旅の途中で

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ニキ・ド・サンファル展

2006年08月02日 23時18分12秒 | アート
7月29日に長野に行ったわけですが、その前に名古屋にも寄りまして。
名古屋市美術館で開催中の「ニキ・ド・サンファル展」を見てから行きました。

ニキ・ド・サンファルはフランス人の女性現代アーティスト。
数年前に亡くなりましたが、私はこの方のことはなんにも知りませんでした。

結構すごい経歴の持ち主で、若い頃はヴォーグのモデルをしていたらしい!
30代になってから画家になったらしいけど、40代頃と思われる写真を見るとめっちゃ美人!さすがもとヴォーグのモデル~~!

さて、画家になった彼女がしたことは、キャンバスに石膏や油絵の具を分厚く盛り付け、それをライフル(!)でバーンと打ち抜き、石膏や絵の具が飛び散った様をそのまま作品にするという、なんとも過激な芸術。
「アクションペインティング」ってやつですね。

正直、今まであまりアクションペインティングが好きではなくて。
有名なところでは、ジャクソン・ポロックの絵の具をキャンバスに投げつけるアクションペインティングがあるけれど、「どう良いのかイマイチわからない・・・」って思ってたのね。こっそり告白すると。

だけど、ニキの作品にはがっつりとはまってしまった・・・
主張がはっきりしているからかもしれない。決して社会の中では優遇されない女性として、男性社会に反発気持ちが、かなりストレートに作品に表れていたから。
同じ女性として、彼女の主張に同化しやすかった。

だけど、どの作品も痛々しいほどの叫びが聞こえてきて、「この人、大丈夫なんだろうか・・・」と心配になった。

その作品に変化が出てきたのは、彼女の友人が妊娠・出産をしてから。
それまでの激しい怒りは息を潜め、代わりにコミカルで丸々とした立体の女性像を作るようになる。

原色の赤や黄色や青など、ポップな色に囲まれたふくよかな女性の像は、見る者を楽しく明るくポジティブな気持ちにさせてくれる。

やっぱり、女性にとって生命って何よりかけがえのない物なのかもしれない・・・

彼女の作風の遍歴を見て、しみじみと思った。
それにしても彼女は、とても素直な作家だったんだなぁ・・・