ルールーのお気に入り

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お気に入りをツラツラと…

映画『長い長い殺人』

2008-06-13 23:59:32 | 恋する映画
宮部みゆきの100万部ベストセラー小説を原作に、豪華なキャスティングで描かれたWOWOWドラマを劇場公開。
※公式サイト→コチラ




東京郊外でひき逃げ事件が発生、被害者の男には多額の保険金がかけられていた。
世間やマスコミは受取人の妻とその愛人に疑惑の目が向けるが、彼らには完璧なアリバイがあった・・・
折りしも2人の関係者など4人が次々と死を遂げる。
果たしてひき逃げは単なる事故なのか?連日マスコミに無罪を訴える彼らは連続殺人犯なのか・・・?



わが家はWOWOW見れないのでドラマは未見だし、期間限定公開ということで観てきました。
原作も未読です。

とある事件の関係者の、事件への関わりにまつわるそれぞれの事情を、彼らの所有する“財布”を擬人化することで、財布の視点に立ち、財布だから見えることわかることを語り部として語らせて事件の全容・真相に迫るという、異色の手法の全10章からなるオムニバスストーリー。




世の中から注目されたい、そのためなら事件を起こすことさえ厭わない・・・

そんな思考の犯罪者が昨今少なからず登場していることは、つい最近のアノ事件でもわかる通り。。
ただ、この映画の真犯人は単なる劇場型犯罪者ではなく、自分を特別な人間だと考え、さらに人心掌握術にも長けていて、完璧なる犯罪を遂行するところが、これまで世間を騒がせることで満足してきた犯罪者とは一線を画するというか、一歩先を行っている(絶賛しているみたいでイヤな言い方だけど)感じがします。
まぁ、もし仮に「ロス疑惑」の三浦氏が実際にはヤッていたとしたら・・・いや、あの事件は頭のイイ人間の完全犯罪というよりは、パラノイア的部分が多い気がするかな、やっぱり。アワワ


容疑者として疑われる2人には完璧なアリバイがあり、また各章で明らかになる事件の断片的な出来事を見せられることで、その謎解き、あるいは真犯人は誰か?というサスペンス部分にももちろん興味をそそられます。

でも実際のところ各エピソードは、それぞれの主人公の事件との接点を明らかにすること以上に彼らの背景や人となりをある意味必要以上に詳細に描いていて、どちらかというと事件の謎解きそのものよりも、関わっている人々にもそれぞれの人生があるということを強調しているかのよう。。

そしてそれによって、事件というのはただ被害者と加害者の関係性だけで完結しているものではなく、目に見えているのは事件のほんの一部の局面でしかないのだと、実際には様々な人たちの事情が複合的に絡まっていてそれらすべてが明らかにならないと本当の真実はわからないのだということを、つくづく思い知らさせられるのです。。





それぞれの章は、1つの短編としても十分に完結できるほど人物描写が巧みで、見応えがあります。

例えばアリバイを証言することになった人物が何故すぐにはそれを警察に届け(られ)なかったのかとか、彼女の背景や当時の心の変遷なども丁寧に描かれているので納得、という仕組み。

わたし的には10個のエピソードの中で、直接事件には関係ない人物ながら、被疑者と幼い頃から友人である大森南朋演じる教師が、万引きを疑われた女生徒を信じ、自分の“人を見る目”を信じてきたその自信が根底から覆されることによって、実際にはそれはただの願望でしかなかったのだと、そのことから「自分の知っている彼はそんな人間ではない!」と信じてきた心が揺れる・・・というエピソードが非常に印象的でした。

人は自分の好きな人、信用してきた人間がこういう人物であって欲しいという思い込みに縛られて、本当の相手が見えていないということはままあるのでしょうね。。
と同時に、「まさかアノ人が・・・」という事件が多いのも納得。。


このエピソードのように、事件そのものより登場人物の裏の顔、真の顔をあぶり出すためのエピソードもあったりして、最後にメインの事件に収束していくのはなかなか面白かったです。
が、いかんせん映画を観ただけだと不必要に感じた話、宙ぶらりんのエピソードもなきにしもあらずで・・・
きっと原作ではそれらが上手く語られているのだろうけど、少し半端な話もあったかも。

また、そもそも“財布”を語り部にしたのも、人は大事なモノ、忘れたくないモノなどを財布や小銭入れに入れて持ち歩いたりすることがままあるからだと思うのだけど、映画でも真犯人が殺人の記念品を財布にコレクションするなど重要な意味を持ちつつ、エピソード全てで生かされているとは言い難くて、映像では無理があったのかなーという感じでした。。





とはいえ豪華キャストの皆さん、長塚京三さん、仲村トオルさん、前出の大森南朋さん、そしてタニショーこと谷原章介さんはそれぞれに存在感があって、特にタニショーは、その口元だけ笑っていて目が笑ってないような、爽やかだけど冷淡な笑顔が役柄にピッタリハマっていたと思います。
ストーリーそのものが面白いので、いろんな中途半端感はあったもののまずまずだったかも。





・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★★(70点/100点満点)
※今後はDVDが発売されるようなので、そちらをご覧なすってね。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは。 (えい)
2008-06-14 21:16:33
こんばんは。
ぼくも実を言うと、ロス疑惑を思い出しました。
あの事件は、まだ渦中なので
不用意なコメントは避けたく思いますが、
騒がれ方がそっくり。

