桜庭一樹著「少女を埋める」は、3作品が納められてて、私は前回、本作タイトルの「少女を埋める」だけを読んで感想を書いた。
ところが、2作目「キメラ」3作目「夏の終わり」を読んでみたら、どちらも「少女を埋める」の後日談じゃないの!
それも著者と翻訳家C氏の大論争の転末が事細かく、書き上げられている。
翻訳家C氏って、あのお方でないの?私が夢中になった「風と共に去りぬ」の新訳をだした方。私が全巻読んだのは大久保氏のだったが、C氏の解説本を読んでとても共感したものだ。
それはさておき、この大論争は朝日新聞もお偉い評論家さんたちも巻き込んで、アッと言う間にえらい騒動に発展していく。その経過を逐一、著者の怒りや戸惑いなどの心情を込めて克明に記している。
最初は、へえー、そんな誤解されることもあるのかあ。早く誤解解けたらいいなあ、とのんきに読み続けてきたけど
一息ついて、さああと、どれくらいで終わるの?とパラパラページをめくってみたら!えー、この後まだ50ページも騒動が続くのか?との驚きとともによみがえったのが、風と共に去りぬの3巻目4巻目(敗戦時の地獄の苦しみが描かれてる)を読んでた時のしんどさであった。
しかも、50ページではまだ終わらなかった。3作目の「夏の終わり」も、騒動の続きだった…
しかし、これは、3作通して「少女を埋める」なのだと思った。2作目3作目はリアルそしてライブ感あふれる、著者が大手出版業界に埋められる。になってるから。桜庭一樹さんは必死に埋められないよう戦ったのだ。
しかしこれ、SNSやらTwitterがあるから、こんな論争に早く大きく発展していったわけで、一昔まえなら、誤解を受けて泣き寝入りした作家もいたかも?でも、それをさせないように時代が変化して進んできたんだよと、著者もいいたいのかな。
桜庭一樹さんが焦りが少々怖かったが、ラストは心穏やかになられて良かった。
あと、おススメ本もたくさん紹介されてて、また楽しみが増えたな。
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