「ドンヘ、今日はペース早くないか?」
「ん、あぁ?そんなことないって。早くない、早くない」
ヒョクチェに言われなくても自分でもいつもの酒の飲み方じゃないってわかってる。
でも、このイラつきを抑えるにはこうやって浴びるように飲むしかないんだ。
「…そーゆーのはハンギョンが得意だからさ。なっ、ハンギョン」
韓国から来たメンバーと合流した時からだった。
ハンギョン、ハンギョン、ハンギョン。
いつだって変わらずハンギョン兄さんの名前を連呼するヒチョル兄さんなのに…
俺…
ヒチョル兄さんのその声が耳触りでたまんない。
ヒチョル…ヒチョル…
あの夜、ハンギョン兄さんに繰り返し囁かれた名前。
ヤメロ…ヤメてくれ…
「じゃあ、明日もあることだし、みんな解散!」
イトゥク兄さんの締めのあいさつで、みんなホテルへ向かう車に乗り込んだ。
今日のホテルの部屋割りは、誰かが仕組んだように俺はハンギョン兄さんとの相部屋だった。
「おい、ドンヘ。ホント大丈夫か?俺、部屋までついていくよ」
「このくらいじゃ、たいしたことないって。ヒョクチェ、降りろよ。お前この階だぞ」
「…ああ。じゃあ…おやすみ」
心配そうに俺を見つめるひどく悲しげなヒョクチェの瞳から、視線を外すように俯いた。
頭を下げると酔いが一気に回ってきて…
寄りかかる体も無くなり、俺は冷たいエレベーターの壁に身を寄せた。
「おいっ、降りるぞ」
ふわっと体が持ち上がったかと思うと、同じ階に泊るシウォンに肩を抱えられ、そのまま部屋まで連れらて行った。
「お前のこと詮索するわけじゃないけど…いくら酔っても何も変わらない。心を落ち着けるには時間が必要なんだ。とにかく、今日は寝ることだ」
シウォン、お前らしいくさいセリフだな。
「何も変わらない。…ハハ、たしかにこれだけ俺は変わってるのに、周りは変わってないよな。そうだよな…」
俺はまた鏡の前に立っている。
あの時刻んだ印は今ではもう薄っすらとピンク色のラインを残しているだけになった。
俺の心は…
あの時の記憶をまだ鮮明に覚えているというのに。
シャワーを浴び備え付けのバスローブに着替えて出たところで、部屋に戻ってきたハンギョン兄さんと眼がぶつかった。
一瞬にして凍りつくような気まずい雰囲気が空間を埋め尽くした。
俺とハンギョン兄さんの間に敷かれたその透明な膜を破ったのは、ハンギョン兄さんの方だった。
「ドンヘ、今日は俺の話しを聞いてくれないか?お前の気持ちはわかる…でもこのままじゃお互い辛いだけだ」
お互いが辛い?
違うよ、それ。
「ドンヘ、俺…」
言いかけたハンギョン兄さんの唇を俺は自分の唇で素早く塞いだ。
とっさのことに驚いて目を見開いたまま棒立ちでいるハンギョン兄さんの首に俺は腕を巻き付けると、耳元に低く囁いた。
「兄さん、抱いて」
「なっ」
「自分だけ覚えて無いなんて、卑怯だと思うだろっ」
固まったままその場を動けずにいるハンギョン兄さんの腕を強く引っ張ると、そのまま縺れ込むようにベッドに倒れた。
「ドンヘ、俺こんなことできな…」
「逃げるなよ。あの日俺にしたこと全部思い出せよ。ほらっ、早く」
寝そべったまま下から眺めるハンギョン兄さんの顔は、今までに見たことも無い苦痛に満ちた顔をしている。
俺はハンギョン兄さんの髪を毟り掴むや、齧りつくようにその唇に重ねた。
あの時と同じ…
無理やり開かせ舌を差し入れた俺は、まだこの温かいハンギョン兄さんの口腔内を覚えていることに驚いた。
半ば強引に舌を絡ませると、気持ちが高ぶって息を吸う間でさえもったいないほど、求めてやまない自分がいる。
ブルルルル…
ベッドに倒れた時落としたのか、床で振るえているハンギョン兄さんの携帯。
「出れば?」
ディスプレイをチラっと見た俺は、拾った携帯をハンギョン兄さんに手渡した。
「うん… 俺。……うん……明日もあるし…」
ハンギョン兄さんの電話相手は、もちろんヒチョル兄さんだ。
俺に背を向けるように話すハンギョン兄さんを後ろから抱き締めると、その首筋に俺はわざと唇を這わせる。
「あっ… ……いや、うん、なんでもない……温かくして寝るんだよ… んっ… うん、俺も……愛してる」
携帯を切ったハンギョン兄さんが俺の方を向き直ると、悲しげな瞳で俺を見つめてくる。
「恋人と話しながら、他のヤツとこんなことしてるってどんな気分?」
ハンギョン兄さんは俺を包み込むように抱きしめると、
「もう…ヤメよう…こんな…」
絞り出すような声を出した。
