些細な日常の事、あ~こういうのある、ある!ってのとか、親切のつもりがこんな事に!とか、あの時何でもないと思った事が後にこんな重要な事になってしまって・・とか、そういう誰にでも起きうる部分にスポットが当たっていて、さすがわ沢村さん!!って思いました。
そういったお話と殺人事件とかを組み合わせているのがこの小説の特徴なのですが、、、個人的には、何も事件性と必ず組ませなくても、充分この日常のあるある!って処だけでも大好きだったんだけどなあ・・・という感じもあります・・・。
ラストのオチというかまとめ方があまり好きってわけではないので、全体としては3つ☆半。
「鳥類憧憬」「迷ったときは」「聴覚の逆襲」「裏土間」「人事マン」「前世の因縁」「脇役の不在」の六編が含まれています。
「鳥類憧憬」
ハトにエサをあげてるお婆さんを目撃・・。解るなぁ、こういう困った人っているんだよね・・。
「骨はすかすかで、おしっこがおなかにたまらない、これって鳥の特徴なんですよ、だからね歳をとると、取りに近づいていくんだと思うんです。きっと飛ぶ準備をしてるんですよ。」と、老婆に慰めの言葉を言うんですが、これがナイス と思いました。
「迷ったときは」
このお話の最初の部分(3つの師のエピソード)が最高に面白かった!
私も決断力が無くて、結構メニューとか選択物とか決められなくて困るタチなので、今後参考にさせてもらおう。
「ポリアンナ」の「よかった探し」、ジンメルの「至上の処世術は、妥協することなく適応することである」、麻雀を教えてくれた網阪先輩の「迷ったときは、ツモ切り」この3つを師として生きてる北里花梨。
10年以上前からの顧客名簿を捨てるのが忍びないというのが、これまた凄く解る。「子育てが一段落したので、またお世話になります」というDMに対してのレスポンス・・。
「聴覚の逆襲」
これも、すごく解る。アパート暮らしの時、上の階の人の物音には規則性があって、この人はこの人がたててる音ってのが解るっていうのが。目よりも耳からの方が確実性が高いっていうのも言えてるな~と思いました。
「裏土間」
おせっかいが人生を狂わす? あ~~気の毒だ。良い人なのにね・・・。
ただ、人んちの中はあんまり良く見ない方が無難ですね(^^ゞ ついうっかり目にしちゃって心配になって・・・ってのが、この楢本さんには良くないみたい。
「人事マン」
昔は遠距離電話が高かったんだよね・・・。私も会社から遠距離電話をさせてもらっちゃったことがあります。
「前世の因縁」
これは、、、ちょっと無理が無いだろうか?
気持ちはわかるが、やたらまどろっこしい教えだな
「脇役の不在」
最後にみんなが登場、全話に登場していた人物が・・・。
沢村凛さんは「最後の恋」という短編集に、沢村さんの「スケジュール」というお話があり、とても面白かったのがとっかかりで、 「カタブツ」「さざなみ」 を読みました。やっぱりこの人、ツボが合うな~って思って、他の作品でファンタジー系の「黄金の王、白銀の王」等を読んでみたのですが、元々そういったジャンルが苦手なこともあって・・・。やっぱり現代劇というか、日常を描いたお話が私は好きです。
「笑うヤシュ・クック・モ」
きょとん、とする感じ(苦笑)
そうなんですよね・・・。それぞれのお話は面白かったんだけれど、なんとなく全てをまとめるのに、そういう風に持っていくか・・?って気もしちゃって・・・
私は別に大事件が起きなくても、沢村さんの日々の普通の暮らしで感じる、ちょこっとした事を描く処が好きです。