「存在という名のダンス」「傘の自由化は可能か」大崎善生

「存在という名のダンス」エロの無い村上春樹＋ハリーポッターという感じの小説。

大崎善生さんは『聖の青春』や『将棋の子』が凄く良くて感動しまくりだったのだけれど、その後読んだ将棋以外の本は、普通・・という感じで（スイマセン！）
新作は２冊に渡っての長編だし、今までの小説と違っている感じがしたので読んでみました。舞台は北海道の知っている場所が一杯出て来るので土地勘もあったし、少年が父に会う為に一人で隠れながらも旅をする・・という展開も面白かったです。
ちょこっと友情、ちょこっと恋愛要素もあったし、村上春樹の本は小中学生が読むには・・・という性的描写があったりするけれど、この本はそういう点で、子供が読んでも大丈夫ですね。実際、大崎さんは村上春樹が大好きらしいですね。

で、岩見沢を舞台にしているものの、実は凄い壮大で世界各国、過去の時代にもさかのぼる繋がりがあるのにはびっくり。ハーメルンの笛吹き男や、五島列島の隠れキリシタン、ヒトラーの時代のユダヤ人大虐殺伝説など。中でも隠れキリシタンの受けた虐待は酷くて衝撃的でした・・・。　以前にも遠藤周作さんの本などで幾つか読んだことはありましたが・・・。

あと、凶暴な熊やら、岩見沢のその施設内のある人物が影で行っている怪しく危険な行為とか・・・・熊はさておき、この森の真ん中にある隔離されたような施設では何か危険なことが行われて子供が犠牲になっている・・というのは、もしかしたら今世界のどこかで行われていてもおかしくない気がして恐ろしいです・・・。
読み応えはあったのだけれど、元々こういったファンタジーものは自分の苦手なジャンルだったので・・・。そういった内容が好きな人なら楽しめる本ではないでしょうか。３つ☆

ただ、最初の方に出て来る「死者はフクロウと会話が出来るらしい。そして宗太はインコと会話が出来る。フクロウとインコは鳥同士会話が出来るだろうから、インコを通訳にして死者と対話出来るのではないか」という処はとても印象に残り、それが最後の方へつながる様になっている展開は良いな！って思いました。

ヒッチハイクで函館まで一気に行っちゃえば良いのに・・・なんて思った私はイカンですね。

存在という名のダンス 大崎善生著 （２０１０．１月出版）
舞台は北海道の岩見沢。厳しいルールに縛られ世間から隔離された梟の森・・で暮らしていた少年宗太は危篤の父親に会うために脱走。やがて、悪の組織と戦うことになる。
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「傘の自由化は可能か」2006年11月出版


大崎さんのエッセイ集。
う～ん、普通に面白かったです。　ヨーロッパの小さなホテルに滞在してこもって小説を書いていたことがあるんですね。
（「BOOK」データベースより）
ヨーロッパの空（カフェのおきて／白い泡から生まれてくるもの　ほか）／記憶の湖（社会への抵抗／「親友」が遺した言葉　ほか）／言葉の宇宙（一本の大木／読もうとして読まなかった本　ほか）／世界の端で（優しさを忘れない／不況を楽しむ　ほか

「聖の青春」「将棋の子」大崎善生