ヒチョル兄さんは誰よりも美しい。
少し伸びた髪を今日は後ろで無造作に束ねていて、その白いうなじを見ると男の俺でもドキっとしてしまう。
強く引いたアイラインがやけに妖艶で、それでいて微笑む姿が聖母マリアのように純真だ。
そうか…
昨日、ハンギョン兄さんに愛されたんだ。
ひどく粗いざらりとした感情だった。
胸の奥に物寂しさと腹立たしさの中間くらいに位置するざらつきが俺を支配してゆく。
俺は周囲を見回しハンギョン兄さんを必死で探すと、ようやく下手の袖でひとり愛しい人を見つめる姿を捉えた。
そんな顔するなよ。
トロトロに溶けてしまいそうなくらいの笑顔…そんな顔、俺は見たことない。
そっと掛けていた蓋が何かの拍子に外れ中の液体が流れ出すように、溜まっていた感情が溢れ出し衝動的に俺は後ろから強くハンギョン兄さんを抱きしめた。
「兄さん、今ここで抱いて」
俺の声を聞いたハンギョン兄さんの体が硬直したのが、抱きしめた服の上からでもわかる。
ハンギョン兄さんが拒絶しているのは明らかで、俺自身、あれから何度も兄さんを見るたびに下半身が疼くのを必死で押さえてきたのに…
何故、今、こんな場所でこんな行動を取るのかわからない。
おかしいことは分かっている。
でも今抱いて欲しい。
俺はハンギョン兄さんから体を離すと同時に、ぴくりとも動かない兄さんの腕を強く引っ張ると、兄さんの体を反転させ壁に押し付けた。
ハンギョン兄さんの虚ろな瞳…
あの時と一緒だ。
ハンギョン兄さんに抱かれた日…
「ドンヘ…愛してる」
そう言われれば心が満たされると思ってた。
俺を犯したハンギョン兄さんへの復讐。
そして、ヒチョル兄さんの代わりに抱かれたあの夜を忘れるものだと。
それなのに…
愛のないSEXがこんなに空しいものだと思っていなかった。
ハンギョン兄さんが俺の体に刻んだものがこれほどまでに大きいとは。
ハンギョン兄さんの形のいい唇に触れたくて、かかとを少し上げる。
そんな俺の行動を避けるかのようにハンギョン兄さんは顔を横に向け瞳を閉じる。
「早くヤってよ。そーしないと俺、ステージ立てないよ」
卑怯だ、俺。
「こんな体にしたのは兄さんじゃないか」
両手でハンギョン兄さんの顔を固定して口づける。
初めは啄ばむように、二度目は少し長く、それからもっと深く。
口腔がハンギョン兄さんの匂いでいっぱいになる。
ずっと欲しかったもの…
強引に自分の舌を絡めていると、やがて太い指が髪をかきわけ、いきなり後ろ髪をひっつかんだ。
無理やり唇を引き剥がされると、ハンギョン兄さんは息のかかるほどの至近距離で、
「残酷だな」
とひとこと言った。
そのまま下唇に歯をたてられ、顎の先、喉笛をかじられ、さらに下へとさがって鎖骨の下を咬まれる。
あっと声を上げて仰け反った背中へハンギョン兄さんの腕が回ったかと思うと、絞殺されるかと思うばかりの強さで抱きしめられた。
「…どっちが…」
声が、情けなくかすれてしまう。
ハンギョン兄さんはそんな俺を無視して、耳たぶにしゃぶりつき、舌の先で奥の奥まで犯してゆく。
朦朧となった意識の中に、ときおりヒチョル兄さんの司会する声が響いて、俺の心を揺さぶり続けていた。
気づいたら壁に押し付けられ黒いストレートパンツはとうに下ろされたあとだった。
振り返ると来た道が消えている。
もう二度と元へは戻れない。
腰を引き寄せられると、ハンギョン兄さんはひと息に押し入ってきた。
衝撃に声も出なかった。
無意識に前に出て逃れようとする腰を掴んで引き戻され、更に深く打ち込まれる。
とんでもない圧迫感と鋭い痛みが一緒になって大波のように押し寄せ、脳天まで快楽が突き抜ける。
息ができない。
「…兄さん…お…俺…」
突然、ハンギョン兄さんは引き抜くと衣装を整え始めた。
「こっち」
多目的トイレの中に自分の声がこだまする。
向かい合った状態で膝に手を掛けられ完全に抱きかかえられた状態で、ハンギョン兄さんが突いてくると、もう恥じらう余裕すらない。
「…間違ってる…」
そう呟くハンギョン兄さんに、俺はかろうじて首を振った。
本当はわかってる。
こんなことするのは…
たとえそんなことを口にしたところで、もう進んでしまったものは取り返しがつかないし、ハンギョン兄さんに止められるのは嫌だった。
第二部の始まりの合図がする。
韓国でSJMの初めてのステージ。
「…いくよ」
何の迷いも無くハンギョン兄さんを中で受け止めた。
この圧倒的な気持ちよさ、替えのきかない快楽を望むときに望むだけ味わえないのだろうか。
何事も無かったかのように立ち去るハンギョン兄さんの後ろ姿を、ドアを左手で支えたまま見えなくなるまでずっと見つめていた。
