英国王 給仕人に乾杯!

2009-01-28 | film
(シネ・シャンテ)2009/1/28
2007年 チェコ映画

監督イジー・メンツェル
原作ボフミル・フラバル
出演:イヴァンン・バルネフ オルドジフ・カイゼル
   ユリア・イェンチ


 この物語の始まりは主人公ヤンが15年の禁固を恩恵を受け14年と9か月で出所でき、幸運だと思った所でドアが閉まり自分の鞄が挟まる。彼は思う、自分の人生は幸運と不運が表裏一体であると…。そして若い時代の回想シーンが交差する。駅でソーセージを売り裕福でないが為に、長者になることを秘かに夢を抱く。わらしべ長者のように、給仕人としての働き口の格を上げていく。飄飄とし、ちゃっかりとして抜け目なく、それでもどこか憎めない母性本能をくすぐるようなヤン。
 映画に登場する役者達はみな上品である。美しい娼婦を羨望の眼差しで見とれるカフェにいる中年男達。金持ちの道楽で美しい娼婦をテーブルに乗せ、車座になり食事をしながら鑑賞する。このシーンが狡猾な人相の男達が、食事をぴちゃぴちゃと音を立て、舐め回すように女性を見ていたら、猥褻で目も当てられないシーンになるのだが、上品で善良な顔をした役者達が演じると微笑ましくも見えてくる。腕利きなメンツェル 監督である。ナチに占領されたプラハの暗黒時代を、穏やかな光の映像を配しユーモラスに描く。良い役者が揃った傑作。

ウォーリー

2009-01-26 | film
(品川プリンスシアター)2009/1/26

2008年/アメリカ

監督:アンドリュー・スタントン
脚本:アンドリュー・スタントン、ジム・リードン

仕草と表情が愛らしい癒しキャラ、ウォーリー君に惹かれてつい映画館に足を運んでしまう。この作品は優しさ・強さと勇気・愛情表現・孤独感・骨惜しみ、腰が重く怠惰な人間達のメタボな姿、環境についてのメッセージがある。次世代社会を担うチビッ子の皆さんにご推奨。

映画を観終わった後、今の子供達に情操教育がしっかりとしていれば、「イジメ」など少なくなるのではと、帰宅途中歩きながら思った。

そして、私たちは愛に帰る

2009-01-23 | film
(シネスイッチ銀座)2009/1/23
2007年/ドイツ・トルコ映画

監督: ファティ・アキン
キャスト: バーキ・ダヴラク、ハンナ・シグラ、ヌルセル・キョセ、トゥンジェル・クルティズ/ヌルギュル・イェシルチャイ/パトリシア・ジオクロースカ

トルコとドイツを挟んで運命の糸が絡み係る人間達、登場人物一人一人が魅力的であるが、歯車が狂い愁嘆が混在する。突然訪れる深い悲しみを相手を許し愛を紡ぐことによって自分が癒されていく。じんわりと涙が流れ余韻に浸れた。

「ミハイロフスキー劇場ガラ」 レニングラード国立バレエ団 

2009-01-21 | ballet
(文化村 オーチャードホール)2009/1/21

1979年以来、30年ぶりにレニングラード国立バレエ団の舞台を観た。1部は華やか、照明も明るい。オケの音もパーカッションが結構賑やかに聴こえた。1部、2部、3部の間に休憩が15分入るが、2部の上演は25分間、「なぜ?」と思ったが納得、室内編成に代わる。ルジマトフを始めて舞台で観た(遅いルジマトフデビューであった)彼は40代半ばにして、身体が動いている。流石カリスマスターダンサーだと感心。2部は1部と打って変わり暗転から幕が上がる。H.パーセルの曲を使用した「ムーア人のパヴァーヌ」はパンフレットを立ち読みするまでオセロがベースとなっているとは気がつかなかったが、抒情的で個人的に好み。3部、マーラーの「アダ-ジェット」は、20世紀バレエ団時代、ブリュッセルでベジャール振付、J・ドンの(二人ともお亡くなりになられました)を観た。似ていたが別作品であった。(振付家が違った、Nドルグーシン)今回はオケ入り、別の振付家・ダンサー(ルジマトフ)が踊っていても、マーラー5番4楽章アダージェットの曲から醸し出す、静謐で美しく切ない弦の音と人生を重ねてきたらこそ表現ができるダンサーとの融合によって、引き込まれた。3部で海賊をメドーラ&アリをプログラムで6人のダンサーのが交互に踊るのだが、キャスト表には名前が記載されてない、アリの姿をしたルジマトフがマネージュからで出てき観客を湧かせた。



