最近流行なれど、かなり俗っぽくて本当は好きではないのだけど、クラシックのオムニバスCDを買ってみた。100曲くらい入っているやつだ。
この手のCDでは、クラシックがお手軽な、ポップスのような感じで扱われている。「ドラマで聴いた曲」とか、「CMで聴いた曲」といったようなくくりで分けられていて、なかには、印象的なフレーズを一部分だけ収録したようなひどいシロモノもある。
そしてたいてい、「癒し」というキャッチコピーを使ったりしている。
芸術…あるいは本人がそう思って作曲している音楽家、そして作品に対して、安易に「癒し」という言葉だけでかたづけるのは、シロウトである僕からしてみても、どうも納得がいかない。
そんなに毛嫌いしているなら買わなきゃ良いのだが、ちょっとでもまじめにクラシックを聴こうと思ったら、けっこうな労力を要するだろう。一朝一夕にはいかない。まず「何を聴くか」である。それこそ膨大なコンテンツを有する世界だ。「では、まず、興味のある作曲家から始めて…」と思っても、指揮者や奏者も選ばなければいけない。だから最初は、嫌々ながらも、いきおいカタログ的な、このようなお手軽CDに手が伸びてしまうのだ。
噴き出してしまったのは、『ちょいモテオペラ』なんていうオムニバスCDを発見したこと。かんちがい野郎の雑誌『LEON』(僕もごくたまに読む…)の編集長が監修したという、かんちがいなおバカCD。確かに、中身こそ名曲を集めたふつうのオペラ集なのだろうが、これを聴いて、お目当てのニキータ(女性)に、「オレ、最近オペラに凝っててさあ…!」などとのたまうのだろうか…。
(オペラにはつねづね行ってみたいと思っているのだが、いかんせんチケットが高額すぎる! 歌舞伎でもそうだったけど安い席はとても見にくいだろうし…。オペラじゃなくても、たとえばホセ・カレーラスのコンサートなら30,000円くらいだ)
そういうたぐいのCDを購入してしまった苦しい言い訳はさておき、話は、これに収録されているホルストの『木星』から始まる。
この曲は、僕が小さい頃、地元のバス会社のテレビコマーシャルに使われていた。
数年前、歌詞をつけて某女性歌手がヒットさせた部分ではなくて、冒頭の部分である。
そのCMを放送していた当時、僕は車に弱かった…、というのはつまり、乗り物酔いをするということだ。
乗用車はまだマシだけど、バスは最も苦手だった。あの特有の排ガスの(?)匂いを嗅いだだけで気分が悪くなったものだ。たしか当時はまだ禁煙化されてなくて、タバコの煙と匂いが拍車をかけた。さらにおもしろいのは、椅子の背もたれ部分にかけられていたカバーがビニールかなにかでできていて、その匂いが乗り物酔いの記憶として、強くこびりついているのだ。
今は、まれに体調と条件しだい(揺れなど)では気持ち悪くなってしまうことがあるけれど、ほとんど改善されている。
しかし、おそらく20数年ぶりにその曲を聴いた僕は、少し胸が悪くなるのを感じたのである。
条件反射的な反応なのだろうか、なんとなく気持ちが悪くなってきたのだ。
それはバスに酔った感覚そのものだった。
人間というのは不思議なものだ。
クラシック音楽であるホルストの『木星』を聴いたことで、気分が悪くなってしまうのだから…。
この手のCDでは、クラシックがお手軽な、ポップスのような感じで扱われている。「ドラマで聴いた曲」とか、「CMで聴いた曲」といったようなくくりで分けられていて、なかには、印象的なフレーズを一部分だけ収録したようなひどいシロモノもある。
そしてたいてい、「癒し」というキャッチコピーを使ったりしている。
芸術…あるいは本人がそう思って作曲している音楽家、そして作品に対して、安易に「癒し」という言葉だけでかたづけるのは、シロウトである僕からしてみても、どうも納得がいかない。
そんなに毛嫌いしているなら買わなきゃ良いのだが、ちょっとでもまじめにクラシックを聴こうと思ったら、けっこうな労力を要するだろう。一朝一夕にはいかない。まず「何を聴くか」である。それこそ膨大なコンテンツを有する世界だ。「では、まず、興味のある作曲家から始めて…」と思っても、指揮者や奏者も選ばなければいけない。だから最初は、嫌々ながらも、いきおいカタログ的な、このようなお手軽CDに手が伸びてしまうのだ。
噴き出してしまったのは、『ちょいモテオペラ』なんていうオムニバスCDを発見したこと。かんちがい野郎の雑誌『LEON』(僕もごくたまに読む…)の編集長が監修したという、かんちがいなおバカCD。確かに、中身こそ名曲を集めたふつうのオペラ集なのだろうが、これを聴いて、お目当てのニキータ(女性)に、「オレ、最近オペラに凝っててさあ…!」などとのたまうのだろうか…。
(オペラにはつねづね行ってみたいと思っているのだが、いかんせんチケットが高額すぎる! 歌舞伎でもそうだったけど安い席はとても見にくいだろうし…。オペラじゃなくても、たとえばホセ・カレーラスのコンサートなら30,000円くらいだ)
そういうたぐいのCDを購入してしまった苦しい言い訳はさておき、話は、これに収録されているホルストの『木星』から始まる。
この曲は、僕が小さい頃、地元のバス会社のテレビコマーシャルに使われていた。
数年前、歌詞をつけて某女性歌手がヒットさせた部分ではなくて、冒頭の部分である。
そのCMを放送していた当時、僕は車に弱かった…、というのはつまり、乗り物酔いをするということだ。
乗用車はまだマシだけど、バスは最も苦手だった。あの特有の排ガスの(?)匂いを嗅いだだけで気分が悪くなったものだ。たしか当時はまだ禁煙化されてなくて、タバコの煙と匂いが拍車をかけた。さらにおもしろいのは、椅子の背もたれ部分にかけられていたカバーがビニールかなにかでできていて、その匂いが乗り物酔いの記憶として、強くこびりついているのだ。
今は、まれに体調と条件しだい(揺れなど)では気持ち悪くなってしまうことがあるけれど、ほとんど改善されている。
しかし、おそらく20数年ぶりにその曲を聴いた僕は、少し胸が悪くなるのを感じたのである。
条件反射的な反応なのだろうか、なんとなく気持ちが悪くなってきたのだ。
それはバスに酔った感覚そのものだった。
人間というのは不思議なものだ。
クラシック音楽であるホルストの『木星』を聴いたことで、気分が悪くなってしまうのだから…。