ではじきに手がかじかんでくるので、ゴアのグローブにインナーをつけるが、それでも爪先がじきに冷たくなってくる。

 談合坂SAで、カレー朝食。
 高速道大月ジャンクションで河口湖方面に左折。気温は5度とある。午前7時過ぎに、河口湖で高速を下りる。このあたりだけ、深い霧に包まれている。国道139号を本栖湖方面へ。料金所付近から霧。どうやら川口湖から流れてきたらしく、しばらく走ると晴れてくるが西湖あたりでまた霧。胸のあたりが霧でびっしょり濡れる。

 本栖湖から国道300号で下部町に下る。
 ――7時40分。いったん練馬に携帯で電話。8時から9時の間に帰宅する予定とカミさんに伝える。
 国道52号をつっきるようにして、そのまま南アルプスのふところ目指して走り、途中から雨畑渓谷に向かって左折。すぐに道は細くなり、未舗装の林道が続くかと緊張するが、けっこう開けた場所にでて、小学校や集落があるのでおやっと思ったりする。1車線の道は舗装はされているが、けっこう荒れている。

 道の左側(谷側)に、電柱が立っているので、先に民家があるのがわかる。
 こんなところに人が住んでいるのかというような場所にぽつんと農家が1軒、山間に隠れるようにある。素朴に不思議な風景だ。
 斜面を切り開いてつくったような集落では、「すずり」ありますと手書きの看板が軒先に下げてある家もある。「雨畑硯」ともある。このあたりでは、硯に適した石が採れるところでもあるらしい。段々になった茶畑もある。

 選挙の看板(8人くらいの候補欄に1枚だけポスターが張ってある)が立っている2~3軒の集落を最後に、電線の電柱もそこで終わり。
 それでも道は舗装されているので、とりあえず先に進んでみる。
 渓谷を見下ろすような高所に道が続いているので景色はいいが、まだ紅葉というほどではない。もう数週間でその季節になると思うが、ひょっとして、ここは穴場ではないだろうか。ただ、山向こうに通り抜けができないので、車が殺到したら身動きできなくなるのは間違いない。

 ようやく舗装が途切れたところで、しばし休息。保安林とある看板によると、ここから先、山伏峠まではかなり道が蛇行した難所のようだ。マップルの地図にも路面崩壊により通行止めとある。今は開通しているかもしれないが、オンバイクではとても走る気がしない。

 雨畑渓谷の分岐からここまで約20キロ。往復約2時間。
 分岐点に戻ると、奈良田温泉目指して北上。道路標識には「南アルプス街道」とある。
 奈良田温泉で一風呂あびようかと思ったが、まだ午前11時。もうすこし走ってから、ゆったりしたい気分だ。
 広川原までいくことにする。
「マークスの山」で、あの登山者が下ってくる場面は、このあたりかななどと、斜面に目をやりながら走る。東電の建物が現れると、おお、ここかなどと一人合点。清冽な早川の流れを横に見ながらの道は、本当に気持ちがいい。雪解けの水かとおもうくらいに、きれいな水だ。

 ダートは覚悟していたので、道が未舗装路で狭くなってもどうということはないが、素堀りのトンネルにはまいった。長いトンネルの中ほどで、ぐうっと90度近くカーブしているのもあり、もちろん電灯などなし。
 あるトンネルでは、バイクとほぼ同時にトンネルに飛びこんだ鳥(スズメくらいの大きさだが、種類ははっきりしない)がいて、自分と並行するように、天井あたりを必死で飛ぶはめになる。追い抜いたり、追い抜かれたり。

 壁は液状のコンクリで吹き固められているが、地面は剥き出しのまま、天井から始終垂れてくる地下水(?)で、無数の水たまりができている。思いもしない深いものもあり、ときおりドコンとフロントから突っこんでしまい、そのまま転倒しそうで、冷や汗タラタラ。対向車がこなかったのは、ついていたというしかない。下が舗装されているトンネルもあるが、地面剥き出し素堀トンネルがいくつもある。
 鳥を追い越すようにしてトンネルを出たが、やつはなかなかでてこない。鳥目なもんで中でしばらく休んでいるのだろうか?

