これは観た方がいい…いや、観るべき映画だと思います。
わたしはルワンダという国すらよく知らなかった…
※オフィシャルサイト
この映画は、“感動”とか“美談”とか、そんな生易しい言葉では言い表せない話だと思います。
前評判も聞いていたし、「愛する家族を守りたい…ただ1つの強い思いが、1200人の命を救った…」というキャッチフレーズもあったので、その額面通りの“感動”を想像していました。
でも真実はもっと重かった!
映画を観ている間中、泣くことも忘れてその場に凍りついたというか、そのあまりの衝撃に魂がぶち抜かれてしまっていたというか。
それは観終わってしばらくしても、消えるどころかますます心に重い影を落としていて、想い出すだけで心が熱く、そして痛くなるのでした。。
なんというか一種のトラウマ?みたいな特別な感情。。
やるせなさ、無力感、痛み、哀しみ、恐怖…
でも、観たからこそ感じられる、熱い情熱と希望。
…1994年、アフリカはルワンダで起きた100万人もの大虐殺…
この映画は、ルワンダで長年に渡って続いていた2つの民族「多数派のフツ族」と「小数派のツチ族」の民族間争いが大虐殺に発展し、100日間で100万人もの罪なき人々が殺された時、外資系4つ星ホテルに勤める支配人ポール(=ドン・チードル)が行き場のない人々をホテルにかくまい、自らのホテルマンとして培った話術と機転のみで事態を打開して、1200人もの避難民の命を守り抜いたという感動の実話です。
ようやく和平協定が結ばれようとしていたさなか、街には「フツ族の民兵によるツチ族の虐殺が進行しつつある」という不穏な噂が流れ、遂に何物かにフツ族の大統領が暗殺されるのです。
風説の流布じゃないけど、ツチ族の仕業だと「ラジオ」でデマ?が流されて、それが一般のフツ族をも狂気に走らせ、積年の恨みを晴すかのように100万人ものツチ族の犠牲者を生んだわけです。
そして世界の無関心が、より悲劇を大きくしてしまった…
目を覆いたくなるような残虐な殺害シーンなどは、視覚的にはほとんどないです。
でもポールが食料を調達しに街に出てホテルに戻るとき、霧の中で足場の悪い道に間違って入り込んでしまうのですが、それは屍体が折り重なって横たわる道で、車は屍体に乗り上げながら走らせていたのでした。
彼らのやるせない哀しみがかえって強く心に残り、演じていた彼ら、特にドン・チードルはアフリカ系アメリカ人だそうですが、彼のアイデンティティを思うといったいどんな気持ちだったのだろうと息苦しいような思いがしました…
このドン・チードルがとにかく素晴らしかったです。
頼もしいヒーロー像ではなくて、ただ自分の家族を守りたい、それだけを考えていた普通の父親であり、生死の境界線に立たされても隣人達を見捨てることができなかったという、人として普通のレベルの正義感を持った人物を、非常に誠実に巧く演じていたと思います。
他にもルワンダに駐在する国連『平和維持軍』のオリバー大佐役のニック・ノルティ、ジャーナリストのカメラマン役のホアキン・フェニックス、ノンクレジットながらホテルオーナー役で出演していたジャン・レノ等、印象深い役者たちの演技が本当に胸を打ちました。
でも、もっとわたしの胸を打ったのは、虐殺のシーンをカメラに収めたカメラマンのジャックが、この映像が流れればきっと世界が我々を救ってくれるはずだと言うポールに対して放った一言、
「この映像を流しても、世界は『大変だね』と言ってまたディナーに戻るだけなんだ…」
