やはりこの不条理は甘受すべきなのだらうか

　これは一種の立派な不平等条約なのですよねぇ・・・。

女性米兵がひき逃げ、逮捕も「公務中」で即日釈放 (読売新聞) - goo ニュース

2005年12月28日 (水) 22:29

　米軍厚木基地（神奈川県）所属の女性水兵（２３）が東京都八王子市でひき逃げ重傷事故を起こして逮捕され、日米地位協定などに基づき即日釈放されていたことが２８日、分かった。

　警視庁八王子署の調べによると、米軍の女性水兵は２２日午後１時ごろ、八王子市大谷町の国道１６号交差点で、横断歩道を渡っていた小学校３年の男児３人をワゴン車ではね、１人に鎖骨骨折などの重傷、２人にも足などに軽傷を負わせた疑い。

　水兵はそのまま逃走したが、同署員が約３０分後、現場から約１キロ離れた路上でワゴン車を発見。水兵が容疑を認め、業務上過失傷害と道交法違反（ひき逃げ）の疑いで緊急逮捕した。

　米軍から２２日夜、水兵が横田基地に備品を取りに行く軍の公務中だったとする「公務証明書」が出されたため、日米地位協定に基づいて釈放した。

　男児たちは青信号で横断中だったとの目撃情報もあり、同署は任意で捜査し、水兵を業務上過失傷害などの疑いで書類送検する方針。

　　　　　　　　　　◇

　日米地位協定は、在日米軍の法的地位などを定めた協定で、１９６０年の日米安全保障条約改定に合わせて締結された。米兵が公務執行中に起こした事件や事故については、第１次裁判権を米軍に認めているなど、日本側には不利な内容が多い。

　１９９５年９月に沖縄県で起きた米兵による小学生女児暴行事件では、米軍が同協定をたてに容疑者の米兵３人の身柄引き渡しを拒んだ。

　また、昨年８月に同県の米軍普天間飛行場近くの沖縄国際大に米軍ヘリが墜落した事故では、県警が検証令状を取って現場検証を行おうとしたが、米軍は、わずか１０分の写真撮影を許可しただけで捜査員を閉め出し、機体の残骸（ざんがい）を撤去した。

「日米地位協定」内の該当部分は以下の条文です。

第十七条
１（省略）
２（省略）
３　裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される。
　(a)　合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員又は軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する。
　　(i)　もっぱら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもっぱら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪
　　(ii)　公務執行中の作為又は不作為から生じる罪
　(b)　その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。

　第3項(a)(i)は要するに仲間内での話しなので、これはまぁ判らないでもないです。今回のケースは第3項(a)(ii)の『公務執行中の不作為から生じる罪』ということになるのでせう。日本の場合明らかに刑事上の罪に問われる「ひき逃げ」という行為が、アメリカでも同様に罪に問われるかどうか詳しくは知りませんが（たぶんそうだとは思いますけど）、目撃情報の通りだとすればこの水兵には軍法会議で有罪判決が下されて欲しいもんです。でもその結果は日本側に知らさせるのでせうかねぇ。

　あと、この場合轢かれてしまった子供達に対する治療費や慰謝料の支払いはやはり日本が持つことになるのでせうか（“思いやり予算”ってやつに含まれるのかな）。そうだとしたら、米兵の不始末の尻拭いをなんで我が国の税金でせにゃならんのでせうか。せめてこの水兵が事故現場に留まって、怪我をした被害者の救護にあたっていてくれたなら、少しは不条理感も軽減されようというものなんですが。ここらへん、詳しい方いらっしゃいましたら解説キボン。

　今の日本の防衛にアメリカ軍の存在は必要不可欠ですが、その代償は決して小さくはなく、また基地周辺の住民でなくてもいつ影響や被害を受けるかわからない、というのが今回の事件でせう。でも、だからと言ってワタシは「米軍出て行け」などと短絡的なことは言いません。このような不条理を少しでも減らすため、日本政府には今後とも尽力していただきたいと思うのみです。ほんま、頼んまっせ。