説明不要の人気スパイ・アクション最新作。
監督はブラッド・バード。
前作の監督J.J.エイブラムスはプロデューサーに。
主演は言わずと知れたトム・クルーズ。
1作毎に監督が代わる、このシリーズ。
当然、その監督の個性が出るワケで、それが面白さでもある。
2作目のジョン・ウーの時は、アクションがド派手で、全体に男クサイ感じ。
3作目のJ.J.エイブラムスの時は、サスペンス要素が強かった。
今作のブラッド・バードは、アニメ畑の監督で、実写映画は初めて。
アニメ→実写という流れは、最近わりに多い気がする。
全部が全部ではないけれど、アニメ出身の監督はリズム感やテンポが良い。
なので、不安よりは期待の方が大きい状態で鑑賞。
まず、冒頭。
オープニングへと続く、一連のシークエンスが非常に秀逸。
カメラワーク、リズム感ともに好印象。
音楽も相まって、非常にキャッチー。
そして、一般的な映画では見なくなったオープニング映像へ。
確かにエンドロールにまとめてしまえるものではあるけれど、
『007』やこの『M:I』シリーズのオープニングは欠かせない。
全体を通して、テンポが良く、リズム感のある映像。
これは、アニメ畑出身のブラッド・バードの手腕かな、と。
ユーモアが織り込まれている分、アクション自体はハードでも心地良く進んでいく感覚。
3作目のJ.J.エイブラムスが、シリアスな心理描写で緊迫感を演出したのとは正反対。
どちらがいいかは好み次第だけれど、個人的には今作の方が好き。
映画の完成度は別の話として、『007』や『M:I』は”夢のあるアクション映画”。
それこそ”不可能を可能にする”べきで、あくまでも”格好良く”あるべき。
そういった意味で、今作は1作目と2作目を足して割ったような印象。
主演のトム・クルーズには、正直びっくり。
相変わらず若々しいし、スタントも全て自分でこなしている。
今作1番の見せ場でもある、ドバイの高層ビルでのスタントは圧巻。
地上800メートル以上のビルの”外壁を走れるスター”は、そういるものじゃない。
前作から続投のサイモン・ペッグなど、脇を固める役者陣も上々。
世界各地を巡る展開に合わせて、各国の一流どころをしっかり起用している。
『M:I』シリーズと言えば、様々なスパイ兵器も魅力の1つ。
今作でも、面白いアイテムが色々と登場する。
ただ、個人的に思ったのは「イーサン(トム)のスーツ姿がかっこいい」(笑)
衣装や小物に至るまで、きちんと一流物を使うあたりはさすがハリウッド。
『007』のボンドもそうだけど、オシャレでウィットに富んだキャラクターは魅力的。
そうしたセレブ感も、この2大スパイシリーズの特徴かもしれない。
音楽はマイケル・ジアッキノ。
バード監督の『レミーのおいしいレストラン』や、
J.J.エイブラムスの『スター・トレック』でスコアを担当。
古典的なオケサウンドを、見事に現代風にアレンジしている。
『M:I』のテーマ音楽の盛り込み方も上手かったと思う。
これは編集の妙でもあるけれど、映像との調和も素晴らしい。
最近の映画音楽の問題は、ジマーの二番煎じが多すぎるところ。
ジマーの曲調は大好きだけど、マネは所詮マネでしかない。
そんな中、流行りは押さえつつ、しっかりと自分の”音”を出しているな、と。
そういった意味でも、今後も期待したい逸材。
個人的には、『M:I』シリーズで最も良かったと思う。
ただ、前3作もクオリティは高いので、純粋に好みの問題。
なんにしても、是非とも映画館で観て欲しい映画。