Train of thought

wish you were here

北海道ツーリング'08 レポートその5 空知縦断の巻

2008-09-22 08:31:35 | バイク

062 夕張から岩見沢方向へ抜ける峠道。国道とは違い、行き交う車もまばら。北海道とはいえ、真夏の内陸は暑いなー、と思いながら登って行く。峠の頂上まで来たとき、目の前を横切るものが。何かと思ったら、キタキツネだった。ちらりとこちらを一瞥し、とことこと去って行った。このあと、さらに2頭とすれ違った。1頭はこの春生まれた仔狐。

063 峠を降りて行く途中までは、人の気配・生活のにおいがない。大分降りてきて、人家が見えてきたところに、こんなものがあった。旧国鉄万字線・万字炭山駅跡。夕張もそうだが、空知管内はかつて北海道の基幹産業であった炭鉱が集中している。万字線・幌内線上砂川線夕張鉄道三菱大夕張線歌志内線…炭鉱から掘り出された石炭を運ぶ路線は悉く消えた。この旧万字線は、北海道中央バスの代替輸送があったが、それもなくなってしまったらしい。バスの待合所がそのまま残されていた。

旧幌内線の駅舎がそのままライダーハウスになっている萱野を過ぎ、道の駅三笠へ。

064 道の駅へ来たら、ソフトクリーム。ここは、山向こうの夕張メロンのソフトクリームを売っていた。これは賞味しなくては(笑)。マイクロバスに、近隣の高齢者デイサービスの名前が書いてあった。お出かけでもされていたのだろうか。この土地ならではの楽しみとご苦労があることとお察しします。お仕事お疲れ様です。

ここからR12を北上。途中見つけた郵便局で、友人宅へロイズのお菓子を小包にして送る。(工場から直送で送ることもできたのだが…ちょっと段取りが悪くて、こういうことになった)このあたり、「日本一の直線道路」なのだが、交通量は多いし信号も多いので、あまり実感が湧かない。石狩川に沿って両岸に道の駅が点在しているので、スタンプラリー再開。ハウスヤルビ奈井江、つるぬま、たきかわ、田園の里うりゅう、サンフラワー北竜とたたみかける。

気がつけば夕方5時。今宵の宿は…と思い、いくつかあたるが、どこも「満室」。本当はこのあたりで1泊しようと思ったのだが…以前宿を取ったことがある深川まで行ってみたが、その時泊まったビジネスホテルがあった場所は、なんと更地になっていた。うーむ、致し方ない。旭川まで行ってみよう。道北随一の大都市だから、どうにかなるだろう。

6時。旭川に着き、片っ端から問い合わせてみる。が、やはりここも満室。「仙台の悪夢」再現か?と少し焦り出した時、古めかしいビジホが目についた。エレベーターもないようなところだが、贅沢は言ってられない。一晩夜露をしのげる部屋とゆっくり身を横たえられる寝床があれば御の字。「バイクの一人旅なんですが、お部屋空いてますか…?」宿のおっさんが、ちょっと考えてから「3人部屋ならひとつ空いてるけど…まあいいか、どうぞ。今日はあなたで打ち止め、満室にしましょう」Lucky!ありがとう、おじさん(言い方まで変わる)。大荷物を3階まで階段で担ぎ上げ、今宵の宿とする。

068 旭川まで来たら、とりあえずラーメンを食べておきたいと思った。北海道に上陸してから、まだラーメンは食べていないのだった。ぶらっと繰り出したら、いきなり旭川ラーメンの名店『山頭火』。あれ、こんなところに前は店はなかったよな、新店を出したのかと思っていたら、本店が引っ越してきたのだった。んじゃあ、ここにしよう。

069 最近ラーメン屋さんで「餃子とビール」というのが私のお気に入りになっている(思いっきり「おやじ世界」です)。で、ラーメン食べてご飯もつけて…メタボ定食一丁!…はい、全部食べました。おなかいっぱいです。

明日はどっちへ行こうか…朝の天気予報次第で決めよう!

