マメゾウムシはきょうも

虫目、キノコ目、貝殻目・・・。
小さいものを、じーっと見るのが好き。

ファーブル[虫の詩人の館」で奥本先生の講演会

2008-03-09 21:50:25 | Weblog

 先月入門者向け「昆虫標本制作教室」に参加した千駄木のファーブル昆虫館で、きょうは開館2周年を記念した館長である奥本大三郎さんの記念講演会がありました。

 もともと貝や海中の無脊椎動物が好きだった私に、虫の楽しみを開いてくださったのが奥本先生の『捕虫網の円光』という名著。これを読んで、何かが好きな人は貝も虫もおんなじだ!と。そして海に行かなくても身の回りで会える虫の楽しみに目覚めたのでした。  

 昆虫館の入り口に着くと、あ、なんだか楽しそうなことやってる!

朽木をカットしたものがたくさん積まれています。これの中から、クワガタやカミキリムシの幼虫を見つけよう、という催しのようです。みんな夢中。  

朽木を解体しながら、幼虫を探します。うわっ、面白そう~。

 講演のタイトルは『風土と虫と人間と』。世界各地の風土とそこに棲む虫、そして工芸、服飾品などに見られる色やモチーフの興味深い類似について、同じ場所にいるいろんな生き物がお互いに影響を与え合っていると思われる例をテーマに、たくさんの実例写真を使った面白いお話でした。 

例えば、

タイのキンキラの仏像と金色の蝶のサナギ、

ニューギニアの極楽鳥とトリバネアゲハの色の取り合わせ、

トビトカゲとトビナナフシの形態、

アフリカのゴライアスオオツノハナムグリなどとオカヒュやシマウマの模様の類似、

マサイ族の盾の色とフタオチョウの羽の色・・・・などなど

これでもか、というほどいろいろ例が。

 ここまで実例が多々見つかるのは、やっぱり偶然じゃない気がしてきます。 このように虫、鳥、工芸品の意匠などに共通するものがあるのは、なぜ???同じ環境の場所で、同じようなものを食べていると、虫も、鳥も人間も、同じような趣味になるのではないか―。

 もうひとつ、面白かったのが、「日本人の目は接写レンズである」「明治以前には日本には風景画はなかった」というお話。

 このブログの概要にもある「小さいものをじっと見るのが好き」というのも、私が日本人であるなによりの証だったんだ!。そして、どうも高いところから見る「いい景色~」というのが、あんまりぴんとこない、というか俯瞰でものを見ていると欲求不満になるというのも、日本人の遺伝子のなせるワザだったわけ、と納得がいった。 

 幕末の甲冑師が余技でつくったという、すべての関節が動くリアリズムの極地のような「自在置物」のカマキリの細工物も、いったいどういう情熱でこんなものに精魂込めたのか、―日本人の目は非常に細かいものに向う、というお話でした。フィギュアを集めちゃうっていうのも、この系譜なのかもしれません。奥本大三郎さんは、著書も面白いけれど、お話も面白く、2時間があっという間にたちました。  

 ところで講演会で、私の隣に座っていたお母さんと中学生のお嬢さん。お母さんのピンクの着物には子供が虫採りをしている模様、そしてお嬢さんのスカートには草むらに飛んでいるトンボの絵。昆虫採集が大好きなすてきな母娘さんでした。

  風が寒くなってきたので、地下鉄に乗る前に、千駄木駅前の今川焼き屋さんで黒アン入りを買って、あつあつの焼き立てをさっそくほおばり・・・楽しい一日だったなあ。



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