本当に彼の言葉通り、現実には世界の誰もルワンダの悲劇に手を差し伸べようとしなかったし、実際わたしは恥ずかしいことにほとんど知らなかった。
途中、国連軍が負傷した国連兵士と職員、外国人だけを助け出し、ルワンダ人は取り残されるシーン(トップ画像)で、なす術もなくバスに乗り込むカメラマンのジャックが自らの無力さに己を恥じていましたが、本当にそんな感じ…
知ったからといって何もできないのは変わらないけど、知らないよりはずっといい。
映画を観て何かを感じとられることが、何故?とその歴史に目を向けることが大切なのだ…と思う。。
2004年のアカデミー賞の主演男優賞・助演女優賞・脚本賞を取った映画ですが、日本での公開のメドは全くなかったのが、ネット上で運動してくれた人たちがいて、少ない映画館ですがようやく公開にこぎつけたとか。
わたしが観た渋谷のシアターN渋谷では、当初2つあるフロアの1つでしか上映されない予定が、あまりの人で、もう1つのボブ・デュランの上映を押しやって2フロアで時間差で上映してました。
お仕着せの感動シーンはありません。
ある意味ルワンダの虐殺という歴史を後世に伝えるのが目的の映画とも言えます。
でもただ単に虐殺の残酷さをアピールするものではなく、またセンチメンタリズムに終止した映画でもない。
普通の父親が勇気を出して困難を乗り越え、家族を愛し守りぬいたお話です。
事実はとっても重いけど、情熱や希望も感じられる映画でした。
「観てよかった」「知ってよかった」と思えた映画。
とにかくこの映画には、人間の心の奥底を揺さぶるパワーがあると思う!
多くの人に観てもらいたいと思った映画でした。
・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★★★★(90点/100点満点)
※感動というより衝撃、だけど観てよかった映画
←ひっそりと参加中♪(笑)_(-_-)_ペコリ
当ブログの【映画レビューINDEX】
わたしはルワンダという国すらよく知らなかった…
※オフィシャルサイト
この映画は、“感動”とか“美談”とか、そんな生易しい言葉では言い表せない話だと思います。
前評判も聞いていたし、「愛する家族を守りたい…ただ1つの強い思いが、1200人の命を救った…」というキャッチフレーズもあったので、その額面通りの“感動”を想像していました。
でも真実はもっと重かった!
映画を観ている間中、泣くことも忘れてその場に凍りついたというか、そのあまりの衝撃に魂がぶち抜かれてしまっていたというか。
それは観終わってしばらくしても、消えるどころかますます心に重い影を落としていて、想い出すだけで心が熱く、そして痛くなるのでした。。
なんというか一種のトラウマ?みたいな特別な感情。。
やるせなさ、無力感、痛み、哀しみ、恐怖…
でも、観たからこそ感じられる、熱い情熱と希望。
…1994年、アフリカはルワンダで起きた100万人もの大虐殺…
この映画は、ルワンダで長年に渡って続いていた2つの民族「多数派のフツ族」と「小数派のツチ族」の民族間争いが大虐殺に発展し、100日間で100万人もの罪なき人々が殺された時、外資系4つ星ホテルに勤める支配人ポール(=ドン・チードル)が行き場のない人々をホテルにかくまい、自らのホテルマンとして培った話術と機転のみで事態を打開して、1200人もの避難民の命を守り抜いたという感動の実話です。
ようやく和平協定が結ばれようとしていたさなか、街には「フツ族の民兵によるツチ族の虐殺が進行しつつある」という不穏な噂が流れ、遂に何物かにフツ族の大統領が暗殺されるのです。