「さて、どちらへ行かう 風が吹く」(種田山頭火)


北海道ツーリング'08 レポートその4 がんばれ夕張の巻

2008-09-15 16:11:47 | バイク

長袖シャツを着ていても、袖口が風圧で捲り上がり、露出したところだけ陽に焼ける。前腕部だけヒリヒリする。好天は嬉しいが、いかんせん暑い。札幌みたいな都市部では、なお強く感じる。

さて、頼まれていたお土産を買いに行かねば。今回初めて訪れるのは、札幌郊外にあるロイズコンフェクトの工場。高いビル街がだんだん低くなり、環状通を越えると住宅地、そして一面「原っぱ」になり、だだっ広い風景が現れる。

055 そして石狩川を渡ると、石狩平野のはるか彼方に見えてくる、巨大な工場。走って行くにつれて、少しづつ近づいてくる。

056 ロイズふと美工場。わざわざここまできたのには、当然こだわりがある。ロイズの売店は道内の主だったところにはある。けれど、直営店限定の商品というのもあり、それはそこに行かなければ手に入らない。ここの工場にも売店があり、札幌市内には置いていない限定商品がある。それが目当てでやってきたのだ。

053 間近で見ると、まるで船みたいな威容を感じる。

この時もう30℃は軽く超えていた。お菓子買うのはいいけれど、炎天下をバイクで運ぶのはなー…

054 これがふと美工場内売店の中。開店して間もなくだったので、お客さんもほとんどいない。ぐるぐる回って、限定品も含めていくつか購入。店員さんが、コーヒーを勧めてくれた。ここにもあったか、無料コーヒー。六花亭で初めて知ったけど、だから北海道スイーツのお店は好きだ。

買ったお菓子はとりあえず防水バッグの熱の影響を受けにくそうな場所にしまいこむ。

次に向かうのは、これも初めて行く夕張。ロイズ工場を後にし、当別から江別、北広島、長沼、由仁を通り、峠を越えて夕張へ。

058 夕張駅前。驚いたのは、駅があまりに小さかったこと。手前の白い小さな建物が、駅舎であり、駅の全景。後ろの大きな建物は、ホテル。駅も1線1面の小さなホームひとつだけ、単線がぶつっと車止めで切られている。入換設備も待避線も、何もない。

057 かつては相当広かったであろう駅構内も、石炭産業が終焉したことでその面影すら感じられない姿になった。後ろのホテルの立っているところも、おそらくは引き込み線か旧ホームか何かがあったのではないだろうか。そして、お昼時にもかかわらず、人っ子一人いない。

059 駅のすぐ脇、お世話になっているお店『快速旅団』を訪ねた。バイクの防寒具・防水着、キャンプ用品などを扱うお店。私は通販を利用している。今回のツーリングにもシャツやジャケットを持ってきている。訪ねた時は団長さんが作業中だった。小物を買い足す。

060 「石炭の歴史村」跡。こういうものを見てしまうと、侘しさがさらに増す。石炭産業が崩壊していくなかで、わりに分かりやすい、現金収入になりそうな観光事業に手を出して、再興しようとした、その気持ちはわかる。けれど、結局は「失敗のモデルケース」になってしまった。「武士の商法」「どんぶり勘定」いろいろ言われるが、その辺の分析は専門家に任せて、さしあたって今暮らしている市民の生活を支えていかなければならない。それらは現在進行形なのに、今は報道の量も減り、社会の関心も薄れているかのようである。実際に行ってみて膚で感じたのは、地域崩壊の危機が差し迫っているということだった。町に活気を呼び戻すというのは、一時のお祭り騒ぎのことを指すではない。炭鉱でも観光でもなく、企業資本に依りかかった方法論でもない(それがこの現状を生み出したのだ)。この町を元気づけるのは夕張メロンの成功例のように、地に足の着いた、地味だけどゆるぎのない「地域生活と収入」に結び付いた産業の振興であろう。今再びの「開拓」。若い移住者を呼び寄せるような、その新住民が創意と工夫で生きていけるような環境づくりではないだろうか。北海道という土地は、日本の中で数少ない、フロンティアスピリットを受容してくれるところだと感じている。「試される大地」なのである。