PARIS パリ

2009-01-13 | film
(文化村 ル・シネマ) 2009/1/13
2008年/フランス  

監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ジュリエット・ビノシュ ロマン・デュリス
    ファブリス・ルキーニ アルベール・デュポンテル
    フランソワ・クリュゼ カリン・ヴィアール
    ジュリー・フェリエ メラニー・ロラン


小高い場所から撮影する冬のパリの景色が広がり美しく懐かしい。しかしこの映画の登場人物達はあまり魅力がない。数人の狡いキャラクター、中年達の中途半端なプチラブも少々生々しい。ビノシュは疲れた40代を強調する普通のおばさん役、ルキーニ(ロメールの時代から観ているけれど彼も老けた…)も下らない大学教授、ストリー展開も単調だし、新しさもない。複数の人々の角度から撮った、パリの住人を描いた作品だったらアラン・レネのOn connait la chanson(恋するシャンソン)の方がコミカルな分楽しめる。後味がイマイチな映画だった。日常のリアリティがあるよう描いているとは思うが…。EサティのグノシェンヌのBGMは、死が迫った不安な精神状態の青年とパリの街並みの映像にマッチしてる。美しい街の部分と、治安が悪い部分の対比が良く撮れていた。





パティニョールおじさん

2009-01-11 | film
(BSTV)2002年/フランス

ジェラール・ジュニョ(監督・脚本・出演)

ナチ時代の重いテーマだけれど、少々冷や冷やするシーンもあるが、明るく描かれている。お惣菜屋さん、気が弱く人の良さそうなムッシューパティニョールがユダヤ人の医者の子供をナチから匿い助ける羽目になる。うろたえながらも最後まで危険を顧みず、美少年で賢く、しかし生意気な子供を見捨てなかった…。人としての道を貫く。何気なくつけた深夜のTVだったが、儲けた気分になった。

眠りの森の美女 東京バレエ団

2009-01-10 | ballet
(東京文化会館) 2009年1月9日
振付:ウラジミール・マラーホフ

オーロラ姫 吉岡美佳
デレジ王子 後藤晴雄
カラボス  ウラジミール・マラーホフ

マラーホフ版「眠り」は数年前、オーロラ姫吉岡さん、デレジ王子がマラホフで観ている。今回はマラーホフのカラボス役を観る。前回とは衣装やカラボスの演出が異なっていた。マラーホフが登場すると、舞台が華やかになる。ほとんど踊らずマイムと表情だけだか、マラーホフの王子を観た時よりさらに存在感を感じさせられる。「本物」のスターダンサー。大道具はいたってシンプル。この舞台装置だと1階席から観た時は良かったが上から観ると詰らない。宝石(ルビー・サファイヤ・ダイヤモンド・エメラルド)の衣装は従来のチュチュとは違うが、洗練されている。カラボスの衣装もなかなかGOOD。全体の衣装が楽しめた。

★30年以上前、ボリショイバレエ団のプリセツカヤの瀕死を観ている。(18回のカーテンコールの末、アンコールでまた瀕死を踊った)当時は今回の席より、さらに上の階だが、あの当時よりは良い席にもかかわらず、今回の眠りは安価で観る事できる(エコノミーチケット:2,000円)インターネットの普及で簡単にチケットが(海外の公演も同様)手に入るありがたい時代だ。
イリナ・コルパコーワ、エレナ・リヤビンキナ、ノエラ・ポントワの1970年代のスターダンザーの時代からバレエの舞台を見続けているが(勿論、今ほどの頻度では無い。私の学生時代は公演はそれほど無いし、中学生では財力は皆無)「眠り」他作品も演出・出演者で新たになるので繰り返し、古典音楽を聴くように観てきた。時として、「しまった」と思う作品に出会った時もあるが、最近観る舞台の「はずれ」はない。