風説の流布じゃないけど、ツチ族の仕業だと「ラジオ」でデマ?が流されて、それが一般のフツ族をも狂気に走らせ、積年の恨みを晴すかのように100万人ものツチ族の犠牲者を生んだわけです。
そして世界の無関心が、より悲劇を大きくしてしまった…
目を覆いたくなるような残虐な殺害シーンなどは、視覚的にはほとんどないです。
でもポールが食料を調達しに街に出てホテルに戻るとき、霧の中で足場の悪い道に間違って入り込んでしまうのですが、それは屍体が折り重なって横たわる道で、車は屍体に乗り上げながら走らせていたのでした。
彼らのやるせない哀しみがかえって強く心に残り、演じていた彼ら、特にドン・チードルはアフリカ系アメリカ人だそうですが、彼のアイデンティティを思うといったいどんな気持ちだったのだろうと息苦しいような思いがしました…
このドン・チードルがとにかく素晴らしかったです。
頼もしいヒーロー像ではなくて、ただ自分の家族を守りたい、それだけを考えていた普通の父親であり、生死の境界線に立たされても隣人達を見捨てることができなかったという、人として普通のレベルの正義感を持った人物を、非常に誠実に巧く演じていたと思います。
他にもルワンダに駐在する国連『平和維持軍』のオリバー大佐役のニック・ノルティ、ジャーナリストのカメラマン役のホアキン・フェニックス、ノンクレジットながらホテルオーナー役で出演していたジャン・レノ等、印象深い役者たちの演技が本当に胸を打ちました。
でも、もっとわたしの胸を打ったのは、虐殺のシーンをカメラに収めたカメラマンのジャックが、この映像が流れればきっと世界が我々を救ってくれるはずだと言うポールに対して放った一言、
「この映像を流しても、世界は『大変だね』と言ってまたディナーに戻るだけなんだ…」
本当に彼の言葉通り、現実には世界の誰もルワンダの悲劇に手を差し伸べようとしなかったし、実際わたしは恥ずかしいことにほとんど知らなかった。
途中、国連軍が負傷した国連兵士と職員、外国人だけを助け出し、ルワンダ人は取り残されるシーン(トップ画像)で、なす術もなくバスに乗り込むカメラマンのジャックが自らの無力さに己を恥じていましたが、本当にそんな感じ…
知ったからといって何もできないのは変わらないけど、知らないよりはずっといい。
映画を観て何かを感じとられることが、何故?とその歴史に目を向けることが大切なのだ…と思う。。
2004年のアカデミー賞の主演男優賞・助演女優賞・脚本賞を取った映画ですが、日本での公開のメドは全くなかったのが、ネット上で運動してくれた人たちがいて、少ない映画館ですがようやく公開にこぎつけたとか。
わたしが観た渋谷のシアターN渋谷では、当初2つあるフロアの1つでしか上映されない予定が、あまりの人で、もう1つのボブ・デュランの上映を押しやって2フロアで時間差で上映してました。
お仕着せの感動シーンはありません。
ある意味ルワンダの虐殺という歴史を後世に伝えるのが目的の映画とも言えます。
でもただ単に虐殺の残酷さをアピールするものではなく、またセンチメンタリズムに終止した映画でもない。
普通の父親が勇気を出して困難を乗り越え、家族を愛し守りぬいたお話です。
事実はとっても重いけど、情熱や希望も感じられる映画でした。
「観てよかった」「知ってよかった」と思えた映画。
とにかくこの映画には、人間の心の奥底を揺さぶるパワーがあると思う!