 広川原についてからバイクを見ると、白いドロ状のものがエンジンからフロントフェンダーはいうに及ばず、はいているブーツにまで分厚く付着している。フロントフォークにいたっては、前部がほとんど白く塗り固められたようだ。
 広川原でしばし、休憩。

 広場から山を見上げてみるが、もちろん北岳など遥かかなた見えるはずもない。雨畑渓谷と違って、こちらのほうが標高があるのだろうか、紅葉というほどではないが、全体が黄色く染まっている山もいくつかあり、けっこう目をひく。ここが紅葉のシーズンになったら、見事だろうと想像できる。

 広川原から夜叉神峠に向かって走っていると、減速もしないで急カーブを飛び出してくるアホチン4駆が何台もいる。こんな狭い林道で、なに考えて走っているんだ。
 途中、バイクにも2台ほど遭遇。
 芦安温泉を抜ける近道(?)を下っていると、道路の真ん中に犬が座っていて、こちらをじっと見ている。横をすり抜けできないワケじゃないが、その犬の横とゆっくり通過。顔を見てみたい。時速、約20キロ。さらにゆっくりゆっくり。

 甲斐犬というだろうか。凛々しい顔をして、こっちをじっと見据えている。
 犬の正面に向かって、じわじわっとバイク進める。
「なんだあ、この野郎」
 という表情をしたわけではないが、心の中でそう思ったのは間違いない。
 バイクが数メートルまで近づくと、さっと体を右にかわし、バイクが横を通り過ぎたとたんに、吠えかかってくる。くそ、くそ、くそおと、吠えている。
 10メートルほどまで先に進み、バイクを停止して、バックミラーでじっと犬を見ていると、犬もじっとこっちを見返す。
 エンジンをブオンとふかすと、犬はもう1回吠えようかどうか迷った表情のあと、すぐにばかばかしいというように、ゆっくりと踵を返して道の向こう側にゆっくり歩いていく。

 犬は大好きだ。面白い。
 ま、そんなことをやってから、さらに街道を下る。
 何軒か、温泉があったが、白根町に町営の施設があるようなので、そこにいってみることにする。
 町民は300円。町外民は610円。券売機で券を購入。入り口横にある休息室では、地元のおばさんたちのワヤワヤする声がかなりうるさい。入浴以外で、休息料金をとり、そこで休息もできるらしい。だけど町外民の男ひとりで、おばさん連中の中で休息する気にはなれない。

 とりあえず、風呂。
 10畳ほどのヒノキ(だろうか?)の広い浴槽が気持いい。
 サウナも露天風呂も、薬草風呂もないが、たんに浴槽がでんとひとつあるというのが気持いい。横の半畳ほどの小さな浴槽には、源泉だという冷たい水が流れている。飲用もできるらしい。

 頭の禿げたじいちゃんが、でていったあとは、貸し切り状態。
 昨夜は3時間くらいしか寝ていないので、じっくり湯に浸かっていると、頭の芯がじーんとしてくる。ちょっと暖まって汗がでてきたところで、源泉水風呂にじっくり浸かって、汗を引かせてからあがる。
 服を着たあと、脱衣所のイスでしばし横になるが、どうにも落ち着かない。飲用とある蛇口から、コップ半分ほど温泉水を飲んでみる。飲み過ぎると悲惨な目にあうのを体験的に知っているから、これで充分だ。

 湯屋をでて受付にいき、食堂はないかと訊くが、ここは食べ物持ち込みになっているという。ハラ減り状態だ。
 しかし、頭がぼうっとしてとても運転できる状態ではない。
 待合いコーナーのソファでだれかが寝ているので、自分も対面にあるソファに横になり、しばし休息。
 足元にあるでかいテレビでは、加山雄三がだれかにインタビューされて、ずっとしゃべり続けている。オヤジの話、結婚の話、どうやって芸能界にはいったかなど、などなど……。いつのまにか寝入ってしまう。

 30分ほど仮眠して、午後2時には出発。
 地方道12号から北上、10キロほど走り国道20号に合流。
 ハラへった。道沿いの食堂に気をつけながら走る。軽い食事がいい。できればカレーでもいいか。そう思っていると、「手づくりカレーの店」というでかい看板が目に飛びこんでくる。赤い布に白抜き文字でカレーライスという幟が道沿いに何本も立っている。なにも考えずに駐車場に左折。
 なんとなく煤けたような店だが、カレーさえうまければいい。

 客は1人もいないが、カレーさえうまければいい。
カレー500円。カツカレー800円とある。カレー専門店らしくメニューはシンプル、種類はそれほど多くない。カレーさえうまければいい。メニューの数が多ければいいというものでもない。
 しかし、カレー専門店にしては、カレーの香ばしいにおいがしない。そんなことを気にしてもしかたない。カレーさえうまければいい。

