とても私的なことなのですが、
ここ最近、わたしにとって、とても大切な方々が相次いで
旅立たれました
お一人は
先日トヨタ自動車の名誉会長をされていらっしゃった豊田章一郎名誉会長。
もうずいぶん前のことになりますが、名誉会長は、トヨタ自動車関連の研究所で勤務させていただいていた折、
その研究所の代表をされていらっしゃった関係で、当時わたしは秘書業務をさせていただいていたこともあり、8年間ほど、月に数回程度、お仕事でご一緒させていただいていました
と言っても、取締役会、株主総会、研究会などの他は、いらっしゃった際のお出迎えや、お見送り、そして来客の応対時のお茶出しなどがほとんどでしたし、本社の秘書の方々が同行されますので、直接お話する機会は、たくさんではなかったのですが、
それでも、年数を重ねていくにつれて、お見送りや、お出迎え後の短い時間のなかで、雑談をしてくださる機会もあり、その際にとても緊張しながらも、率直にお話してくださるご様子が、とてもうれしく・・・励みになっていたことが、懐かしく思い出されます
一度、お出迎えの際に、
エレベーター内の花瓶の花が枯れてしまっていたことがありました
わたしの担当ではなかったこともあって、ついうっかりチェックを忘れてしまい、
そのままご一緒にエレベーターに乗った際に、
花が枯れていることに気がついたので、もう後は祈るのみ・・・
どうか気づかれませんようにと、心から願っていたのですが・・・
やはり、気づかれてしまって・・・
直接口頭での注意こそされませんでしたが、花瓶とわたしの顔をじっと交互にみられたので、申し訳ありません! 担当でなかったので、チェックし忘れました
とは、絶対に口に出せないので、心の中で呟いていましたが、
なぜか、視線のみで、担当であろうがなかろうが、あなたは、これで良いと思っているのですか
あなたは、これを見て、どう思うのですか
と、問われたような気がして‥
お帰りの際までに間に合うように、慌てて、花屋さんに走ったことが思い出されます
いつもとてもとてもお忙しくされていらっしゃり、スケジュールの調整をしていただくことも大変でしたが、そんななかでも、常に細部にまで気を配られ、ちゃんと見届けてくださる方だという印象がありました。
発言に嘘がなくて、率直に意見を述べられますが、裏表がなく、心と言葉が一致されていらっしゃるので
なぜかとても安心できる存在でいらっしゃいました
失敗することもありましたが、それでも、美味しくお茶が入れられた気がするなって思う時には、
ちゃんと頷いてくださったり、お帰りの際に、お見送りさせていただくと、お車の窓ガラスを開けて、会釈してくださることもあって、そんな時には、きっといろいろちゃんとできていたのだろうと思って、勝手にうれしくなっていたものでした。
とても厳しい面をもたれていらっしゃると同時に、若手のスタッフや、研究者にも気さくに話しかけてくださったり、時には言葉で、時には態度で、あたたかく導いてくださった方でした。
印象的なことは、たくさん思い出されますが、万博でロボット演奏が行われた際に、お客様から拍手が起きた際に、
ご自分のことのように、とてもうれしそうに笑っていらっしゃったお顔が、とても印象的でした
万博を通して、きっとたくさんの方々の喜びに繋がったことが、うれしく感じられたご様子が、
とても印象的で、心があつくなったことがありました
そして、生涯、エンジニアとしての一面をもたれていらっしゃったのだと思います
だからこそ、おいくつになられても、現地現物、そして好奇心旺盛で、直接お会いして、直接ご自分の目で確かめる‥
若手の技術者や、研究者の方とお話されるのも、とてもお好きだったように思います
話される内容も、難しい内容でなく、とてもシンプルで、わかりやすく、とても筋が通っていて、
社会のためになるのか
人のため、そして人類のため‥
世の中にどのような影響をもたらすのか、
常にそのようなお心をお持ちで、どこかあたたかさを感じる方でした
時には厳しい一面もあられましたが、その後、こっそり笑っていらっしゃる姿を拝見して、
不謹慎かと思いますが、章一郎さんは、ほんとうに憎めない方だなぁと、思ったものでした
その後、離職し、現在の作家活動に入ったのですが、数年後に、展覧会場で、わたしの作品をご覧いただく機会に2度ほど恵まれ、そのことが、今思い出しても、ほんとうにうれしく、貴重な機会をいただけて、ほんとうに良かったなって思っています
お礼状を書いた後に、もう一度奥様とご一緒に、作品を拝見していただく機会に恵まれ、
ほんとうにありがたかったですし、うれしかったことが思い出されます
ただ、お約束させていただいたことは、今となってはもう叶わず、残念でなりません‥
この国の自動車業界だけでなく、この国を支えてくださった大きな柱のような存在の方と、
ご縁をいただき、短い時間でも、ご一緒できたこと、お考えに触れる機会をいただけたこと、心から感謝しています。
これからも、きっと見守ってくださると信じています
名誉会長
おつかれ様でした
長い年月にわたって、ほんとうにありがとうございました
ほんとうにお疲れさまでした
そして、ご生前にはきっと叶うことのなかった親子ご一緒での故郷へのドライブが
叶わられて、ほんとうによかったです
お立場上、なにかとご制限のあられるご生涯だったと思われますが、
ほんとうに長い年月にわたって、ありがとうございました
今となっては、あの時書かせていただいたお約束が果たせず、残念でなりませんが
きっといつかご報告させていただきたいと思います
どうかご冥福を、心からお祈り申し上げます
そして、今度は、天から見守って導いてくださることを、信じております
そして、もう一人は、坂本龍一さん・・・
自分の意志で、行った最初のコンサートは、坂本龍一さんのコンサートでした
はじめて聴いたときに、なんだかわかないけど、とても惹かれて
すごくすごく好きになって、担当されていたラジオ番組 サウンドストリーム?だったかな・・・
子供にしたら、夜更かしの時間だったように思いますが、ずっと聴いていました
そんな頃から、環境のことも話題にされていらっしゃり、世界のこと、戦争のことなども
話されていらっしゃったように思います
子供時代から、ここ最近まで、わたしのなかに、すごく大きな影響を与えてくれたアーティストの方でした
ずっと好きで、その活動内容にもいつも刺激を受けた方でした
晩年・・・ご病気との闘いのなかにおいても、その信念は変わらず、音楽活動も社会活動もずっと継続され、
さらに研ぎ澄まされていくかのような音楽に
感動せずには、いられませんでした
もっともっと長く、居て欲しかった・・・
でも、ほんとうに、お辛かったと思います
最後のライブなどは、痛々しくて、見ていられなかった
ほんとうにお疲れさまでした
ご冥福を、心からお祈り申し上げます。
そして、今度は、天から見守って導いてくださいますように
ひとつの時代が終わったように感じるお二人の旅立ち・・・
きっとあたらしいなにかが始まろうとしているのだと思います
とても残念なことですが、それでも、きっとあたらしい時代に向けて、たくさんのメッセージを残してくださったと信じています
感謝と哀悼の意を込めて