「ハンギョン兄さん、大丈夫?顔色悪いよ?」
移動中、隣の席のシウォンがそう声掛けてきた。
「…ん、大丈夫。ちょっと昨日飲み過ぎたかな…」
いつも俺の微妙な変化に気付いてしまうシウォンには、今の俺の心境を悟られなくなくて、自然とうつむき加減になってしまう。
何度も何度も記憶を巻き戻してはみるものの、どうしても思い出せない。
俺…最低だ。
「ハンギョン。俺、結婚することにした」
「おっ、ホントか?おめでとう!そっか…お前も結婚か…」
多感な時期を一緒に過ごした友とは未だに連絡を取り合い、忙しい中であっても会いに出かけてゆく。
「ああ。それに…」
「ん?なんだ?」
「実は…春に父親にもなるんだ」
「うわっ、父親か?それは、ダブルでめでたいじゃないか!」
「ん、まぁな」
「飲めよ。今日は祝いだ!こんな嬉しいことはめったにないぞ」
そっか、父親か…
あの頃の仲間が一人…また一人と温かい家庭を築いていく。
俺は…
「なぁ、ハンギョン。お前は結婚しないのか?」
「結婚ね…まだまだ遠いな、俺は。考える余裕とか全くないからさ」
「ああ、確かにお前には時間がなさそうだな。…それに、お前…。お前、まだアイツと続いているんだろ?」
「ああ。…反対するのか?」
「いや、俺は気持ちの問題だと思うからな。お前が大切にしてるんだから、それでいいんじゃないか」
「うん」
ヒチョルと俺のこと。
みんなに認められてるわけじゃないから、こんな友の言葉だけで鼻の奥がツンとする。
ヒチョル…
まだ10日と離れてないのに、会いたくてたまらない。
Mの2集活動が始まり、また大陸での仕事が多くなる。
普段一緒に居るときは、しょっちゅう子どもじみた喧嘩ばかりしてるのに、少しでも離れていると自分でも情けないほど恋しくて胸が痛い。
「はぁ…」
「あのさ、ため息つくんだったら電話でもしろよ」
「いや。俺はそーゆーことしない主義なの」
「ばっかじゃねーの。そんなの今どき流行んないし。会いたいときは会いたいって言うのがイイんだぞ。ヒチョルもわかんねぇだろっ」
「そんなことないさ。ヒチョルは俺のこと全てわかってる。だからわざわざ伝えなくても構わないんだ」
「そーかよ。あーあ、言わなきゃよかった。なんで俺のめでたい報告の日に、お前らのノロケ話しを聞くことになんだよ!あー、ムカツク。ハンギョン、今日はとことん飲めよ!」
ビールに始まり、ジン、ウォッカ、ワイン…
とにかくいつもなら飲まない酒も祝いだと言って何でも口にした。
どうやって帰ったのか、もちろん部屋に着いたことさえも全く覚えていない。
急に体を動かされ、ぼんやりと目を開くと部屋を裸のまま歩くドンヘの後ろ姿が見えた。
どうしたんだ?
ふいに動かした掌が、自分の隣に今まで誰か一緒に居た形跡を捉えた。
えっ?
ブランケットを放り投げるように捲ると、波打つシーツにはいくつもの染みが広がっている。
お…俺…
俺…まさか…ウソだよな。
だがバスルームの大きな鏡に映し出されたドンヘの姿。
まさに悪夢としかいいようのない光景だった。
俺は兄さんに犯されたんだ!
ドンヘの声が繰り返しこだまする。
このまま車を降りて逃げ出したいほどだった。
どうやったら許してもらえるんだ。
この罪を拭い去ることはできるのか?
何にも解決策が浮かばぬまま、車は無残にもいつものように俺たちを会場へと送り届けて行った。
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移動中、隣の席のシウォンがそう声掛けてきた。
「…ん、大丈夫。ちょっと昨日飲み過ぎたかな…」
いつも俺の微妙な変化に気付いてしまうシウォンには、今の俺の心境を悟られなくなくて、自然とうつむき加減になってしまう。
何度も何度も記憶を巻き戻してはみるものの、どうしても思い出せない。
俺…最低だ。
「ハンギョン。俺、結婚することにした」
「おっ、ホントか?おめでとう!そっか…お前も結婚か…」
多感な時期を一緒に過ごした友とは未だに連絡を取り合い、忙しい中であっても会いに出かけてゆく。
「ああ。それに…」
「ん?なんだ?」
「実は…春に父親にもなるんだ」
「うわっ、父親か?それは、ダブルでめでたいじゃないか!」
「ん、まぁな」
「飲めよ。今日は祝いだ!こんな嬉しいことはめったにないぞ」
そっか、父親か…
あの頃の仲間が一人…また一人と温かい家庭を築いていく。
俺は…
「なぁ、ハンギョン。お前は結婚しないのか?」
「結婚ね…まだまだ遠いな、俺は。考える余裕とか全くないからさ」
「ああ、確かにお前には時間がなさそうだな。…それに、お前…。お前、まだアイツと続いているんだろ?」
「ああ。…反対するのか?」
「いや、俺は気持ちの問題だと思うからな。お前が大切にしてるんだから、それでいいんじゃないか」
「うん」
ヒチョルと俺のこと。
みんなに認められてるわけじゃないから、こんな友の言葉だけで鼻の奥がツンとする。
ヒチョル…
まだ10日と離れてないのに、会いたくてたまらない。
Mの2集活動が始まり、また大陸での仕事が多くなる。
普段一緒に居るときは、しょっちゅう子どもじみた喧嘩ばかりしてるのに、少しでも離れていると自分でも情けないほど恋しくて胸が痛い。
「はぁ…」
「あのさ、ため息つくんだったら電話でもしろよ」
「いや。俺はそーゆーことしない主義なの」
「ばっかじゃねーの。そんなの今どき流行んないし。会いたいときは会いたいって言うのがイイんだぞ。ヒチョルもわかんねぇだろっ」
「そんなことないさ。ヒチョルは俺のこと全てわかってる。だからわざわざ伝えなくても構わないんだ」
「そーかよ。あーあ、言わなきゃよかった。なんで俺のめでたい報告の日に、お前らのノロケ話しを聞くことになんだよ!あー、ムカツク。ハンギョン、今日はとことん飲めよ!」
ビールに始まり、ジン、ウォッカ、ワイン…
とにかくいつもなら飲まない酒も祝いだと言って何でも口にした。
どうやって帰ったのか、もちろん部屋に着いたことさえも全く覚えていない。
急に体を動かされ、ぼんやりと目を開くと部屋を裸のまま歩くドンヘの後ろ姿が見えた。
どうしたんだ?
ふいに動かした掌が、自分の隣に今まで誰か一緒に居た形跡を捉えた。
えっ?
ブランケットを放り投げるように捲ると、波打つシーツにはいくつもの染みが広がっている。
お…俺…
俺…まさか…ウソだよな。
だがバスルームの大きな鏡に映し出されたドンヘの姿。
まさに悪夢としかいいようのない光景だった。
俺は兄さんに犯されたんだ!
ドンヘの声が繰り返しこだまする。
このまま車を降りて逃げ出したいほどだった。
どうやったら許してもらえるんだ。
この罪を拭い去ることはできるのか?
何にも解決策が浮かばぬまま、車は無残にもいつものように俺たちを会場へと送り届けて行った。
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