7月に泊りがけで行った富士山五合目あたりに、またきのこ観察に出かけた。山頂という目標を設定してひたすら登る、登山というものが苦手な私には、富士山は今まで、遠くから眺めているだけでけっこうです、という場所だったが、須走り口の独特な環境には、すっかり魅せられてしまった。木々と苔と霧と、ときどきの木漏れ日。そこにきのこたちが、そぅっと生えている。
こんな風に。(キヌメリガサ)
しかし、今はきのこ狩りのシーズン真っ最中。早朝から、「きょうは、きのこ採って食べるぞぅ!」という意気込みの人が多いようで、10時半ごろ着いた私たちはすでに出遅れ組。 食用になるような大きくて群生しているような目ぼしいきのこはあらかたない。
もうこんなに採られてる・・・
しかし、苔の間にひっそりと生えている小さなきのこを見つけてハァー、っと感動しつつ写真を撮れば満足な私たち一行6人には、まだたっぷりお楽しみが残っていた。
こんなのとか
朽木のバックがすてきなのとか
大きなアザミも咲いてます。
ビロードみたいな肌のもの
赤いイグチ
ひょこ、っと
虫の食べあとが「きのこの家」の入り口みたいに見えるのや
チャワンタケも
きのこ観察って、けっこう時間がかかる。というより時間を忘れてしまう。神社の裏の結界あたりを、樹海に迷い込まないように、おっかなびっくり歩き回るうち、あれ、ここはどこ?とひやっとしたり。瞬く間に1時間あまりがたち、お腹が空いてきた。きのこ名人が経営する山小屋「東富士山荘」で、この時期限定のきのこ鍋で昼食。
ちらほら雨も落ちてきたので、場所を変えようということに。来る途中できのこ狩りの人たちがいた2合目あたりまで車で降りて、道脇の雑木林で午後の観察。あるある・・・。 枯木や朽木、苔などの、いろいろな背景の中のきのこの佇まいが可愛くて、また時間を忘れそうになる。足元のクギの頭まできのこに見えてきた。
後ろ髪をひかれながらも、そろそろ林から出て帰路に。途中、箱根湯本の富士やホテル付近で、ピコットのパン、組み木細工のおみやげ物や鉱泉せんべいを買い、カフェタイム。渋滞でひやひやしながら、なんとか小田原から帰りのロマンスカーに飛び乗った。
きのこはどんどん萎れてしまうから、帰ったらすぐ元気なうちに写真を撮っておかないと。
図鑑と首っ引きで調べたが、なかなか名前がわからない。きのこの見分け方はほんとにむずかしい。それでもきょうは、40種類以上のきのこを見ることができたようだ。
きのこは裏側も面白い。イグチという種類のきのこは、裏側がヒダではなくスポンジのようになっていて、ここで胞子がつくられる。じぃっと観察。
翌朝、きのこはやっぱりシワシワに。きのこって、はかない。
この間、友人から教えてもらった恵文社の「きのこフェア」で注文しておいた絵本『シオドアとものいうきのこ』も届いた。表紙の、青いきのこがきれい。
人気作家レオ・レオニの作だが、あまり人気がないのか、アマゾンでも扱っていなかった。ストーリーがなんとなくピンボケ風のところが、いいんだけどなあ。それと、「ものいうきのこ」っていう言い方も。ふつうだったら「おしゃべりきのこ」などという訳になりがちのところ、さすが谷川俊太郎訳。例のきのこテーブルの上に、きのこグッズといっしょに飾って、ときどき眺めています。