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Time Out

英国はヴィクトリア朝をメインに創作関係や自サイト、雑記などを写真やイラストと共にお送りしていくのらりくらりなブログ。

ヴィクトリア時代の使用人 vol.22 階下の社会生活:食事をするのも一苦労

2007-05-27 02:38:35 | 使用人関係
英国メイド漫画を以前から描いていますが、やはりプロの方のを見ると想像がどんどん進んでいって今までの描き終えたページとかをまた描き直したい衝動にかられます。さらにDVDを見てしまうとだめですね。いろいろと資料という名目でもう20冊以上の英国関連の本、特にヴィクトリア朝に関するものが増えてます。このシリーズヴィクトリア時代の使用人の最後に参考にした書籍を一気に列挙使用と思います。
さて、今回のテーマは、使用人だろうが貴族だろうが切っても切れないのが食事です。この食事、使用人たちはいったいどのようにとっていたのでしょうか?自由にとれる時にとっていたのか?それとも飲まず食わずの自己犠牲?彼らの食事風景を少しのぞいて見ましょう。


◆食事をするのも一苦労

1. 管理化の中の食事風景

食事については以前少し触れましたが、食事は各自が自由に食べられるわけではありませんでした。基本的には使用人は食事の時間をいったん上級使用人、下級使用人共にとり、後に上級使用人だけが別室でとるという形態でした。まず下級使用人が食堂または使用人部屋に列になり入り、所定の席に「座らずに」待ちます。次に上級使用人が列になって入り、食事が始まります。まず最上級職である家令、または執事か家政婦が上座に座り肉を切り分けます。もちろんですが使用人の階級の高い順に食事が支給されるため、人数の多い屋敷では最下位の使用人に食事が回るまでに相当な時間がかかりました。次に食事が支給されたらお祈りをし、食事が始まります。しかし、ここでも使用人全員が食事をとれるわけではなく、執事付き、家政婦付きの使用人が彼らの給仕をしなければならないことは忘れてはなりません。食事中は、下級使用人は上級使用人から話し掛けられない限り口を開くことは禁じられていました。さらに、食事のマナーもここで使用人たちは学びます。上級使用人たちを手本に徹底したマナーを学びます。そのため大邸宅では使用人の使う食器もそれなりのものを用意していました。


邸宅では基本的に食事はフルコースを用意されます。すべてのコースを上級使用人と下級使用人が共に過ごす場合は悲しいことがしばしば起こりました。執事の食事の終了と共に全ての使用人の食事も終了しなければならないからです。もともと下級使用人は食事を受け取るまでにひどく時間がかかり、上級使用人の食事のスピードに追いつくことが難しいため満足に食事を終えることができずに終わることがあったのでした。しかし、大抵は最初のコースが終えた時点で上級使用人はパッグズ・パーラ pug’s parlor (上級使用人の私室、例えば家政婦室など)に向かい、そこで残りのコースをとり、後にデザートやお茶とコーヒーを飲むので、下級使用人が食事の時間を楽しむことができなかったわけではありませんでした。


2. 使用人の食生活

使用人たちの食生活もしかしながら決して豊かではありませんでした。大きな屋敷ではもちろん食料は大量に備蓄されていましたが、それが使用人のために回ることも少なく、日々の食事は主人たちの残り物ということも少なくありませんでした。また出された食事が毎回大きな生焼けの肉の固まりだったと雑誌に投書する女中の話も残っています。うんざりするような食事のメニューだとしても食べられるだけ幸福な場合も存在しました。一時では使用人の食事に関する倹約が世間で重要視され、女主人の外出時は最低限の食事(パン一切れとチーズ)を残して、食料貯蔵庫に「鍵をかけて」出かけたという話もあります。またお茶と砂糖は当時高級品として使用人が気軽に口にできるものではなかったため長い歴史を持つ屋敷では使用人の常備の飲み物がビールであったこともあります。もしも使用人である彼らがお茶を飲みたくなれば、自分たちのお金を出さねばならなかったのです。そこで彼らは主人の飲み終えたお茶の出がらしを再利用して紅茶を入れるしかありませんでした。しかしそれすらも使用人の「私腹を肥やす行為」として雇用者が禁止した例もありました。



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