 ちょっときつめに化粧したおばちゃん(推定年齢55歳)に、とりあえず、カレーを注文。店の人はそのおばちゃんひとりだけだ。ほかに従業員は見当たらない。ということは、けっこうヒマということか。
 普通のカレー屋さんなら、注文、即、カレーがでてくるのが普通だ。専門店なら、いつでもカレーは温めてあるのだから。
 ここはけっこう待たされる。約5分というところか。たぶん、カレーを温めていると思うが、すこしもカレーのにおいがしないのは不思議だ。
「おまちどおさま」
 と、もってこられたものを見て、あれっと思う。

 そんな思いを中断させるように、おばちゃんが話しかけてくる。今日はどこからですかとか、これからどちらにとか……。適当に答えていると、おばちゃんに携帯電話がかかってきて向こうにいき、ようやく、カレーにありつくことができる。
 だが、そのカレーのメシはパサパサで黄色い。
 サフランの着色などではない。たんに保温のしすぎで、黄色くぱさついているだけのメシだ。なんだろう。これ。
 さらに、メシにかかっているカレーをじいっと観察してあれっと思う。
 こ、こりは、はっきりいってレトルトカレーだ。
 吟味しながら、さらに1口食べてみる。
 間違いなし。

 レトルトカレーのあの、小さく小さくサイコロカットした見覚えのあるジャガイモ。ニンジン。独特の黄色い色。それに味が決定的だ。あのラムネを飲んだあとの、残り味のような独特の隠し味(?)。これは間違いなく、ハウスのククレカレーだ。
 ぎゃははと、大声で笑い出したい気分になる。
 ま、わかっていても食うのは当たり前。
 さっきの待ち時間は、湯温め2分、カレーパック温め3分といったところか。

 ――と、しげしげと観察しながら食っていると、店の小上がりに置いてあるテレビの音量が急にバカでかくなる。
 おばちゃんが上がり框に腰かけて、テレビを食い入るように観ている。
 ワイドショーで、倒産した「エステ・デ・ミロード」の本社があったところで、レポーターが中継をしているようだ。店中に、レポーターのばかでかい声ががんがん響く。
 なんか、こんなふうだったら、お客さんはこないわと素直に納得する。
 金を払うだんになると、この20号をしばらくいくと、警察がスピード違反の取り締まりをよくやっている場所を詳しく教えてくれたのは助かったが。料金は500円プラス消費税。

 店の外にでてあらためて外観を見ると、店の横が住居になっているようだ。なおのこと、店をきれいにしなくては。店のウィンドウに張ってある何枚もの「生ビールあります」張り紙もとうに色褪せて、いったいいつ掃除したのかと思うような汚れた窓ガラス。なんだか店主の性格が容易に想像できる。
 立ち食いそば屋でレトルトのカレーをだされても驚かないが、カレー専門店と看板をだしている店で、レトルトカレーを出されたのははじめてだ。
 手作りカレーの店とある看板には、夜になると、下からライトアップされるように小さなライトが何個か看板の下のほうについている。
 気合い入れて、開店したんだろうなとは想像できる。

 再び20号を走りはじめると、やたら、工事規制。すぐに渋滞。どうやら、光ケーブルを道路に埋め込む集中工事をやっているようだ。諏訪南インター入り口から右折、中央道を脇目にそのまま八が岳山麓に向かう。
 地方道17号を走るつもりが迷ってしまい、八が岳ズームアップロードなどという道を気持ちよく走っていると、いつのまにかダート。ものすごい砂ぼこりを車があげる。ついにはどこを走っているのかわからなくなる。

 1時間ほどウロウロしてようやく、国道299号(麦草峠方面)と国道152号(白樺湖方面)の分岐にでる。やれ安心。299号に右折。
 麦草峠付近はさすがに、寒い。メットの中が吐く息で白い。
 すっかり日が落ちて、あたりは暗い。

 国道141号に合流すると、佐久に向かい、国道254号に乗る。途中、佐久市中込の交差点では、右折したとたんに、右手暗がりから自転車を押してくるおばさんに遭遇。あやうく跳ね飛ばすところだった。後輪が2度ほどロックして、車体が横に流れ、おばさんのすれすれのところを通過。思わず、大声で怒鳴ってしまう。道に外灯がなく、暗がりから急に人がでてきたのでびっくり――だ。少し走ってから、胸がドキドキ。
 もうワンテンポ、ブレーキをかけるのが遅ければ、(確実に)事故を起こしていたのは間違いない。

 まあ、そのあとはなんだかんだで254号を、それほどの渋滞もなく本庄児玉まで走り、午後7時20分過ぎに関越道に乗る。
 午後8時半、自宅着。本日の走行距離約550キロ。



2000年10月13日 高速100キロ解禁

2025年06月11日 | 2000年
10月13日(金)





