水野尚『恋愛の誕生―12世紀フランス文学散歩』京都大学学術出版会、2006
「私たちは好きな人に会えると思っただけでドキドキしたり、
うきうきした気分になります。
しかし時には相手のちょっとした仕草が気になり、
なにも手につかなくなったりもします。
恋愛は人の心に大きな力をおよぼし、私たちを一喜一憂させる不思議な感情です。
こうした感じ方はあたかも人間のDNAに組み込まれているかのように、
古今東西にわたって普遍的なもののように思われるかもしれません。
しかし実際には、人の心を一喜一憂させるこの感情こそが「恋愛」であるという見方は、
十二世紀のフランスで発明された感受性だと考えられています。」
「それ以前の時代に「恋愛」または「愛」と呼ばれていたものは、
男性が女性にいだく欲望でしかなく、愛を得るとは女性を肉体的に手に入れるという意味でした。
そうしたなかで、十二世紀に突然、変革が起こります。
女性が男性よりも上位に置かれ、崇拝の対象となったのです。
そしてその時、恋愛は肉体を超えた心の問題になりました。」
「私たちは好きな人に会えると思っただけでドキドキしたり、
うきうきした気分になります。
しかし時には相手のちょっとした仕草が気になり、
なにも手につかなくなったりもします。
恋愛は人の心に大きな力をおよぼし、私たちを一喜一憂させる不思議な感情です。
こうした感じ方はあたかも人間のDNAに組み込まれているかのように、
古今東西にわたって普遍的なもののように思われるかもしれません。
しかし実際には、人の心を一喜一憂させるこの感情こそが「恋愛」であるという見方は、
十二世紀のフランスで発明された感受性だと考えられています。」
「それ以前の時代に「恋愛」または「愛」と呼ばれていたものは、
男性が女性にいだく欲望でしかなく、愛を得るとは女性を肉体的に手に入れるという意味でした。
そうしたなかで、十二世紀に突然、変革が起こります。
女性が男性よりも上位に置かれ、崇拝の対象となったのです。
そしてその時、恋愛は肉体を超えた心の問題になりました。」