そうだ京都でお坊さんになろう

お坊さんになるまでの道のりを書いていきます。

お坊さんになるための勉強をするために初めてお寺に行った時の話

2023-02-13 17:56:57 | 日記
お坊さんになるためにお寺を訪ねた僕の前に現れたのは怖そうなお坊さん……ではなくてユニクロコーデの男性だった。

「〇〇さんですね。お待ちしておりました中へお入り下さい」

拍子抜けしている僕はその男性に案内されてお寺の中へ入った。
そこはおそらく「本堂」と呼ばれる場所だと思うのだが当時の僕には当然わかるわけもなく、ただ通された20畳ほどの大広間に借りてきた猫のようにちょこんと座った。

ぐるりと周りを見渡すと子供の頃に遊びに行った友達の家で何度か見た仏壇よりもさらに立派で大きな仏壇が正面にあった。しばらく仏壇を眺めていると奥の襖が「すーっ」と開いて先程の男性ともう一人女性が一緒に入ってきた。

(このお寺の住職さんはお留守かな?)
と思っていると男性が自己紹介をはじめた。

「ようこそお越しくださいました。私は住職の〇〇と申します。こちらは妻の△子です」

(え?この人が住職だったの??)
驚きを隠しながら僕は改めてお二人に挨拶をした。お寺のお坊さんというのはもっとおじいさんでどこか怖そうなイメージがあった。なによりもこの男性は髪の毛が……ある。それにみたところ僕よりも10歳は若いのではないだろうか。そして袈裟も着ていないし数珠も持っていない。

いくつかの疑問を抱えたまま引き続き住職の話をきいていると彼はやっぱり僕よりも10歳下だった。そして住職になったのは3年前でそれまでは別のお寺で副住職をされていたとのこと。
二人目のお子さんが産まれたのを機に前住職であった祖父の後を継いでこのお寺の住職になったと話してくれた。ちなみに御年97歳になるお祖父様(前住職)は引退して今はお寺の隣の離れで元気に暮らしているそうだ。

しばらく住職の話を聞いたあと、今度は僕の身の上話をしてその後にやんわりとだができればこの先はお坊さんになれたら嬉しいと話をした。
流石に学校からの申込書をその場で出して「これにサインをお願いします!」というのは無作法なのでその日は持参しなかった。

住職は僕のお坊さんになりたいという話を否定することもなく、まずはお寺での催し物に何度か参加をしてみたらどうかとお誘いを頂いた。僕としても「なりたい」という気持ちはあるが何をどうしたら良いのか全く分からないし住職からの提案はとても有難いものだったので改めてこちらからも参加をお願いした。

その後30分ほどあれこれ話をしていると下のお子さんが幼稚園から帰ってくる時間になったのでその日はお開きとなった。

僕はお二人に丁重なお礼をして本堂を後にした。

お寺の門の前まで見送ってくださった住職に先程聞き忘れた質問をした。

「あの……ご住職はなんで剃髪されていないのでしょうか?」

「ああ、たしかにお坊さんってつるつるですからねえ」

「はい」

「我々、浄土真宗の宗祖は親鸞聖人です。 聖人は当時、お坊さんでありながら結婚をして非僧非俗(僧侶でも俗人でもない者)として、有髪で過ごされていたようです。なので私達も剃髪はしていないのです」

「そうなんですね」

「先程お渡しした冊子にもそのあたりのことが書いてありますのでご自宅で読んでみて下さい」

「はい、本日はありがとうございました」

「こちらこそようこそのお参りでした」

「では失礼いたします」

「あ……でも」

「はい」

「正式にお坊さんになるときは一旦坊主にならないといけないんですよ」

そう言うと住職は悪戯っぽくニヤッと笑った。

おわり

次回は「お坊さんになるために初めてお寺の催し物に参加したときの話」を書く予定です。

引き続きよろしくお願いします。

南無阿弥陀仏
















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