サバンナで本を読んでいると、向こうから、
けばけばしいダチョウが歩いてくるのが視界の隅に入った。
羽を緑や紫に染め、金粉をからだじゅうにふりかけている。
化粧もすごく濃い。紫のアイシャドウも、同じ色のチークも、
なんだかギラギラ輝いているように見えた。
銀のショールはからだの大きさにくらべてとても小さく、
なんだか変だ。
こっちにこなければいいのに、とちいさなアマガエルとふたりで
思っているのに、ダチョウはゆったり近づいてきた。
ダチョウはわたしとじろじろ見る。いやな視線だ。
「あなたダメねえ」
「な、なにがですか」
ダチョウは右の翼でわたしのシャツを撫でた。金色の粉がつく。
「似合ってないわ。これからはわたしが選んだ服を着るのよ。
わたしを見なさい。」
ダチョウは誇らしそう翼を広げた。金粉が舞い散る。
「こんなに自分の魅力を引き出しているのよ」
そのなりは、わたしにはとても醜悪に見えたが、
ダチョウはあまりにも自信たっぷりなので、
「そ、そうですね」と言った。
横でアマガエルが、「そんなこと思ってないくせに」と
小声で笑うので、にらむ。
次にダチョウはわたしの読んでいた本に目をつけた。
「あなた、こんな本ばかり読んでいるからダメなのねえ」
「そ、そんなこと」
それは大好きな『わたしのしゅうぜん横丁』という本だったので、
ムッとして言い返そうとするが、ダチョウは聞いてない。
「わたしが選んだ本を読みなさいよ。
わたしの本選びの才能はもう誰もが認めるのよ」
「だ、誰もが」
「そうよ」
ダチョウが誇らしそうに首を伸ばすので、
「そ、それはすごいですね」と言うと、
アマガエルがあきれたように鼻をならした。
結局、ダチョウが選んだ服も本もわたしごのみではないので、
ぜんぜん欲しくなかった。そのそぶりを感じ取ったダチョウは
「わたしの選んだものは特別なのに!
あんたの為を思って言ってやったのに!」
とキイキイ怒鳴り散らして帰っていった。
わたしは読書に戻ろうとしたが、なんだかものすごく
嫌な気分になってることに気づいて、アマガエルを本の上にのせた。
アマガエルは笑っていた。でも怒ってもいるようだった。
「ダチョウは選んでばっかりで、選ばれたことがぜんぜんないんだ」
「そうなんだ」
わたしはダチョウの走っていったほうを見た。
けばけばしいダチョウが歩いてくるのが視界の隅に入った。
羽を緑や紫に染め、金粉をからだじゅうにふりかけている。
化粧もすごく濃い。紫のアイシャドウも、同じ色のチークも、
なんだかギラギラ輝いているように見えた。
銀のショールはからだの大きさにくらべてとても小さく、
なんだか変だ。
こっちにこなければいいのに、とちいさなアマガエルとふたりで
思っているのに、ダチョウはゆったり近づいてきた。
ダチョウはわたしとじろじろ見る。いやな視線だ。
「あなたダメねえ」
「な、なにがですか」
ダチョウは右の翼でわたしのシャツを撫でた。金色の粉がつく。
「似合ってないわ。これからはわたしが選んだ服を着るのよ。
わたしを見なさい。」
ダチョウは誇らしそう翼を広げた。金粉が舞い散る。
「こんなに自分の魅力を引き出しているのよ」
そのなりは、わたしにはとても醜悪に見えたが、
ダチョウはあまりにも自信たっぷりなので、
「そ、そうですね」と言った。
横でアマガエルが、「そんなこと思ってないくせに」と
小声で笑うので、にらむ。
次にダチョウはわたしの読んでいた本に目をつけた。
「あなた、こんな本ばかり読んでいるからダメなのねえ」
「そ、そんなこと」
それは大好きな『わたしのしゅうぜん横丁』という本だったので、
ムッとして言い返そうとするが、ダチョウは聞いてない。
「わたしが選んだ本を読みなさいよ。
わたしの本選びの才能はもう誰もが認めるのよ」
「だ、誰もが」
「そうよ」
ダチョウが誇らしそうに首を伸ばすので、
「そ、それはすごいですね」と言うと、
アマガエルがあきれたように鼻をならした。
結局、ダチョウが選んだ服も本もわたしごのみではないので、
ぜんぜん欲しくなかった。そのそぶりを感じ取ったダチョウは
「わたしの選んだものは特別なのに!
あんたの為を思って言ってやったのに!」
とキイキイ怒鳴り散らして帰っていった。
わたしは読書に戻ろうとしたが、なんだかものすごく
嫌な気分になってることに気づいて、アマガエルを本の上にのせた。
アマガエルは笑っていた。でも怒ってもいるようだった。
「ダチョウは選んでばっかりで、選ばれたことがぜんぜんないんだ」
「そうなんだ」
わたしはダチョウの走っていったほうを見た。
一瞬びっくりしちゃった。いろんな意味で。
たまにはいい夢みたいっすわ