北海道ツーリング'08 レポートその3 道南編

2008-09-14 06:19:03 | バイク

なんだかんだと用事が入り、日々飲んだくれ(苦笑)ていたせいで、更新が遅くなりました。

以前紹介したところは、端折っていきましょう。

函館に朝10時に到着。朝市あたりでごはんにしようと思い、ふらふらと函館駅前へ。

駅前まで来て、ピンとひらめいた!

(そうだ、ヒカルさんのブログで『五島軒』を紹介していたではないか。せっかくだから、行ってみよう)

朝市の目の前をぐるりと周回し、「どっく」方面へ。

013 見た目よりはかなり急な坂。そして、天気が良すぎて暑い。

昼ごはんには間があるので、函館市北方民族資料館を見学。この北方民族の文化というやつに興味を惹かれてしかたないこの数年。

015 五島軒の場所は前もって下調べも何もしていなかった。あてずっぽうでぐるぐる走ってみたけれど、そんなに甘いもんじゃない。さすがにこれではどうにもならんなーと思い、携帯電話で検索をしてみたら、自分のいる場所のすぐそばだった。文明の利器恐るべし。11:30、開店直後に入店。

016 ヒカルさんがおなかいっぱいになったという、「カレーと明治の洋食セット」にしてみる。なるほど、ボリューム感がありますね。さしずめ「大人の『お子様ランチ』」でしょうか。少量多品種がいい感じ。カレーの薬味にバターピーナッツというのは面白かった。でもナッツはカレーに合うので、アリでしょう。

017そしてデザート。五島軒のカレーはバターの香りが強く、このパンプキンケーキも同様。そしてクラシカルなバニラアイスクリーム。このバター不足の折りに、なかなか贅沢な感じ。古き良き時代の洋食は、乳製品の味と香りだったのでしょう。

021おなかが落ち着いたので、ちょっと走りまわってみる。台所洗剤のCMに使われて名所になった、その名も『チャーミーグリーンの坂』。そのまんまのネーミング。見晴らしが良く、港がきれいに見えるし、石畳も並木道も雰囲気が良いが、実際はかなりの急坂。足元に気を付けてスキップしないと、二人してもんどりうって転げ落ちかねない(爆)

023函館駅前で見つけたので、谷地頭まで先回りして撮影したのが、この電車。(函館市交通局HP)確か明治時代の製造で、現役として走っている電車としては日本一古い部類に入るはず。年に数日しか営業運転しないと聞いていた4月から10月までの天気の良い日中のみの運行だそうなので、見られただけでもラッキーでした。(あ、乗ってくればよかった^^;)

024_2 というわけで、また『ラッキーピエロ』で「土方歳三ホタテバーガー」と「チャイニーズチキンバーガー」を買い(次回は「サイコロステーキバーガー」かな)、 『ハセガワストア』で「(豚肉だけど)やきとり弁当」を買う。天気が良いので、今宵は野宿。また恵山のキャンプ場へ向かう。

027過去2回と違い、今日は快晴。雨に降られる心配はまずない。こんなに好条件なのは、初めてかもしれない。家族連れも2パーティー来ている。こんな時、家族を持っている人をちょっとうらやましく思う。私は独居生活、気ままに暮らしていられるのは贅沢なのかもしれないが。缶ビールとバーガーとやきとり弁当でほろ酔いになり、シュラフにもぐる。

028 翌朝、4時の有線放送で叩き起こされる。「本日の昆布漁は、海の状態が良くないので中止とします」新聞屋や豆腐屋並みに、早朝から働く人々がいる。そして夜明け。こんなにきれいな空の色には、めったにお目にかかれない。気温は17℃、ひんやりして気持ちがいい。朝露でテントがびっしょり。

