前回に引き続き、
アイラモルトのケミカルな風味とピート(泥炭)の関係。
ピートを掘るオジサン。
「ケミカル」と言っても、人工的に薬品等を添加しているわけではモチロンありません。
ピートはその土地に何万年もかけて積もった堆積物。
当然、その土地の気候風土や植生の影響を強く受けます。
アイラ島は海に囲まれた小さな島で、大昔は海の水底だった時代もあるでしょう。
そうなると堆積物の中に海藻類が含まれます。
それがどうやらアイラモルト特有の風味を産み出しているようです。
特有の風味のワケはそれだけではなく、
ウィスキーの仕込みに使う水、これがピートの層を通ってくるので、当然その香りや成分が溶け込みます。
(アイラ島のホテルでは、シャワーの水がピートの影響で茶色いそうですよ!)
そうして出来上がったウィスキーが眠る熟成庫ですが、
一年中島のキツイ潮風に晒されています。
アイラ島最古の蒸留所「ボウモア」まさに海っぺり!
熟成に使う樽は木ですから、湿気を吸ったり乾燥したり、いわば島の潮風の中で呼吸をしているようなもの。
そうすると中身のウィスキーにもそのフレーバーが移るんですね。
樽の中で長い時を過ごすウィスキー・・・
こうして複合的な要素があいまって、
アイラモルトの複雑かつ独特な味わいが作られていくのです。
アイラモルトとケミカルな関係、
お分かりいただけたでしょうか?
少し長くなりましたが、次回は再び「ウィスキーの製造法」の続きをお送りいたします