古いアルバムを引っ張り出した
全ては整理されてなく「そのうちに」と
真新しいアルバムと束にした写真があった
そんな事をすっかり忘れていて
私らしいなと思いながら、
一枚一枚、写真をアルバムへ貼り付けた
出来ればCD化したいが
まぁこれも「そのうちに」
その中の
とてもとても古いアルバムにあったのは
父の姿。
公園で遊ぶ私と弟を眺めている父の横顔が
唯一、私にに残された父のすべて
父親らしいことは何もなかった
家庭を省みない父が嫌いだった
母を苦しめる父が憎かった
父には、いい思い出もなく
別れた後の住まいは知っていても
会うこともなかった
いや、会いたくなかった
しかし
その憎しみや恨みが
少しづつ憂いに変わっていった
それは
自分が年をとったせいだろうか
父が亡くなったと知らせをうけたのは
蝉の鳴き声が聞こえなくなった去年
涙が出なかった。
実感も湧かない。
でも、何故だろう?
今になって涙がでるのは。
父の写真を見たから?
私の心に父が居たように
父の心に私たちは居たのだろうか?
どんな思いで
ひとり晩年を過ごしていたのだろうか?
何故か
深い海の底を見た者だけが知る悲しい日々
後悔する父親の姿が思い浮かぶ
「そのうちに」なんて思わないで
会っておけばよかった。
今になってそんな事を思う。
会いたい。
と、いう思いがあっても
会えない人
会えなくとも、私の心の中には
あなたの存在があるのです
だから私は寂しくなんてない
と、言い聞かせているのです。
そう思えば、寂しさが
どこかへ逃げていくような気がするから