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少し伸びた髪を今日は後ろで無造作に束ねていて、その白いうなじを見ると男の俺でもドキっとしてしまう。
強く引いたアイラインがやけに妖艶で、それでいて微笑む姿が聖母マリアのように純真だ。
そうか…
昨日、ハンギョン兄さんに愛されたんだ。
ひどく粗いざらりとした感情だった。
胸の奥に物寂しさと腹立たしさの中間くらいに位置するざらつきが俺を支配してゆく。
俺は周囲を見回しハンギョン兄さんを必死で探すと、ようやく下手の袖でひとり愛しい人を見つめる姿を捉えた。
そんな顔するなよ。
トロトロに溶けてしまいそうなくらいの笑顔…そんな顔、俺は見たことない。
そっと掛けていた蓋が何かの拍子に外れ中の液体が流れ出すように、溜まっていた感情が溢れ出し衝動的に俺は後ろから強くハンギョン兄さんを抱きしめた。
「兄さん、今ここで抱いて」
俺の声を聞いたハンギョン兄さんの体が硬直したのが、抱きしめた服の上からでもわかる。
ハンギョン兄さんが拒絶しているのは明らかで、俺自身、あれから何度も兄さんを見るたびに下半身が疼くのを必死で押さえてきたのに…
何故、今、こんな場所でこんな行動を取るのかわからない。
おかしいことは分かっている。
でも今抱いて欲しい。
俺はハンギョン兄さんから体を離すと同時に、ぴくりとも動かない兄さんの腕を強く引っ張ると、兄さんの体を反転させ壁に押し付けた。
ハンギョン兄さんの虚ろな瞳…
あの時と一緒だ。
ハンギョン兄さんに抱かれた日…
「ドンヘ…愛してる」
そう言われれば心が満たされると思ってた。
俺を犯したハンギョン兄さんへの復讐。
そして、ヒチョル兄さんの代わりに抱かれたあの夜を忘れるものだと。
それなのに…
愛のないSEXがこんなに空しいものだと思っていなかった。
ハンギョン兄さんが俺の体に刻んだものがこれほどまでに大きいとは。
ハンギョン兄さんの形のいい唇に触れたくて、かかとを少し上げる。
そんな俺の行動を避けるかのようにハンギョン兄さんは顔を横に向け瞳を閉じる。
「早くヤってよ。そーしないと俺、ステージ立てないよ」
卑怯だ、俺。
「こんな体にしたのは兄さんじゃないか」
両手でハンギョン兄さんの顔を固定して口づける。
初めは啄ばむように、二度目は少し長く、それからもっと深く。
口腔がハンギョン兄さんの匂いでいっぱいになる。
ずっと欲しかったもの…
強引に自分の舌を絡めていると、やがて太い指が髪をかきわけ、いきなり後ろ髪をひっつかんだ。
無理やり唇を引き剥がされると、ハンギョン兄さんは息のかかるほどの至近距離で、
「残酷だな」
とひとこと言った。
そのまま下唇に歯をたてられ、顎の先、喉笛をかじられ、さらに下へとさがって鎖骨の下を咬まれる。
あっと声を上げて仰け反った背中へハンギョン兄さんの腕が回ったかと思うと、絞殺されるかと思うばかりの強さで抱きしめられた。
「…どっちが…」
声が、情けなくかすれてしまう。
ハンギョン兄さんはそんな俺を無視して、耳たぶにしゃぶりつき、舌の先で奥の奥まで犯してゆく。
朦朧となった意識の中に、ときおりヒチョル兄さんの司会する声が響いて、俺の心を揺さぶり続けていた。
気づいたら壁に押し付けられ黒いストレートパンツはとうに下ろされたあとだった。
振り返ると来た道が消えている。
もう二度と元へは戻れない。
腰を引き寄せられると、ハンギョン兄さんはひと息に押し入ってきた。
衝撃に声も出なかった。
無意識に前に出て逃れようとする腰を掴んで引き戻され、更に深く打ち込まれる。
とんでもない圧迫感と鋭い痛みが一緒になって大波のように押し寄せ、脳天まで快楽が突き抜ける。
息ができない。
「…兄さん…お…俺…」
突然、ハンギョン兄さんは引き抜くと衣装を整え始めた。
「こっち」
多目的トイレの中に自分の声がこだまする。
向かい合った状態で膝に手を掛けられ完全に抱きかかえられた状態で、ハンギョン兄さんが突いてくると、もう恥じらう余裕すらない。
「…間違ってる…」
そう呟くハンギョン兄さんに、俺はかろうじて首を振った。
本当はわかってる。
こんなことするのは…
たとえそんなことを口にしたところで、もう進んでしまったものは取り返しがつかないし、ハンギョン兄さんに止められるのは嫌だった。
第二部の始まりの合図がする。
韓国でSJMの初めてのステージ。
「…いくよ」
何の迷いも無くハンギョン兄さんを中で受け止めた。
この圧倒的な気持ちよさ、替えのきかない快楽を望むときに望むだけ味わえないのだろうか。
何事も無かったかのように立ち去るハンギョン兄さんの後ろ姿を、ドアを左手で支えたまま見えなくなるまでずっと見つめていた。
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