「三月は深き紅の淵を」という幻の本をめぐる話が4つに分かれて入っていますが、それぞれの章に関連性は薄く、独立している感じもあります。第一章は、とても面白かったです。読んでいてワクワクしたし、登場人物達が、それぞれみんな、本マニア?なのですが、彼らの思いみたいなものも感じさせられました。
第一章は、大きな屋敷に4人の老人がいて、そこに、ひょいっと入れられた若い主人公の若者に、幻の本を探し出してくれと言う・・。
第二章は、二人の女性編集者が、夜行列車で出雲へ旅をする話。
第三章は、異母姉妹の事故死の真相を暴くミステリー。(異母兄弟とか、そういうの、「夜のピクニック」でも出て来たし、恩田さんって、そういうのが好きなのかな・・?)
第四章は、幻の本である「三月は・・」を書く時の話。『麦の海に沈む果実』へつながる描写があります。
恩田作品は、「夜のピクニック」に続いて2作目。夜のピクニックは、どこか自分が入れないというか、なんというか、あまり楽しく読めなかったんです。回りで絶賛されており、なんだか自分だけ取り残された様な、悲しい気分になっていたんです。
夜のピクニック 原作も映画も私とは合わない・・
で、今回、再度恩田作品にトライしたわけですが、、、1作目は面白かったものの、2,3,4は、そうでもなかったかな・・。
何故なんだろう・・って自分なりに考えてみたんです。そうしたら、理由の一つが解りました。恩田作品って、優等生で、かつ、秀麗な外貌で、クールで大人っぽい判断力もあり、・・って人が良く出てきませんか・・・?そして、あまり人間らしい感情が伝わって来ないというかね・・。
私は、ダメ子、ダメ男の方が、どうも感情移入しやすいんで・・・そこかなあ・・。netサーフィンしていたら、ある方が「私は角田光代さんが書くダメダメちゃんの話を聞かされるより、恩田作品に出て来る出来すぎ君の話の方がよっぽど読んでいて楽しい」って書いていたんですよ。それを読んで、まさに私はその人の真逆なんだな、って思いました。
まだ恩田作品は、2作しか読んでないので、苦手決定はしていません・・。
でもね、冒頭小説の最初に、「ロアルドダールのチョコレート工場の秘密」についてが書かれていたり、「気狂いピエロ」のラストシーンの描写が出て来たりと、好きなモノが、恩田さんと通じるな~って部分も色々あるんですけどねー。
夢のチョコレート工場(71年版)と、原作「チョコレート工場の秘密」の感想
latifaさんは、恩田作品に出てくる美男美女が苦手なんですね。確かに恩田さんの作品にはそういう人、よく出てくるというか、多いと思います。
私はそれに、少女まんがを読んでいた時のドキドキを感じてうれしくなってしまうんです。絵づらの美しさに酔ってしまうというか・・。「麦の海に沈む果実」なんて、まさに少女マンガの世界です。
確かに私の入りこむ隙間はないですねぇ。美しい人の世界はよくわからないし^^;
共感とか入り込むというよりも、物語を堪能するという感じでしょうか・・。
何故か私は、漫画と小説では、読む時の覚悟?というか、入り方が違うみたいなんですよ、不思議!
漫画は絵が見えてる分、他人事感が凄く強くて、小説は自分も入ってしまう傾向があって、あまりにも異国の小説だったりすると、大丈夫なのですが、日本人の普通の一般人のお話だと、つい、自分との距離を置くのが難しいのかな~(^_^;)