ウィーン歩き・その9(分離派会館へ)

2016-12-03 23:52:51 | 旅行 ・ 装飾吊り看板

 

  こんにちは

  去年(2015年)の7月までシリーズで続けていた「ウィーン歩き」を今年中には再開したいと思

  いながら、気がつけばもう12月。

 

  一応ウィーンの中心的な繁華街はご紹介しましたので、今度は中心部から南に少し外れた所にある

  ウィーン分離派会館やその先のナッシュマルクト(市場)まで歩いたお話をしたいと思います。

 

  まず分離派会館からですけど、画家のグスタフ・クリムトを中心に1898年、ウィーンの若手芸術

  家たちが旧体制の芸術家協会に反発して離脱し、「分離派」という新しいグループを結成しました。

  そして、彼らの自由な芸術活動の作品を発表する場として自ら建てたのが「分離派会館」です。

  アールヌーヴォー様式の奇抜な建物のようなので、ちょっと楽しみにして出かけました。  

      

        

  ↑上の写真はリンクと呼ばれる有名な環状道路。

  右手中央の緑色の長い屋根の建物がウィーン国立歌劇場(オペラ座)です。

  そのオペラ座の向かって左側の前に信号と横断歩道が見えますが、そこを渡って真っすぐに

  3~400mも歩きますと右側に分離派会館がありました。

 

        

  ↑もうすぐ分離派会館。この通りに入りますと、ぐっとくだけた庶民的な街並になります。

  「カフェ・ムゼウム」の前を通り過ぎて来ました。正面の黄色い建物(一階)です。

  かって、クリムトや若い芸術家たちの溜まり場だったという老舗カフェ。今も営業中です。

                            

        

  ↑分離派会館(セセッシオン・Secession)に到着です。右方向から来ました。  

  トップの球体からこの会館のことを「金色のキャベツ」という愛称で呼ぶそうです。 

  冬の曇り空なので、金色の照り映えが弱くて残念。それでも、強烈な存在感でした。

       

                         

                                      

                          

  ↑この球体、実はキャベツではなく、月桂樹の葉をモチーフにした金属の透かし彫りだそうです。

  その下の金文字は「時代にはその芸術を 芸術にはその自由を」という分離派のスローガン。

  設計したのは、「分離派」の一員であるオルブリヒ。やはりアールヌーヴォーの推進者でした。

                       

         

  ↑刺激的で見応えのあるファサード(建物の前面)でした。

  「VER SACRUM」は「聖なる春」という意味だそうです。

  ツボは、アールヌーヴォーのオブジェとして有名なものだとか。

  渦巻きなど自由な曲線で花や植物など自然界をモチーフにして組み合わせて描くのがその特徴。

  

          

  ↑ドアの上の装飾です。ギリシア神話に出てくるメドゥーサが三人。なので髪の毛は蛇。

  メドゥーサが三人いて皆、眼鏡を掛けていますけど、たぶんそれに理由などはないのでしょう。

  その下はトカゲの尻尾の渦巻きなど、異色の世界です。(実は蛇、トカゲは大嫌いw w)

  {後記:メドゥーサは三姉妹だったそうです。なのでこれは三姉妹かもしれません。2017・9月}

   

  会館の中に入りましょう。

  地下にクリムト(1862~1918)が描いた「ベートーヴェンフリース」という大作があるそうです。

 

  クリムトと言えば、「接吻」という黄金の大胆な絵をご存知の方もいらっしゃることと思います。

  ウィーン郊外のベルヴェデーレ宮殿にありました。絢爛豪華、衝撃的な美の世界、大作でした。

  クリムトの作品は、わたしも好きですけど特に女性に人気があるのですよね。

 

  「ベートーヴェンフリース」は地下室に常設されている帯状の壁絵でした。

  ところがなんと撮影禁止。なのでYahoo画像からお借りしてきます。↓

                                         

  ↑ベートーヴェンの交響曲第九を絵画に描いたそうで、左の壁から始まって中央の壁へ、そして

  右の壁へと連続して第九が続いています。フリースというのは帯状の装飾という意味。

  それぞれにタイトルが付けられていて、左の壁絵から「幸福への憧れ」、中央は「敵対する勢力」、

  右が「歓喜の歌」、クライマックスの合唱になっていました。

  第九と言えば日本では12月の定例になっていますね、そろそろTVやラジオからも聴こえてくる頃。

 

        

  ↑上は、中央の「敵対する勢力」です。

  左の女性三人は髪の毛に何本も蛇が絡みついていて、トグロの渦巻きも(キャ~ッ)。

  真ん中にはヒヒのような怪物。女たちが捕えられたのでしょうか。

 

     

  ↑上は、「歓喜の歌」。「芸術・天使たちのコーラス・この接吻を全世界に」のサブタイトルが

  付いています。「この接吻を全世界に」というのは第九の歌詞に使われたシラーの詩だそうです。

 

  クリムトは「ベートーヴェンに捧げる崇拝の思い」を込めてこの絵を描いたということです。

   色彩が洗練されていて、気味が悪いシーンさえ全体の調和を奏でるハーモニー、意外な美の発見。

  第九交響曲にクリムトの側から光を当てたら、あのような投影になるのでしょう。

    

        

  ↑ちなみに、分離派会館の後ろにある赤っぽいビルは造形美術アカデミーという美術学校。

  あのヒトラーが受験して落ちた学校です。失意のヒトラーは画家の道を諦めて軍隊へ。

  もし、あの学校に受かっていれば・・と誰もが思う瞬間。 

  ヒトラーはドイツ人と思われがちですけど、実はオーストリア人なのだそうです。

 

  ↓さて、分離派会館を出てさらに先へ1~2分も歩けば、小さなお店が立ち並ぶナッシュマルクト

  (食料品市場街)が見えてきます。  

          

 

  次回は、そのナッシュマルクトへ立ち寄りたいと思っています。

  来週からまたロンドンに出かけますので更新が遅れることと思いますけど、よろしくお願いします。

  みなさん、風邪に気をつけてお元気でお過ごしください。

 

 

                             

  

 

     

    

                  


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