リートリンの覚書

麁服と繒服 9 日本・古代人の服の生地、庶民の服の生地


日本・
古代人の服の生地、庶民の服の生地


わが国の古代人は

カジノキ、フジ、麻などの

繊維で織り上げた布、

栲(たえ)をまとっていました。



その織物は、

・荒妙(あらたえ)
織目の粗い粗末な布

・和妙(にぎたえ)
織目の精緻な布

・倭文(しつ、しづり)
よこ糸で乱れ模様を織り成した綾布

・綺(かにはた、かんばた、かむはた)
日本固有の錦織り

などがあります。

それを司る
服部(はとり)、錦部(にしごり)
などの伴部がありました。

我国の養蚕は、
これらの織物技術を背景にして、
わずかにあった固有の養蚕と
外来民族のたずさえてきた養蚕が
一体となり定着したものだといわれています。

したがって、
素材は麻から絹に変っても
伝統の織物技術と
中国渡来の機械技術者である
呉服部(くれはとり)の技とが融和して、

あらたな絹織物の伝統を
築きあげていったのです。

日本の生糸が
中国の生糸と同等の品質を
もつようになったのは江戸時代です。

それまでは
銀や銅を輸出し得た中国糸を用いて、
平安の雅の和装束の技術を発展させたのです。

絹は衣服の材料として
古い歴史をもっているとはいえ、

それはあくまでも支配階級に
属するひとたちの衣服についての話です。

わが国では、
庶民の多くは、
からむし(苧麻・ちょま)のような
麻の繊維で織った衣服を着ていました。

麻は植物の茎や幹の皮を細く裂いたもを使い
織り上げた織物を
「布(ぬの)」といい、

さらに粗い
コウゾ(楮)やシナノキ(科の木)
やフジ(藤)の木の皮で織ったものを
「太布(たふ)」と呼んでいました。

日本各地に
「麻績(おみ)」
「麻植(おえ)」
「麻布(あさぶ)」

のような、
麻にちなんだ地名が
たくさんあることからも、

麻のほうが絹より庶民にとっては
身近な衣服素材であったことが
うかがわれます。

わが国で、
麻に代わって庶民の繊維となる
木綿が普及するのは、
江戸時代になってからです。

一方、
上流階級の人たちの間では、
古代から絹が愛用されてきました。

唐の国からの舶来品が、
王侯貴族の手にわたり、

平安時代になると、
織り方も染色も、
かなり高度なものが出回るようになり、

中国との貿易が途絶えてからも、
国産の織物が
供給できるまでになっていました。

しかし、
この衣服の材料である絹糸、
そして絹糸を吐く蚕を飼う農民たちは、
絹物を着ることができませんでした。

昔は絹の糸や織物は米と同じように、
租税として
物納しなければならなかったため、

農民は蚕を飼い、
糸を繰り、機(はた)を織っても、
自分では絹を着ることができませんでした。

庶民が絹を着ることが出来ない、
そんな時代がつい半世紀くらい前まで
続いたのです。

 
・カジノキは、

神道では、

神聖な木として

諏訪神社の神紋や

家紋の梶紋の紋様にも使われています。


また、

古代から神に捧げる木として、

神社の境内などで植えられており、

神事の際には、

お供え物の敷物に使われていました。


・シナノキは、

日本特産種で、

九州から北海道まで分布。


繊維が強いことから

ロープなどにも使われています。


アイヌの人々は、

このシナノキを使って服を作っていました。



感想

古代人が衣服の素材に使っていた、

カジノキ、フジ、麻
これらを調べてみると…

おいおい、麻以外
木じゃねえか😨
こんな固そうな物で、
布作るの?

マジ、着心地悪そう😣
と思いましたよ。

でも、カジノキ、麻は
神聖な植物とされていますから
その辺が衣類の材料とされた理由でしょうか。

麻に関しては、
只今調査中です。
後日、ご紹介しますね。

学生の頃、
歴史の授業の際、
江戸時代以前
何故、絹を輸入しているのか?
疑問に思っていました。

先生は、ここのところ教えてくれないし、
かと言って、教科書には書かれていません。

今回初めて理由が分かりましたよ。

技術的に日本が
遅れていたからなのですね。

でも、不思議ですね。

先人の人々は、
外国から新しい技術や製品が
入ってくると…

分解して、模倣品作って、
それ以上のものを作り上げてしまう。
(例えば、鉄砲や大砲など)

何故?絹の技術は向上しなかったのか?

また、疑問が出来てしまった。
こりゃまた、宿題ですなぁ。

まぁ、おそらく
日々の生活に追われ、
試行錯誤、研究する
暇がなかったからでしょう。

そう、
江戸時代に様々な技術が向上したのは、
平和だったからでしょうね。

やはり、平和が一番。

さて、
今日はこれで。

最後まで読んで頂き
ありがとうございました。


参考にさせていただいた本

・シルクのはなし 
小林勝利 鳥山國士

・絹の文化誌 
篠原昭 嶋崎昭典 白倫 編著

・皇后さまとご養蚕 
扶桑社

・麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)
天皇即位の秘儀 践祚大嘗祭と二つの布
(著)中谷 比佐子・安間 信裕 監修 門家 茂樹


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