 久々、朝からの晴天。
 とにかく今月1日よりの、高速道路100キロ解禁を堪能しなくては。ということで午前10時過ぎには出発。直前までどこにいこうか迷うが、土曜日ということと、紅葉目指してどこも渋滞にひっかかるなら、どうせなら1番走りやすい常磐道をいくことにする。

 さっそく大泉から外環にのると同時に100キロ走行。うーん。いつも100キロで走ったりするが、気持ちいい。
 東北道は、さっそく事故渋滞で浦和から先が10キロほど詰まっているとの電光掲示板。サンデードライバーあたりの事故だろう。外環も、東北道までちょっと渋滞気味だが、さっさとすり抜け。

 常磐道三郷の高速入り口で高速券をとったあと、もう一度身支度の点検をしていると、何台ものバイクが横をすっ飛ばしていく。
 これまではおそるおそる100キロ走行だったが、どうどうと100キロで走れるのは本当に気持ちいい。それに車と同じ流れに乗れるから、かなり安心感がある。これまでは走行車線を90キロくらいで走っている車をペースカーに選んで、その後方を走っていたので、それはそれなりにけっこう気を使っていたものだ。

 なんやかんやで平均120キロ弱の平均スピードで、日立南太田まで感覚的にはあっという間につく。タコメーターは常時8000回転。
 う~ん。
 エンジンの振動で、ジーンと手がしびれている。
 ハラがへったので、前から1度はいきたかった「日立おさかなセンター」にGO。午前11時半、港に面したところにあるかと思っていたら、245号沿いに「おさかなセンター」を発見。さすがに駐車場は車で満杯。道路脇のスペースにバイクを停める。

 ちょっと中を見学。
 どこもかしこも新鮮な魚ばかりだ。サンマ10匹500円。水揚げしたばかりだろう。体表面がキラキラしている。
「なぎさ亭」という食堂が2階にあると看板にあるのだが、上にあがる階段は通行禁止になっている。
 ん? と思って、
「なぎさ亭、上はやってないんですか」
 と階下で海産物を売っているおばさんに訊くと、
「なぎさ亭は、浜膳って名前を変えて、横で営業しているよ」
 とのこと。
 さっそく建物を出て、別の入り口からその食堂にいってみるが、今日の昼間は貸し切りとある。なーんだなんだ。

 ほかに食堂はないかと、ウロウロしていると、第2おさかなセンターという建物の外で刺身定食を食っているおばちゃん連中――市場で働いている人とすぐにわかる――がいる。細長いイスに横1列に国道に向かって並び、しかもそれが2段になっているのが、なんとなく不思議な光景だ。
 横は回転寿司屋だが、今回は「さしみ定食」。
 15~6人もはいればいっぱいになりそうな店内は、お客でいっぱい。
 ほとんどの人が刺身を食べている。
 ウニ定食が1000円以上のほかは、みな、おどろくほど安い。
 さっそく「さしみ定食」の食券を買って、セルフサービスでお盆を受け取る。

 でかく、いかにも新鮮なマグロのでかいぶつ切りが5切れほど、イカ刺しは噛むとサクサクと歯触りがよく、噛んでいるうちに甘みがでてくる。タコもでかいのは2切れ(これも食感がいい)、さらに白魚の刺身(これもシコシコうまい)、それにみそ汁(ちょっとミソの量が少ない)、メシ、ホタテのエンガワの炒め物、香のもの。これで650円。しかも月に4回ほど、定食、すべて300円になる日がある。
 安い。うまい。

 自分が食べているあいだも、次々に客がやってくる。
 ちょっと満足して、もうこれで帰ってもいいかなと思ったが、まだ午後1時前だ。
 日立南太田のインターに引き返すような感じで、日立太田の町から349号をひらすら北上。じょじょに車も少なくなり、雲一つない青空も気持ちよく、すぱぱと走る。

 数年前の5月にこのあたりを走ったときに、いつかはこの道をどこまでも走りぬけたいと思っていた。矢祭町から、ほとんど一車線区間という狭い349号を右折。しばらく走ると温泉施設の看板。地図でみると「湯岐温泉」の1軒宿のようだ。さっそく入浴することにする。

 今はやりの温泉スパみたいな建物で、駐車場はほぼ満車状態。
 ここでちょっと休憩。
 入浴料1000円也。ちと高いか。しかも脱衣所のロッカーは有料(100円)。靴箱も有料(100円)。
 今ではどこの町にいっても1軒はあるという健康温泉ランドそのものだ。
 内湯(申し訳程度の薬湯もある)がいくつかに、岩場の露天風呂。サウナ付き。
 暑い日射しの中、露天風呂でウダウダ。内湯で汗をかき、サウナ用の水風呂に浸かる。この水風呂が山水をそのまま引いてきたのか思うくらい冷たい。しばらくすると気持よくなる。