「まだ始めたばかりじゃん、俺たち。兄さんも知りたいだろ?自分がどんなことしたのかって」
俺はハンギョン兄さんの手を取ると、自分のバスローブの中に引き入れた。
「ほらっ、あの時みたいにしてよ」
今にも泣き出しそうなハンギョン兄さんを眺めながら、優越感に浸っていた。
ぎこちなく愛撫するハンギョン兄さんに苛立ちながら…
それでも体積を増したそれを口に含まれると、白けた気分なんてどこかに飛んで全身が熱くなる。
あっという間に噴出したモノをハンギョン兄さんは飲み込むと、安心したように俺からからだを離した。
そんなハンギョン兄さんを嘲るかのように、からだをくるりと回転しベッドに這いつくばると、
「まだだよ。兄さんにココ埋めてもらわなきゃいけないだろ」
そう言ってやった。
「ヤメよう…ドンヘ。からだも傷つくのは…」
「俺は身も心もボロボロなんだよ。兄さんはわからないじゃないか。あの日…あの日…一番辛かったのはずっとヒチョル兄さんと間違われてたことだよ。
ヒチョル、ヒチョルって何度も呼ばれて…兄さんにはわからないだろ?今日は俺を愛してよ。嘘でいいんだ…俺のからだに愛を注ぎ込んでよ」
ああ…
俺…
それを望んでたのか?
「はぁ…あっ… ねぇ、兄さん……俺の…はぁっ 俺の名前を呼んで…もっと…もっといっぱい…」
ドンヘ…ドンヘ…ドンヘ…
からだ中を貫く衝撃で痛くて壊れそうなのに、ハンギョン兄さんの呼ぶ声をもっと聞いていたくて…
「もう…ドンヘ…俺…」
「兄さん…愛してるって言って。最後に… お願いだからそう言って…」
「あっ…愛してる… ドンヘ…愛してる…」
ハンギョン兄さんの痙攣がそのまま俺の中に伝わってくると同時に、俺も一緒に解き放った。
隣に寝転んでいるハンギョン兄さんは、どこか途方に暮れた顔で天井をただ見つめている。
空しい…
その時俺は初めて自分のしたことを嘆いた。
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「ん、あぁ?そんなことないって。早くない、早くない」
ヒョクチェに言われなくても自分でもいつもの酒の飲み方じゃないってわかってる。
でも、このイラつきを抑えるにはこうやって浴びるように飲むしかないんだ。
「…そーゆーのはハンギョンが得意だからさ。なっ、ハンギョン」
韓国から来たメンバーと合流した時からだった。
ハンギョン、ハンギョン、ハンギョン。
いつだって変わらずハンギョン兄さんの名前を連呼するヒチョル兄さんなのに…
俺…
ヒチョル兄さんのその声が耳触りでたまんない。
ヒチョル…ヒチョル…
あの夜、ハンギョン兄さんに繰り返し囁かれた名前。
ヤメロ…ヤメてくれ…
「じゃあ、明日もあることだし、みんな解散!」
イトゥク兄さんの締めのあいさつで、みんなホテルへ向かう車に乗り込んだ。
今日のホテルの部屋割りは、誰かが仕組んだように俺はハンギョン兄さんとの相部屋だった。
「おい、ドンヘ。ホント大丈夫か?俺、部屋までついていくよ」
「このくらいじゃ、たいしたことないって。ヒョクチェ、降りろよ。お前この階だぞ」
「…ああ。じゃあ…おやすみ」
心配そうに俺を見つめるひどく悲しげなヒョクチェの瞳から、視線を外すように俯いた。
頭を下げると酔いが一気に回ってきて…
寄りかかる体も無くなり、俺は冷たいエレベーターの壁に身を寄せた。
「おいっ、降りるぞ」
ふわっと体が持ち上がったかと思うと、同じ階に泊るシウォンに肩を抱えられ、そのまま部屋まで連れらて行った。
「お前のこと詮索するわけじゃないけど…いくら酔っても何も変わらない。心を落ち着けるには時間が必要なんだ。とにかく、今日は寝ることだ」
シウォン、お前らしいくさいセリフだな。
「何も変わらない。…ハハ、たしかにこれだけ俺は変わってるのに、周りは変わってないよな。そうだよな…」
俺はまた鏡の前に立っている。
あの時刻んだ印は今ではもう薄っすらとピンク色のラインを残しているだけになった。
俺の心は…
あの時の記憶をまだ鮮明に覚えているというのに。
シャワーを浴び備え付けのバスローブに着替えて出たところで、部屋に戻ってきたハンギョン兄さんと眼がぶつかった。
一瞬にして凍りつくような気まずい雰囲気が空間を埋め尽くした。
俺とハンギョン兄さんの間に敷かれたその透明な膜を破ったのは、ハンギョン兄さんの方だった。
「ドンヘ、今日は俺の話しを聞いてくれないか?お前の気持ちはわかる…でもこのままじゃお互い辛いだけだ」
お互いが辛い?
