古事記 下つ巻 現代語訳 四
古事記 下つ巻
淡路島への行幸
書き下し文
是に天皇、其の黑日賣を恋ひたまひ、大后を欺きて、曰りたまはく、「淡道嶋を見むと欲ふ」とのりたまひて、幸行でます時に、淡道嶋に坐し、遙かに望けて、歌ひ曰りたまはく、おしてるや 難波の埼よ出でたちて 我が国見れば淡島 おのごろ島檳榔の 島も見ゆ佐氣都島見ゆ
現代語訳
ここに天皇は、その黑日賣(くろひめ)を恋いて、大后を欺(あざむ)いて、仰せになられて、「淡道嶋(あはぢしま)を見ようと欲(おも)う」と仰られて、幸行(い)でます時に、淡道嶋に坐(いま)して、遙(はる)かに望んで、歌い、仰せになられて、
おしてるや 難波(なには)の埼(さき)よ
出でたちて 我が国見れば
淡島 おのごろ島
檳榔(あぢまさ)の 島も見ゆ
佐氣都島(さけつしま)見ゆ
・おしてるや
押し照る・一面に照り光る難波の海の意から、難波にかかる枕詞
・檳榔(あぢまさ)
「びろう(檳榔)」の古名
・佐氣都島(さけつしま)
離れ小島と解釈する説がある
現代語訳(ゆる~っと訳)
そこで、天皇は、その黒日売を恋慕して、皇后をあざむいて、
「淡路島が見たい」といい、出かけた時に、淡路島に居て、遥かに遠くを見て、歌って、
(一面に照り光る)
難波の崎から
船出して
我が国を見れば
淡島 おのごろ島
アジマサの生える 島も見える
離れ小島も見える
続きます。
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ありがとうございました。