 脱衣所にある休憩室で、でかいテレビを観ながら、籐の寝椅子に横になってしばし仮眠。
 そのあと休憩室にいき、冷たいものを飲む。
 結局1時間半ほど休憩をとる。午後3時前には再び出発、349号を東進。
 ときおり、おっと思うような、りっぱな農家が道横に現れる。車が行き交うのも困難なようなところも数カ所ある。鮫川から古殿町にいく手前で、急に便意をおぼえる。どこかに公園でもないかと走り続けるが、どこまで走っても山、また山。

 しょうがない。
 どこか適当なところで、処置(?)するしかない。
 ――と、谷川のようなところに、朽ち果てかけたお堂のような建物がある。
 バイクを停めて、谷川のほとりまで下りてみるが、どうも大をするような施設はないようだ。お堂のウラでやってもいいのだが、それは、やはり、まずい。
 谷川にかかる小さな橋を渡り、小山のようなところを登ってみる。斜面にビールの瓶などが散乱しているが、トイレなどどこにもない。

 便意はそろそろ頂点に達しようとしている。
 しかたなく、小山を登りきった薮の中で用を足すことにする。
 薮の隙間からは、すぐ下に道を通る車を見下ろせる。ときおり、ばあ~っと車が通りすぎるが、さすがに山の上で大をしている自分に気がつくドライバーなどいない。
 枯葉で大を隠してから、山を反対側におりると、中腹には墓石のようなものが何十体も立っている。何段にもなって、横1列に並んでいるので壮観といえば壮観だ。お魚センターの外で定食を食っていたおばちゃんたちのようだ。
 ひょっとして人間の墓かと、一瞬、ぎくりとしたが、刻んである文字はすべて牛頭観音、馬頭観音とある。ひとつひとつに○○号とあるから、死んだ牛や馬の供養塔のようだ。牛馬は大切に扱われていたような。

 とりあえず、349号は上三板橋というところまで走り、そこから49号を右折。いわき市方面に下る。
 途中、いわき三和や、いわき中央のインターがあったがパス。今、乗っても、時間的に渋滞にまきこまれるだろうから、もう1時間くらい下道を走ることにする。
 もってきているツーリングマップルは、関東版のみ。
 あたりの明細な地図は、当然載っていない。
 ほとんど勘で走っているようなものだ。そのうち、6号線にぶちあたるだろうと適当に走る。こっちが近道だろうと、いわき湯元方面に右折したりしたのがいけなかったのか。湯元駅前あたりから渋滞。

 まあ、それでもすり抜けをやってようやく、空いている道にでたと思ったが、走っても走っても6号線の表示がない。現在走っているのは、なんとなく寂しい20号線(裏道のように思えないこともないのだが……)。そのうち日はとっぷりくれてしまい、タンクの上の100万分の1のおおざっぱな地図さえ見えなくなる。いけどもいけども町の灯りが見えてこない。
 一瞬、東北方面に北上しているような錯覚に陥ったりする。
 ――家に帰り着いてから地図で調べてみると、やはり、この20号は6号バイパスの内側をずっと並行して走っていたようだ。

 植田という町についてようやく、外灯の下で100万分の1の地図をじっくり見当することができる。すぐ近くにいわき勿来のインターがあることが判明。そろそろ午後6時。高速を走ってもいいころだ。
 三郷まで約150キロの道路標識。三郷から大泉まで約30キロ。都合約180キロ行程。
 途中で休憩して、練馬まで約2時間というところか。120キロ平均で帰路につく。カウルがないので、さすがにこの速度域で1時間も走ると風圧でときおり胸が苦しくなる。
 メットもずっと斜め後方に引っ張られるようで、じんじんと首が痛い。
 やはり、つぎはカウル付のバイクだ。

 三郷付近では約7キロほどの事故渋滞。さらに、外環道も川口西から草加までも数キロの事故渋滞。休みの日は事故渋滞が多い。
 が、バイクにはあんまり関係なし。ばんばんすり抜け。
 なんとか予定通り午後8時過ぎには練馬着。リアブレーキがときどき、スコンとおかしくなっていたのは、結局、ビニールの袋をキャリパーに巻きこんでいたからと判明。ちょっとやったくらいでは取れやしない。パッドを外さないと取り除けそうにない。

 本日の走行距離500キロ強。ただいまの総走行距離約5万9000キロ。