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路地裏の古本屋 ~さきわい書院だより~

通販古書店さきわい書院(奈良市)の店主によるブログです。古本についての話題などをお届けします。

内容見本の推薦文

2013年05月06日 | 出版史資料室
 個人全集などの内容見本(あるいは案内パンフレット)には作家・研究者・評論家などの推薦文が寄稿されていることが多いです。いくつか、紹介します。

野上彌生子全集  岩波書店  1997年刊行開始
 加賀乙彦、竹西寛子

瀬戸内寂聴全集  新潮社  2001年刊行開始
 梅原猛、江國香織、大庭みな子、竹西寛子、林真理子、水上勉、村上龍、山田詠美

森茉莉全集(生誕百年記念限定復刊)  筑摩書房  2003年刊行(?)
 田辺聖子「森茉莉さんの新しい魅力」、矢川澄子「デカダンスの先覚者」、北杜夫「天衣無縫の人」、群ようこ「アメとムチの文章」

田辺聖子全集  集英社  2004年刊行開始
 瀬戸内寂聴「小説の名人」、江國香織「耽溺せよ」

石牟礼道子全集不知火  藤原書店  2004年刊行開始
 五木寛之「苦界の奥にさす光」、白川静「現代の失楽園の作者」、鶴見和子「独創的な巫女文学」、多田富雄「不知火の鎮魂の詩劇」、瀬戸内寂聴「日本の良心の文学を」、大岡信「世界を多重構造として見る目」、河合隼雄「「自然」の言葉を語る人」、志村ふくみ「あたたかいやわらかさ」、筑紫哲也「「一堂に会す」歓び」、金時鐘「芸術家の本質としての巫女性」


「広辞苑ものがたり」(岩波書店)

2013年04月14日 | 出版史資料室
 『広辞苑(第六版)』の刊行にあたって、2007年に岩波書店から発行された小冊子(A6判、20頁)です。
 広辞苑刊行の歴史、活字・抄紙・製本・描画・校閲などの話題、堀井令以知「新村先生のお人柄を感じて」、推薦文(山口仲美、玉村豊男)などが掲載されています。第六版では市町村の合併にともなう修正項目が1万を超えたということです。
 ちなみに『広辞苑』は新村出(しんむら・いずる)が編纂した『辞苑』(博文館、1935年)を全面的に改訂・増補したのが始まりです(1955年)。


辞書づくりの労苦

2013年04月07日 | 出版史資料室
 「まず、紙の辞書を!」と題する辞典協会発行の三つ折りリーフレットがあります。三省堂で『大辞林』(1988年刊行)の編集に携わった倉島節尚(くらしま・ときひさ)さんが「輪転機が動くまで」と題する一文を寄せています。項目選定用に手書きしたカードが35万枚近くになったこと、活字による組み版ができあがってから、分量圧縮や書き換え(当時、国鉄民営化により関連項目の全面的見直しが必要になった)が求められたことなど、辞書づくりの労苦が語られています。実際の校正紙の図版も掲載されています。

福武文庫

2013年04月01日 | 出版史資料室
 福武文庫は1985年に刊行されましたが、2000年頃には廃刊になりました版元は福武書店でしたが、1995年に社名をベネッセコーポレーションに変更しています。福武文庫には海外の幻想文学、ミステリーなどに貴重なものがたくさんありました。廃刊が惜しまれる文庫です。福武文庫は本体に「紐しおり(スピン)」が付いているのが特色のひとつでした。ちなみに新潮文庫は現在も紐しおりが付いています。画像は1987年の福武文庫解説目録と増田みず子の『麦笛』(1986年刊行、桶谷秀昭解説、作者と河野多恵子との対談を収録)です。