旅の途中で

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出口のない海

2006年08月15日 21時58分27秒 | 
「本」というカテゴリーを作っておきながら、全然書いていないことに気が付いた
実はひっきりなしに読んでるんだけどねー・・・

というわけで、今日は終戦記念日なので、最近戦争にまつわる本を読んだ話を・・・

横山秀夫著 「出口のない海」

これ、最近映画化されたそうですね。脚本は山田洋次さん!うーん、山田洋次だったらおもしろそう・・・

なんの本かというと、第二次大戦中に実際に行われていた「人間魚雷」のお話。
そう、海の特攻隊のことだ。

主人公は、高校時代に甲子園でピッチャーとして大活躍して大学に進みながら、ケガのために満足に試合に出られなくなってしまった青年。
この主人公がねー、すっごい魅力的!!

野球人生を絶たれながら、まったくくさることもなく、いつも明るく前向きにリハビリと練習に励んでいる。
ケガのせいで、昔のような剛速球が投げられなくなっても、
「魔球を生み出して復活するんだ!」
って言って、毎日練習を繰り返す。

誰に対してもやさしく、明るく、友達思い。
そんな性格が災いして、海軍の特攻隊に「志願」してしまう。

死ぬために生きる。死ににいくために訓練する。

どんな気持ちだろう、想像することもできない。
国のために死ぬと誓ってみたり、やっぱり死にたくないと泣いてみたり、そうしているうちに、まだ若い主人公が、だんだん「死」に対して感覚がおかしくなっていく様子が、とても哀しい。

登場人物達はみんな若くて、将来の夢も持っているのに、それをいきなりあきらめないといけないなんてね。

すごく印象的だった描写がある。
ちょっと前まで、広い球場で大空の下でボールをのびのび投げていた主人公が、暗い海のそこで、人一人がやっと座れる狭い魚雷に入って死にに行く訓練をしている。
こんなに悲しくて寂しいことってないよね。

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横山秀夫さん、オススメです。
有名なのはベストセラーにもなった「半落ち」。
オススメなのは、警察の話を書いた「動機」「震度0」「第三の時効」などなど。
硬派だけど読みやすくて好きです