名古屋市立工芸高校の7つの専門科のうち、デザイン、インテリア、グラフィックアーツの3つの学科の作品展が開かれています。
会場はデザイン科が栄にある愛知県美術館8階ギャラリー、インテリアとグラフィックアーツが名古屋市民ギャラリー矢田と別れていますが、展覧会はいずれも24日(月・祝)まで。
科によって卒業制作展だけ、卒業制作作品と科全体の作品合わせた展示など形式に違いはありますが、創立101年目という特徴のある科目を専門に学ぶ高校だけに、見ごたえある作品が並んでいます。
【デザイン科】
名市工芸デザイン科の卒業制作展は例年、生徒たちがグループに分かれて話し合い、制作にあたります。今年の統一テーマは「のぞいてのぞく」。そしてキーワードは「先入観」です。
「先入観を除いて、覗いてみよう」というわけで、約40人の生徒が6つのグループに分かれ、それぞれどのように表現するかを話し合って制作した作品を展示しています。
例えば「チキンをパクリ」「野菜をパクリ」という状況から連想するのは、どちらが男性か女性か。先入観ではチキンが男性、野菜が女性となるのが一般的ですが、表現した絵はチキンを女性が、野菜を男性がパクついています。
大きな天秤の一方の皿に両手に乗るほどの木の葉、片方の皿には両手で抱えるほどの石を乗せ、天秤は木の葉の皿が下がり、石を乗せた皿が上がっています。
「これ、おかしいわよ?石の方が重いから下がり、木の葉が上がるはずよ。木の葉の下に重いものを置いているの?」と、会場を訪れた人。
我々は物事の良し悪しや好き嫌いを含めて、判断や評価を先入観に委ねていることが少なくありません。先入観や固定観念が持つ危うさや脆さを改めて考えさせられました。
【インテリア科】
人間生活をより快適にし充実させるために、住居や店舗内の家具、照明器具、キッチン、内装、外装などのデザインや色彩のコーディネイト、安心・安全、設計、製作技術を学んでいます。リフォームやバリアフリーも大切な課題です。
会場には3年生以外の作品や交流する学校の作品を含めて、工夫されたデザインの椅子や書棚、テーブル、食器棚、住宅や室内模型、照明器具などが並んでいます。
【グラフィックアーツ科】
印刷物の企画に始まり、原稿づくり、印刷版の作成、印刷、製本といった工程を学び、効果的な表現力を持つ広告や発表などの印刷技術を身につけます。当然、写真や記事、レイアウトなどの力をつけるため、カメラ技術やパソコン操作力も養います。
地域や他校との交流・連携も進めており、作品展には学校のある名古屋市東区の赤い羽根共同募金ポスター、東区民の誇りである山車まつりのポスター、学校近くの「文化のみち」コースを紹介するチラシなども展示しています。