マメゾウムシはきょうも

虫目、キノコ目、貝殻目・・・。
小さいものを、じーっと見るのが好き。

早春の萩で

2009-03-18 21:03:23 | 

  山口県へ行ってきました。

山口県というのは、山陰地方の一番西の端っこで、隣は島根県の石見銀山で、南側は下関に近い・・・そんな位置関係も今度行くことになってからはじめて知った。もっと日本地図を勉強しなければ。  

 仕事が午後6時からだったので、その日は泊まり。次の日の朝、萩へ足を延ばして、夜の飛行機で東京へ帰る計画。羽田に早めに着いたので、ランチ用に空弁を物色。新しくPaulの空弁があったので買ってみた。でもこれは大ハズレ。バランスが悪くて弁当とはいえないんじゃないか。口直しにあたたかいバウムクーヘンでほっ、と。  

 7時半に仕事が終わり、代理店の人に地元の魚料理をごちそうに。これがすんごく美味しくてびっくり。だいたい山口には飲食店が少ない。みんな家でごはんを食べるんだろう。店が見つからなくて仕方なくタクシーの運転手さんにきいて行った店が大当たりだった。

ムツの塩焼き、

白身のお刺身盛り合わせ、

 それに初物のタケノコなどなど、大満足。日本海の魚は美味しい!  

  仕事で泊まった宇部山口というところから萩まで、乗り合いタクシーというので1時間20分。帰りはまた宇部山口の空港からになるので、往復することになり、萩にいられたの6時間くらいだったが、小さな町なので観光には十分だった。 

 乗り合いタクシーというのは7人乗りのヴァンで、3人しか乗客がいなかったので快適だった。行きたいところで降ろしてくれるというので、日本海に面した菊が浜というところで降りる。 バス停の後ろに、空港で試食して美味しかった「豆小郎」という和菓子を売っている店を見つけた。 

 「豆小郎」というのは一口サイズのウイロウのようなお菓子で、こういうものは各地にあるが、どてっとして、べとべとした感じなのは食欲を失う。これはとても華奢にできていて、練り込んである餡は豆の味もしっかりして、食感もふるる、としていていい。薄いフィルムに包んだだけの包装なので、すっと食べられる。細かいところまで配慮されているいいお菓子だと思った。 店内でお茶と試食のお菓子がでる。こんなに試食させてもらった。 

店員さんもいい感じ。初めての町に着いて、最初に美味しいお菓子と出会えるなんて、いい旅が始まりそうだ。  

 お菓子屋さんの前の道路をわたるとすぐ海。そのまま絵になる白砂青松の景色。

一面の白い砂に松葉。

 久しぶりに見る日本海。お天気がいいので、海の色もきれいな碧。誰もいないので浜辺を独り占め気分で打ち上げ線に沿って歩いて漂着物を拾う。海藻はホンダワラやアラメ。貝殻はキサゴ、ナミコガイ、カニモリガイ、ウミギクガイ、フジツボ、サトウガイ、ベニシリダカガイなど、二枚貝の幼貝がほとんど。葉山の海辺に似ているものが多かった。磯臭さはほとんどない海岸だ。しばらく歩き回ったが誰も来ない。小さくて静かな春の海。おだやかな海風の中で一服してから、城下町へ向かう。  

 菊屋住宅という江戸時代の豪商の家屋などが見学出来る城下町へは、堀沿いののんびりした道を15分ほど。堀端の傾斜面には、春の雑草類が勢ぞろいしていた。

 タンポポ、オドリコソウ、オオイヌノフグリ、それにツクシがつんつん、つんつん。

 

 散歩する人がぽつぽつ。明るい早春の光の中路のんびり歩いて、菊屋住宅のある通りに到着。

 まずいくつか並んでいう萩焼きの店をみることにした。萩焼きの、お茶がしっくりくるあの感じはけっこう好きで、母から受け継いだ湯呑み茶碗も気に入っている。ぼんやりと桜の霞がかかったような肌が、春を感じさせる焼き物だと思う。小さな筒型の冷酒用のを二つ買う。寝る前に飲む梅酒にちょうどいいかな。これなら持ち帰るのにも重くないし。ちょっとしたものでも、焼き物を買うとなんだか気持ちが豊かになるような気がするから不思議だ。もう一軒の店では、ぬかみそ漬けをやっている娘に、漬物が似合いそうな小鉢を買った。  