違うよ、それ。
「ドンヘ、俺…」
言いかけたハンギョン兄さんの唇を俺は自分の唇で素早く塞いだ。
とっさのことに驚いて目を見開いたまま棒立ちでいるハンギョン兄さんの首に俺は腕を巻き付けると、耳元に低く囁いた。
「兄さん、抱いて」
「なっ」
「自分だけ覚えて無いなんて、卑怯だと思うだろっ」
固まったままその場を動けずにいるハンギョン兄さんの腕を強く引っ張ると、そのまま縺れ込むようにベッドに倒れた。
「ドンヘ、俺こんなことできな…」
「逃げるなよ。あの日俺にしたこと全部思い出せよ。ほらっ、早く」
寝そべったまま下から眺めるハンギョン兄さんの顔は、今までに見たことも無い苦痛に満ちた顔をしている。
俺はハンギョン兄さんの髪を毟り掴むや、齧りつくようにその唇に重ねた。
あの時と同じ…
無理やり開かせ舌を差し入れた俺は、まだこの温かいハンギョン兄さんの口腔内を覚えていることに驚いた。
半ば強引に舌を絡ませると、気持ちが高ぶって息を吸う間でさえもったいないほど、求めてやまない自分がいる。
ブルルルル…
ベッドに倒れた時落としたのか、床で振るえているハンギョン兄さんの携帯。
「出れば?」
ディスプレイをチラっと見た俺は、拾った携帯をハンギョン兄さんに手渡した。
「うん… 俺。……うん……明日もあるし…」
ハンギョン兄さんの電話相手は、もちろんヒチョル兄さんだ。
俺に背を向けるように話すハンギョン兄さんを後ろから抱き締めると、その首筋に俺はわざと唇を這わせる。
「あっ… ……いや、うん、なんでもない……温かくして寝るんだよ… んっ… うん、俺も……愛してる」
携帯を切ったハンギョン兄さんが俺の方を向き直ると、悲しげな瞳で俺を見つめてくる。
「恋人と話しながら、他のヤツとこんなことしてるってどんな気分?」
ハンギョン兄さんは俺を包み込むように抱きしめると、
「もう…ヤメよう…こんな…」
絞り出すような声を出した。
「まだ始めたばかりじゃん、俺たち。兄さんも知りたいだろ?自分がどんなことしたのかって」
俺はハンギョン兄さんの手を取ると、自分のバスローブの中に引き入れた。
「ほらっ、あの時みたいにしてよ」
今にも泣き出しそうなハンギョン兄さんを眺めながら、優越感に浸っていた。
ぎこちなく愛撫するハンギョン兄さんに苛立ちながら…
それでも体積を増したそれを口に含まれると、白けた気分なんてどこかに飛んで全身が熱くなる。
あっという間に噴出したモノをハンギョン兄さんは飲み込むと、安心したように俺からからだを離した。
そんなハンギョン兄さんを嘲るかのように、からだをくるりと回転しベッドに這いつくばると、
「まだだよ。兄さんにココ埋めてもらわなきゃいけないだろ」
そう言ってやった。
「ヤメよう…ドンヘ。からだも傷つくのは…」
「俺は身も心もボロボロなんだよ。兄さんはわからないじゃないか。あの日…あの日…一番辛かったのはずっとヒチョル兄さんと間違われてたことだよ。
ヒチョル、ヒチョルって何度も呼ばれて…兄さんにはわからないだろ?今日は俺を愛してよ。嘘でいいんだ…俺のからだに愛を注ぎ込んでよ」
ああ…
俺…
それを望んでたのか?
「はぁ…あっ… ねぇ、兄さん……俺の…はぁっ 俺の名前を呼んで…もっと…もっといっぱい…」
ドンヘ…ドンヘ…ドンヘ…
からだ中を貫く衝撃で痛くて壊れそうなのに、ハンギョン兄さんの呼ぶ声をもっと聞いていたくて…
「もう…ドンヘ…俺…」
「兄さん…愛してるって言って。最後に… お願いだからそう言って…」
「あっ…愛してる… ドンヘ…愛してる…」
ハンギョン兄さんの痙攣がそのまま俺の中に伝わってくると同時に、俺も一緒に解き放った。
隣に寝転んでいるハンギョン兄さんは、どこか途方に暮れた顔で天井をただ見つめている。
空しい…
その時俺は初めて自分のしたことを嘆いた。
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