ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

ネタバレ感想「泡」「光の犬」松家仁之

2024-03-01 | 小説・漫画他
先日「火山のふもとで」を読み、他の松家さんの本も読んでみたいと思って手に取ったのが最新作21年に発表されていた「泡」でした。

面白かったけど、そんなに長くはないお話なのに、語り手が3名(大叔父、高校生、時々店員の岡田)入れ替わる構成にされているせいか、どうも読んでいて集中力をそがれるというか、読み難かったです。
でも、面白く読みましたよ。なんというか・・映画っぽかった。

メインのストーリーは主人公の高校生薫は登校拒否中。砂里浜(どうやら和歌山県の白浜らしい)を訪ね、兼定が経営するジャズ喫茶を手伝う事に・・・。

薫の学校は優秀な男子校。冷暖房が無いとか意味不明な行事とか、ありがちね。剣道の教師がイヤなヤツで、こういう教師昔いた!
今は学校現場も色々改善されて、今時の10代の子たちが羨ましいよー。

学校に寄り道せずに通う薫(これって結構重要よね、立ち寄れる町でもあれば、ちょっと違う)学校も苦痛だし、家でも両親は堅物の教師。憂鬱になるのも解るわー。
古い剣道の小手の内側の・・・、これはイヤですね。ぬるぬるした感じや手に残る臭い匂いとか、相当イヤだった経験がご本人にあるのかな。
吞気症症で空気を吸い込みガスが溜まってお腹が苦しくなり、一杯おならをしてガス抜きをお風呂で・・・っていうのがタイトルの「泡」と繋がってるのかな。

そんなこんなで不登校になってしまった薫は、父の兄弟で、ちょっと変わった面白い存在のおじさんがやってるジャズ喫茶に夏休み滞在したいと言い出す。いいよなあーこういう存在の親類がいるのって。

これ見ながら先日見た映画「perfect days」の役所さんの事が頭に浮かびましたよ。あれもやっぱり息苦しさから家出して、風変わりなおじさんの処にやってきた姪っ子のお話でしたもんね。

兼定おじさんは戦後シベリアに飛ばされて大変な苦労・経験をされている。
お店にふらっと来て、そのまま居ついた(おじさんが段取りつけて、そのまま、ここにいてもいいよと誘ってあげた形)謎の男岡田。料理が上手で、なんでもこなせる男。お店も彼のおかげで順調だ。
女にモテそうというか、人間関係をうまくやれるというか、良い距離感や色々察して動ける力を備えた男なのよねー。
★以下ネタバレ★
段々料理や接客も出来る様になって、ちょこっとだけパン屋の「カオル」さんという女性と交流あったり・・・夏休みが終わって帰る頃には、ほんのちょっと変わったかな?って感じなのが良いですね。なんかこれからは大丈夫そうな気配を感じるラストでした。以上

最後の方の文章抜粋
「気をつけたほうがいいのは、自分がひとりだなと感じたときかな。自分が追い詰められた とか、外されたとか、集団を恨む気持ちがふつふつとわいてきたら、無理してでも集団にと どまるか、もどるかしたほうがいい。そして面と向かって文句を言えばいいんだ。悪態をつ いたっていい。誰かはその悪態をちゃんと聞いている。集団を出て、それから集団を恨みは じめたら、痛手を負うのは君なんだ。」
という岡田の言葉。私は今までにそういう説を聞いたのは初めてだったので。しばし、色々考えた・・・。私はそこから去るって選択肢を選んでいただろうし、人にはそう薦めちゃっていたので・・。

松家さんのインタビュー記事で印象に残ったところ
今回、小説に出てくる音楽としてジャズを選んだのは、たとえばロックバンドだと、ちょっと運命共同体みたいなところがあって、途中で何かややこしくなって解散、みたいなパターンですけど、個人が集まってトリオやクインテットで演奏するジャズは出入り自由なんですね。
 周りとうまくやっていくことができない薫という少年にとっては、究極のところはひとりだけど、そのときどきで、いろんな相手と組んで演奏するジャズに触れることに意味がある気がします。

これ、本を読みながら、ジャズってそうだよなーって、妙に納得というか、ジャズの良さ?利点みたいのを感じながら読んでいたのです。


泡  2021/4/5 松家仁之
男子高の二年に上がってまもなく学校に行けなくなった薫は、夏のあいだ、大叔父・兼定のもとで過ごすことに。兼定は復員後、知り合いもいない土地にひとり移り住み、岡田という青年を雇いつつジャズ喫茶を経営していた。
薫は店を手伝い、言い知れない「過去」を感じさせる大人たちとともに過ごすうち、一日一日を生きていくための何かを掴みはじめる――。

・・・・・・・・・
光の犬

その後こちらも読みました。

うーん、すっごく読み難かったです。沢山登場人物が出て来て、時代や視点と語る人間もコロコロ変わるので、数日かけて何とか読み終えたという感じ。

運悪く、つい最近「土に贖う」河崎秋子さんの本を読んだばかりで、偶然同じ網走近辺のハッカ栽培の地を舞台にした長い時代の家族・世代を追う内容でした。
こちらを先に読んでいたら違ったと思います。3つ★

それでもタイトルにもなっている犬の種類が、私が好きな北海道犬(ソフトバンクのお父さん犬)だったのと、北海道が舞台で、歩が大学時代暮すのが札幌で土地勘があるのでそういう点では良かったです。

とりあえず3冊読んで、最初の「火山のふもとで」はなかなか良かったのですが、次の2冊はそこまで・・じゃなかったし、読むのに大変苦労してちょっと疲れたので、暫く松家さんの本はお休みしようかな、と思っています。また数年したら読んでみたいです。

光の犬 2017/10/31
北の町に根づいた一族三代と、そのかたわらで人々を照らす北海道犬の姿。助産婦の祖母の幼少時である明治期から、父母と隣家に暮らす父の独身の三姉妹、子どもたちの青春、揃って老いてゆく父母とおばたちの現在まで……。百年以上に亘る一族の姿を描く


松家さんの他の本の感想
「火山のふもとで」
コメント (2)    この記事についてブログを書く
« ネタバレ感想「め生える」高... | トップ | 自伝的私小説「笑いのカイブ... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (todo23)
2024-03-04 16:00:19
確かに、この2作は読みづらい。
私も『光の犬』の感想に「著者はむしろ、このような小説手法/表現を確かめて居るような気がします。」と書いていますが、どこか実験的な気もします。

私しもこの三作のみ。市の図書館にあるのもこれだけ。前回、読み損ねたような印象があるので、もう一度読み返してみようかな。
todo23さん☆ (latifa)
2024-03-05 13:40:01
todo23さん、こんにちは!
コメントありがとうございます

やっぱり読みにくい小説ですよね。
もうあんまり老眼やら何やらで読書への気力がないので、読みやすい本、大きな文字の本に手が伸びてしまいます。
それでも途中で挫折しなかったというのは、それだけ何かある本なのかなーと思いました。
私、最近挫折する本が凄く多いんですよ。

先日は本屋大賞にノミネートされていた人気の本までダメだった次第です・・

私の図書館も同じくです。
また数年して気が向いたら松家さんの本、読むかもしれません。

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事