放送大学で、学んでいます

大学を出ているので、編入で全科生になりました。心理学を中心に学びまして、今は、再入学により、再び学びを始めました。

デヴィッド・クローネンバーグ監督「危険なメソッド」鑑賞

2012年11月04日 | 哲学・思想・雑感

アルド・カロテヌート「秘密のシンメトリー」入江良平ほか訳、みすず書房、1991年という書物が話題になった頃には、「ユング心理学」が流行っていて、私も、当時目を通したことがあった。その後、シュピールラインを巡る話題を取り上げた書物も発刊されている。精神分析は、フロイトにより編み出された一種の「治療論」であって、たとえば、無意識の図式化に関しても、学問的体系化の過程で変化しており、初期の理論では予定されていなかった「タナトス(死の本能)」を概念として取り入れたのであるが、その源泉がシュピールラインの洞察にあったとされ、そのシュピールラインがユングのクライエントであったことなどから、様々な憶測が飛び交いこの三者関係は、注目されていた。

ちなみら、この映画のストリーは、ウキペディアによると「1993年のノンフィクション本『A Most Dangerous Method』の舞台版である『The Talking Cure』(2002年)を原作としており、その脚本家でもあるクリストファー・ハンプトン自らが脚色した」となっている。

この映画は、背景となる精神分析や分析心理学のような深層心理学の知識なしに見ることは、日本史の概要を知らずに坂本龍馬のドラマを見るのに似て、分かりにくいかもしれないし、ユングの家の玄関に掲げられた「ことば」が、そのストーリーとどう関係するのかを見逃すかもしれない。逆に言えば、細かいディテールをいくつ指摘できるかが、見るものに問われているのかもしれない。たとえば、フロイトは葉巻をくわえているのに対し、ユングはパイプをくわえている。また、連想心理実験のシーンなども興味深い。

 

いろんな連想がわき起こってくるが、第二次世界大戦前後の精神療法の状況が、このようなものだとすれば、たとえば、千里眼研究で有名な福来友吉のありようなども、解釈可能かもしれない。

 


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