多くの人に観てもらいたいと思った映画でした。
・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★★★★(90点/100点満点)
※感動というより衝撃、だけど観てよかった映画
←ひっそりと参加中♪(笑)_(-_-)_ペコリ
当ブログの【映画レビューINDEX】
映画を観てずいぶん経ちますが、これほど深い意味合いを持つ映画もなかなかありません。
ガーッと衝撃受けて、いろいろ背景とか調べただけで何ができるわけでもできたわけでもないけれど、確実に心に何かを残してくれた映画でしたね。
でー、井筒監督の『パッチギ!』ぜひ観てくださいね~(^^;;;;;
わたしは2005年のNo.1にあげてまーす。
ということで今後ともよろしくです~
こちらこそ、TB&コメントありがとうございました。
こうやって改めてほかの方の記事読んでいると
あの映画のすごさとか、ルワンダの悲惨さが
すごく思い出されます。
たまたまこの映画の主役たちは助かったからよかったけど
そうでない人たちがあまりに多すぎて。。。悲しいです。
でも私も恥ずかしいことにこの事件はおろか、ルワンダという国を知らなかったです。
こうやって映画で知れてよかったかも。。。
また遊びに来ますね。よろしくお願いします
山形でもようやく公開されているようですね。
上映前に歴史講座を開かれたて聞き、羨ましく思っていました。
上映期間は短いようですが、できるだけたくさんの人に観てもらえることを祈っています。
今後ともよろしくお願いいたしま~す
出来れば理解を深めてもらいたい。
そんな思いで、講座を開きました。
理解を助ける資料もつけたつもりなので、もし良かったら、見てみてください。
当初日本では上映のメドも立っていなかったのが、署名活動からようやく始まって、しかもこんなに長く上映されているなんて本当によかったですよね。
わたしなんてかれこれ観てから2ヵ月経ってますが、まだ思い出すだけでジーンときますもん。
多くの人に観てもらいたいです。
今後ともよろしくです~
日本での上映も署名活動から始まったと聞き、これも素晴らしいことと感じました。
先日このメッセージの返事を書いている途中で急に睡魔に襲われ気を失ってしまったようで(^^;)遅くなりました。
この映画はいろんな意味でわたしにとって影響力がありました。
映画に出ている俳優さんたちの、その後の作品にも非常に興味を持っています。
ところでhiroさんのブログは、わたしも書こうかな~と思っていることが多いのでコメントしやすいんです。(^^;;;
今後ともよろしくです~
とっても共感を覚えました。
TBさせて頂きました。
ぼくのブログにもよく訪問いただき、
大変有難うございます。
お名前はよくお見かけしてます~
なんだか新年の始めにこんなすごい映画を観てしまうと、他の映画がフツーに見えてきそうですね
昨日から上映館もいくつか増えたみたいですし、これからアメリカみたいにジワジワ広がるといいですね。
今後ともどうぞよろしくです~
>「観てよかった」「知ってよかった」と思えた映画。とにかくこの映画には、人間の心の奥底を揺さぶるパワーがあると思う!
正に、このお言葉に尽きると思います!まだまだこれからも、周囲でおススメしていこうと思っております。
ドン・チードル本当に素晴らしかったですね。
他の大物俳優だったら、きっと全く別の意味を持つ映画になってしまっていたところでした。
なんかこの映画は、俳優達の謙虚で誠実な演技も光ってましたね。
今後ともよろしくです~
ええ、この作品、とにかくドンチードルです
渋谷の上映フロアもなんですが、昨日から銀座など他映画館でも上映が始まったようで、どんどん増えているようですね。
とにかくいろんな人に観てもらいたい、というか、観るべき映画のような気がします。
今後ともよろしくです~
満員札止めの日が出ていたとは聞いていましたが
たくさんの人に見てもらえるように
他の館へも上映が広がってくれたらいいですね。
>絵葉書には、斜面でまっすぐ並んで農作業をする幸せそうな笑顔の人々がうつっていました
そうなんですか、お友だちがいらっしゃったんですね。
ホントにね、農業とか牧畜とか、そういうことが主だった産業の国みたいですね。
「フツ族」も「ツチ族」も、ただ単にそのどちらを生業にしているかで分かれたという、厳密には異なる民族集団ではないらしいです。
それなのに無理矢理分かれさせられて、一部の集団の悪意からこんなに大きな虐殺になったという…とてもやるせない気持ちになりました。
それから世界の無関心にもすごい衝撃受けました。
アフリカってどうしてこんなに虐げられなきゃいけないの?
でもホントにこの映画にはすごい力を感じましたよ。
ぜひぜひ観てくださいね~♪そして観たら感想教えてね。
平和ないい国だな・・とあこがれていたのに、あの虐殺が始まった時は、本当にルワンダのことなのかと信じられませんでした。
世界のどこかで虐殺や紛争がいまも続いている。
そのことを忘れないためにも映画の力を信じたいですね。