Lady Ella

ひとり語り・・・

突然・・・電話。

2024-10-12 08:15:27 | 酔言

おとといのはなし・・・

 

わたしは起きていたのだが、布団。

時刻は4時過ぎ。本を読んでいる。

 

ラインの電話。呼び出し音と相手の通知。

近所の小学生だ。あれ?電話ははじめて。

 

「おじちゃん」声がすこしだけ焦っている。

「自転車。チェーンがはずれて動かない」

「下にいる?すぐいくよ。ちょっと待って」

笑いだす。「手が真っ黒くろ」「油で真っ黒」

 

着替えて階段から下を見る。笑いながら手を振っている。

階段を下りているあいだも「大丈夫だよ。ゆっくりねぇ」

とか言う。「手は真っ黒だよぉ~」って見せながら振ってる。

 

彼女は格闘していた。理屈はわかっていたようなのだが・・・

ちょいとちからが足りなかった。

「ちょっと前にお友達のもはずれたから」

「でもね、お友達のはギアがすくないから」

キャッキャと笑ってる。

「ここがね、こうだから、こうね」「うん、わかるよぉ」

言いながらボルトに引っかかっちまってうまくはずれない。

「いまからどこ行くの?」「塾、塾。遅刻遅刻」

「何時から?」「4時半。遅刻遅刻」笑いがとまらないようだ。

わたしは知っている。彼女は行きたくない。けれども行きたい。

 

「手を洗っておいで。真っ黒だから」「いってくる」駆け出す。

そのあいだになんとかチェーンはもとにもどったのだが・・・

何十年ぶりに自転車のチェーンをはめた。張りの調整がわからない。

ちょいと乗ってみるのだが、不具合はなさそうだ。

 

彼女が全速力でかえってくる。みるみる顔が曇る。

「おじちゃんの手が真っ黒くろ」「手袋すればよかったねぇ」

自分の手が黒くなったのは面白いのだが、わたしの手は・・・

 

「大丈夫。一緒に真っ黒。チェーンを直したからねぇ」

「そうだね、直したからねぇ」「あれ、塾は?」

「あ~そうだ。遅刻遅刻」笑ってる。「直したからねぇ~」

 

クルクル何周かわたしのまわりをまわって・・・「直ったぁ」

「行ってくるねぇ~」手を振りながら走っていった。

 

わたしも黒くなった手を見て振って・・・笑っていた。

 


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