そうそう、大森南朋のエピソードは、
少し読めたとは言え、やはりショックでした。
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宮部さん (ふーみん)
2008-06-15 02:21:39
凄く好きな作家さんで、イロイロ本は持ってるけど『長い長い殺人』は未読です

宮部さんの本は、事件そのものを追うよりも、事件の裏側や人物描写がとても丁寧なのが特徴ですよね。
複雑に入り組んだストーリーなので、たまに読書を中断するとウッカリ分からなくなってしまうんですが

代表作の『火車』も、全く関係なさそうな人物やエピソードなんだけど、最後にはそれらのプロセスがあって解決する。。。
読んでいて、目に浮かぶ情景描写が素晴らしいので映像化される事も多いけど、ワタシ的には映像化されるとイマイチ「ちょっと見辛い」って感覚になってしまいます

ウチもwowowは見れないんですが、気になる
けど、見ちゃうと「なんか違う」とか思うのかなぁ?

あ、蛇足ですが宮部さんの時代小説も凄く面白いですよ~(これもNHKで高橋英樹主演でドラマ化されました)
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えいさん♪ (ルールー)
2008-06-15 09:21:01
おはようございます
コメントありがとうございます♪

やっぱりアレはロス疑惑思い出しましたよね。
当時のあの騒がれっぷりは異常でしたもん。
いやー、これでも多少抑え目にしたつもりなんですけど・・・大丈夫かしらん。アワワ

大森南朋さんのエピソードは、彼らの演技力もあって非常に印象深いエピソードでした。
やっぱり昔自分を精神的に助けてくれた友人が、実は当時も利用されただけ、しかも可愛がっていた犬まで・・・なんて知ったらそりゃーすごいショックですよね。
トラウマになって人間不信とかなっちゃいそう。

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ふーみんちゃん♪ (ルールー)
2008-06-15 09:37:50
オハニョー

ふーみんちゃんは、宮部みゆきさん、好きでしたかー
わたしはほとんど読んだことないの。
たしか「ドリームバスター」は買った覚えがあるんだけど、途中まで読んでそのままになっているような・・・
ミステリーとか推理小説とか好きなんだけど、ずっと外国のばかり読んでいたので、日本の作家のは大御所以外は近年、それも男性のが多くて。。

で、この「長い長い殺人」はなんと92年の作品みたいねー
ものすごいペースで作品発表していて、ホントすごいよね。
この作品もおそらく原作はもっと納得のエピソードばかりでもっと面白いんじゃないかと思うけど、映像化するにはなかなか難しい部分もあったような気がしますわ。
まぁ基本、原作を超える映画っていうのは、そうそうありませんから。(^^;;;;;
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apple (レベル7)
2008-06-18 22:59:08
宮部みゆきと聞いてふと浮かんだタイトルです。
ずいぶん前に読んで面白かったのを覚えてます。

最近は少し古めの原作を使う傾向があるのでしょうか。
これも未読なので内容は興味があります。

配役はよさそうなので、大ハズレはないと思いますが、果たして…
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レベル7さん???^^;;; (ルールー)
2008-06-19 21:27:59
ぷるぷる~???ですよね?
名前とタイトル書く順番間違ってますわ。(笑)

そうそう、この作品も原作はずいぶん前に発表されたみたいで、古めの、というわけでもないんだろうけど古い作品も見直されているって感じなんでしょうかね?
映画もまぁまぁ楽しめたけど、これも原作を読んでいたら「違うぅ~」という感想になったのかも?
たぶん原作はもう少し全てに整合性があるんだと思いますわ。
もうそろそろDVDが出るみたいなので、とりあえず気がついたら見てみてね☆
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失礼しました(^^;; (apple)
2008-06-21 12:43:44
お恥ずかしいです。正真正銘私のカキコです。
といっても証明するものはありませんが…。
これからは気をつけます。
といいながらまたやるかもしれませんが

DVD見てみます。
ありがとうございました。
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ぷるぷる~♪ (ルールー)
2008-06-23 11:37:45
お返事遅くなったでやんす。
いや別にぷるぷるらしいな~と思って笑わせてもらったのでいいのでやんすなのだ。
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気になる作品 (Prism)
2008-07-13 16:18:25
ルールーさんが記事に書いている大森南朋のくだりは、
原作を読んでいてもやるせないです。

私は原作を読んでいますが、
観ようか迷っている作品だったので、
ルールーさんのレビューが参考になりました。
ありがとうございます。

P.S.コロンボのムックは私も持っていますw
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Prismさん♪ (ルールー)
2008-07-13 21:32:54
こんばんはー☆
コメントありがとうございます♪

いや~Prismさんは原作読まれているのなら、やっぱり原作の方が・・・と思われるかもしれません。
原作が素晴らしい場合、かなりの確率で映画が上回ることはないとわたしは思っているので。(^^;;;;;

わたしは未読だったので、きっと原作じゃもうちょっと全てに整合性があるんだろうな~とかいろいろ想像しながら見ていて、ただ映像にするとこれくらいでしかたないんだろうな、くらいの広い気持ち(爆)で観れたのがよかったのかもしれません。

ただ、原作でもそうだったという大森南朋のくだり、このエピソードは他のエピソードに比べても出色の出来栄えでした。
本当にやるせなかったです。。
エピソードそのものもそうなんですが、大森南朋たち、このエピソードに登場する俳優陣の演技もとてもよかったですよ。

>P.S.コロンボのムックは私も持っていますw

ムフフ、Prismさんもお持ちですかー
DVDを見ていると、これがあるとよりお話に深みも感じられますよね~
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