京義線(きょんいせん)

2008-10-30 | film
2007年韓国映画 ★ 4.5 (BSTV)

今日BS放送でたまたまチャンネルを回したら、京義線が放映されるところだった。
最近の韓国映画は面白く、期待できるだろうと思って観たら、予想的中。無駄な場面がまったくない優れた作品。

心に傷を抱えた見知らぬ男女が国境まで寝過ごし、終電でソウルまでの折り返し列車がない所から、物語の後半がスタートする。前半はそれぞれの別の人生が描かれている。女性(ハンナ)は知性ある独文学者だが非常勤の大学講師で職業としての安定はない。親のすねをかじっている比較的お嬢様だが自立してないことにコンプレックスを持っている。先輩で教授でもある不倫相手と自分の誕生日を過ごす為、チェジュ島へ行く矢先に、奥さんが乗り込んできて、ハンナに心と身体を傷つけ、詰り、深い痛手を負う。
男性(マンス)は生真面目に勤務する地下鉄の運転士。裕福ではない家庭の中で育ち、専門学校は国が援助してくれる運転手への道を選んだ。小さな変化に喜びを感じ、「泉」という雑誌とドーナツとコーヒーを運転中、ホームで差し入れしてをしてくれる柔らかいイメージの女性に小さな時めきを感じていた。そんなある日女性の飛び込み事故で大きな衝撃とショックがあった。「飛込み自殺対応運転手への規定」で3日の休暇を貰い、考える術もなく電車に乗り、寝過ごした。同電車にハンナも寝過ごし、二人は国境手前の駅で終電、雪の降る寒い日に佇んだ。最初はお互いに敬遠していたが、ホテルまでの道行に話ながら少しづつ歩みよってきた。ハンナの微妙な変化から二人は同部屋で過ごすのだが、最初はぎくしゃくしていた2人が、傷を抱えれていることを知る。ホテルで過ごす2人の微妙な動きが、良く理解できる。自分は人殺しで、2日後に復帰できるかどうかわからないと嗚咽しているマンスをハンナは母のように優しく彼の髪をなでながら、優しい言葉をかけた。

それから1年後…

この映画のポイントはハンナが独文学でドイツ留学中にベルリンの壁の崩壊の残骸を見て、韓国もドイツのようにいつか国境がなくなるのかと語る。
最終的にマンスが牽いてしまった女性が差し入れをしてくれた女性と気がつかない所で救われ、テーマは重いけれど、陰湿にならず、希望の光をみせる後味が良い映画。なにげなく着こなしているファッションも捨てがたい。冬の色グレー、深い青、今年流行色のパープル、ニットのパーカーなどファッションのセンスも見逃せない。

「シェフと素顔と、おいしい時間」も飛行機待ち時間をみ知らぬ男女がホテルで過ごすという映画だったけど…。


イリスコンサート

2008-10-29 | musique
(墨田トリホニー 小ホール)
音楽オトヲタノシム…
今日の私は仕事モードのスイッチが切り替わっていなく、疲れた足を引き摺りながら師匠達のコンサート行く。しかし開演からすぐキラキラした音色のアンサンブルが、疲れていた私の心身を溶かしていった。音に癒され、爽やかなフィーリングに切り替り、良い睡眠につける。知性的だったヴァイオリンの音、豊饒で優しいフルートの音色、滑るように流れて私の耳に留まっているピアノの音、3人のアーティストの個性の味を知りながらも、年齢を重ねてきた女性の内面から溢れる魅力と深み、音を重ね、アンサンブルという御馳走になったのを改めて認識した。今晩は癒され良い夜になった。イリストリオお疲れ様でした。