Officer's '70s Theater

'70年代の恐竜的ハイパワー車ファンが昔を懐かしむブログ

狼よさらば

2012-06-14 00:57:52 | 映画(銃)
Charles Bronson vs. Muggers

1974年米国映画
原題:Death Wish
主演:チャールズ・ブロンソン
監督:マイケル・ウィナー
音楽:ハービー・ハンコック
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Death Wishとは心理学用語で「死の願望」です。意訳すると自分の死を望む「自殺志願」ですが、逆に他人を殺したがる「殺人狂」の意味もあります。

Death Wishシリーズの特徴として、第一作と第二作は悪党によるレイプシーンが非常に尺が長くてリアルですが、第三作以降は「模倣犯を防ぐ為の自主規制」なのか陵辱場面と虐殺場面が短くなってゆきます。

<時代背景>
 ニューヨークの治安が悪化していました。一週間で950件もの強盗・誘拐・強姦・殺人事件が発生します。
(シカゴやロサンジェルスも似たような状況)
安価な粗悪品の拳銃(サタデーナイトスペシャル)を買った犯罪者が土曜日の夜に一斉に拳銃強盗をするので警察の手が回らず、被害が続出する。今では考えられない無法地帯です。

<あらすじ>
娘を嫁に出し、妻と幸せな暮らしを送っていた主人公カージーは真面目で平凡な設計技師です。
ある日、スーパーの配達を装った悪党3人組が母娘二人きりの部屋に侵入します。
娘はレイプされ、その目の前で母は殴り殺されます。娘の命は助かったものの、重度の精神障害が残り精神病院に隔離。
警察は処理能力を上回る犯罪数のため、いつまで経っても犯人を逮捕起訴出来ません。

一人残されたカージーは兵役拒否者ですが、実は父親が狩猟マニアで銃には詳しく、朝鮮戦争で軍医として従軍した経験が有ります。
田舎に出張した際に拳銃をプレゼントされた彼は「銃を手に、ニューヨークの街を徘徊して、犯罪者をおびき寄せては処刑」しはじめます。
これは当時の「警察を信頼出来ず、犯罪被害に怯える小市民たち」の願望を具現化したものです。

しかし「衆目の中で金を見せびらかし、自分を餌に誘き寄せる」彼の方法では、たいていは犯罪者のほうが数的優勢なので「銃やナイフで反撃されて負傷」する危険性が高く、このハイリスクな復讐方法はまさに自殺志願と言えます。

マスコミは犯罪発生率の半減をとりあげ、主人公を「自警団:Vigilante」という名の英雄に祭り上げます。
目撃者の市民はカージーを庇い、嘘をついて逃がそうとします。
警察は(悪党を捕まえるよりも速く)カージーを容疑者として特定し、尾行し始めます。
犯罪者たちは銃で武装し徒党を組んで襲うようになります。

はたしてカージーは生き残れるのか?あるいは逮捕されてしまうのか?そして彼は「心の安らぎ」を得られるのか?

<チャールズ・ブロンソンという役者>
この映画では「高収入の設計技師」役を演じていますが、彼には「強度計算」などの頭脳労働は似合いません。
無口で真面目。ハンサムでもスマートでもない庶民派でタフな善人。日本人に例えると三船敏郎や高倉健のポジションでしょう。
「メカニック」という映画ではクールな職業殺人者を演じ、「荒野の7人」では元農夫のガンマン役でマッチヨな筋肉を見せました。
本国よりも日本で彼の人気が出たのは判る気がします。彼の死の一報に接したときは、大きな喪失感を感じました。


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