029_2 結露したテントを十分に乾かし、8時半に出発。太平洋に沿って北へ向かう。昆布を満載した軽トラが漁協に入って行くのを何度か見た。2m以上はある高さまで、干された昆布の束が積み上げられている。軽トラック1台分で、いくらになるのだろう。

030 ちょうど北海道の学校も夏休み期間。昆布干しを子どもたちも手伝っていた。そういえば、夏休みというのは本来農繁休暇で、子どもたちが家の仕事を手伝うためにあったんだよなあ…なんてことを思う。サラリーマン家庭で都会育ちの私には、子ども時分には想像もつかなかった。遊んでばかりいた。

031 海を右に見ながら、長万部まで100km以上。道央道は八雲まで伸びてきた。いずれは函館まで通るのだろうか。新幹線の計画もある。それらができるまで、函館本線と国道5号線だけがこの区間の動脈。個人的には、R5のバイパスがあればそれで足りるのでは、と思ってしまうが、それでは現地の方にお叱りを受けるだろうか。

033 R5といえば、黒松内の道の駅のパンは外せない。今回もここで昼食。手作りのロースハムを焼きたてのパンで挟み、地物の野菜のサラダとクリームシチュー(今回のシチューはちゃんととろみがついていた)でいただくランチセット。何度食べても、旨いものは旨い。

034 そしてニセコの道の駅でソフトクリームを食べるのも、またお決まり。北海学園大の学生さんたちが、道の駅についてのアンケート調査をやっていた。今回は、ここから羊蹄山麓をぐるっとまわることにする。…道の駅のスタンプラリーもしているのである。

036函館と知内が北島三郎なら、真狩には細川たかし。その真狩村から見た羊蹄山。微妙に山の形が違うのも、富士と同じ。周囲に連なる山がなく、単体の山ひとつがあるというのは、孤高の存在と重ね合わされて人の心を惹きつける。

041 真狩から一旦留寿都に向かい、京極へ。京極といえば、水の名所。湧水池の水の透明度は言うまでもない。売店で売っていたアイスコーヒーは、さすがの味。シアトル系カフェに負けていない。(この水とお気に入りの豆でコーヒーを淹れてみたいなあ。絶対旨い)

045 そして中山峠へ。中山峠と言えば、名物「あげいも」。…ただ、ここまでいろいろ食べたり飲んだりしていたので、あまりおなかがすいていない。とてもジャガイモ3個分は入らないので、この場では1個だけ食べ、後は宿まで持って行った。

046 中山峠を越えると、そこから札幌市。だけど中心部までは50km、1時間はかかる。山を下りるにつれ街が開け、いつの間にか都市の顔になる。でもやっぱり東京とは違う。何が違うんだろうと考えつつ、ススキノまで来た。ここが今夜の宿。

051 ススキノへ来たら歓楽街?…いいえ、私はそんなところへは行きません(苦笑)。もっと怪しいお店(爆)。スープカレーのお店、『マジックスパイス』札幌本店。地下鉄に乗って白石へ。そこから住宅地に入って、突然現れるこの何だかわからないネオンでギンギラのお店。初めての人はどん引き(苦笑)

052 私はこの店の会員。東京の店では時々食べている。辛さの段階が7つあり、一番辛くないのが「レギュラー」、これが0段階。そこから「覚醒」「瞑想」「悶絶」「涅槃」「極楽」「天空」と続き、最も辛いのが「虚空」。いつもは「虚空」を注文するのだが、今回はその上の、初心者お断り・限定5食の「アクエリアス」。東京のは完食したけれど…本店のはやはり最強。「虚空」くらいなら水飲まなくても大丈夫だけど、これはラッシー2杯頼んでも追いつかなかった。本気で辛い。スプーン2杯分スープを残してしまった…次回はもう少しおなかをすかせて行こう。

幾分めまいを覚えながら、また地下鉄に乗って宿に戻り、「あげいも」を食べて寝た。