 菊家住宅というのはけっこう大きそうで見るのに時間がかかりそうなので、その前にちょっと休もう。道沿いのカフェのような店の看板をのぞくと、薄山吹色の「夏みかんソフト」というのがここの主力商品らしい。店の外のテラス席も誰もいなくて気持ちよさそう。 柑橘類のアイスクリームは酸味があまりクリームに合わないと思うので、おいしいものには出会ったことがないが、これは大当たりだった。

 酸っぱくなくて、独特の風味といい具合なほのかな苦みが舌に残るのが、とても新鮮。食べた後水を飲まなくてもいいくらいの甘さも合格。半分くらいにしておこうと思っていたのがたちまち全部食べてしまった。  


 さて、見学へ。まず久保田家というのが、季節柄「城下町の雛たち」という展示をしているようなので、入ってみた。昔のものとはいえ、他人のうちに入るのはおもしろい。ここは幕末から明治初期にかけて、酒造りをしていた家らしい。江戸時代の参勤交代の大名行列が通ったというなまこ壁のつづくメインストリートに面している。これは特注品の豪華な雛飾り。

 お雛さまといっても、顔も衣装もこんなに違うのか、というほどさまざま。でもお雛さまってけっこう怖い。 

 奥の土間につづく暗い台所に陽が差し込んでいるのが、シンとしてきれいだった。

そういえば子供のころの祖父の家の台所はこんなだった。床は土なので、土のついた野菜を扱うのも違和感がなかった。  

 次はここのメイン観光スポットの菊家住宅へ。全国でも最古に属する町家として重要文化財になっている御用商人の屋敷。ここでいちばんおもしろかったのが、金蔵。火事に備えて穴のなかに埋めておいたという千両箱がある。

 リアル千両箱を見たのははじめてなので、時代劇、時代小説好きとしては、ほぉーっと感激。想像より小さい。お殿様に差し出すときにはもっときれいな箱に移し変えたという。 ところで千両って、今で言えばいくらぐらいなのか。1両が約8~10万円とよく本には出ているが、それから計算すると一億円ってことになるが、いつもこの換算率には違和感がある。ちょっと多すぎない?  

これは帳場。

 お屋敷を歩き回った後はお昼ご飯。家ごはんが多い山口県では食べるところがほんとに少ない。ガイドブックに出ていた庭がすてきだという畔亭というところへ。

 誰かのお屋敷にお邪魔して、みごとなお庭に面した縁側でお食事をいただく、という感じの店。小萩弁当というのにしてみた。卵焼きがすごく美味しい。またのんびり。

 予約した帰りの乗り合いタクシーに時間が余ってしまったので、萩博物館へ。ここは主に高杉晋作とか、幕末から明治にかけて活躍した人たちの展示があるようだが、幕末の薩長とかがどうも嫌い(乱暴で無粋だから)なので、展示は見ないでカフェで休むことに。窓の外には萩名物夏みかんの木がたわわに黄色い実をつけている。

早春なのに夏みかん。夏みかんの木って、こんなに低くても実をつけるんだ。ホット夏みかんジュースを飲みながら、のんびり読書。萩に来て夏みかんの印象が変わった。今まではすっぱくてにがーい、とうい印象だったが、すっぱさも苦さも、どちらもほのかで上品。色もきれい。 タクシーで町をまわろうと思っていたのだが、結局小さな町なので、ずっと歩いてしまった。

 乗り合いタクシーと飛行機を乗り継いで、10時半ごろ帰宅。そうそう定例土産の目玉おやじストラップが売り切れていたのにはすんごくがっかり。秋芳洞にちなんだコウモリバーションとか。娘に言ったら、それかなりレアじゃない?と。残念だなあ、と思いながら寝る前に空港で買ったかまぼことウニをちょっと味見。すごく美味しい!忙しいようで・・・のんびりした旅でもありました。

 来週は福岡。4月には三重、奈良と仕事&ちょっと観光の旅がつづきます。