六甲山は兵庫県神戸市の北にある山でその山系は東西に細長く続き
阪神間においてはランドマーク的存在となっている。
神戸や大阪から見える南側の一帯を通称「表六甲」と呼び、
山頂より北側の局所的な範囲を「裏六甲」と呼んでいる。
有名な有馬温泉はその裏六甲から北に下ってすぐの所に位置している。
因みに有馬はすぐ北の三田市、東の西宮市に隣接するものの、れっきとした神戸市(北区)である。
現在では三宮からは新神戸トンネル、阪神高速を使うと30分足らず、
北からは中国縦貫道西宮北インターの東手前を分岐し、
阪神高速を使うと山口インターから車で5分で行けるようになった。
まだ阪神高速がここまで延びる前の30数年前、
当時付き合っていた北区に住むR子とのデートで数え切れないくらいに通ったルートを走っている。
暇はあっても金はない時代、時間に追われない限り滅多に中国道さえも使わなかったのは、
経済的な意味だけでなく出来るだけ彼女と一緒に長くいたかったのが本音だった。
今となっては甘酸っぱくてほろ苦い懐かしい思い出である。
ああ、あの娘は今頃どうしているのだろう・・・。
なんて感傷的になっていてはロードインプレッションにならないな。
中国道池田インターを西に向かいながら好きな音楽もかけずに、
交換したばかりのサスペンションに気を払うことにただただ集中だ。
80キロ~100キロで巡航して市街地の時と違うとすぐに気づいたのは
やはりショックやサスの減衰力がノーマルよりは若干強い(硬い)点である。
路面の継ぎ目や段差を通過する際の振動が交換前よりはっきり判るくらいに伝わってくる。
撥ねる程の感覚ではないが大きな外部入力に対してそれなりに反応するような感じだ。
クラウンに代表されるいわゆるダンナ仕様を好む方には気になる点かも知れない。
あの応接間のソファーを心地良いと車に望む者には向かないだろう。
面白いことにもう少し合法プラスα程度に速度を上げてみると、
今度は軽く「タンッタンッ」といなすようにその衝撃が軽くなるからこれまた不思議。
中高速域においては硬さの点ではノーマルとの違いがよく判ると解釈してもらいたい。
少なくとも我慢するというより私にとっては好みの範疇なのである。
タイヤやエンジンみたいに使用初期から段々アタリがついて馴染んでくるのかは
全く不明ながら折を見て経過も報告させていただくつもりだ。
但しその前にこちらが慣らされる可能性は否定はしない。
久々の無音の室内で耳を澄ませばタイヤと風切り音だけが聞こえてくる。
挙動が軽くなったタイヤからは路面のアスファルト粒を拾うざらつきさえ伝わってくる。
前回書き忘れていたがタイヤはスタッドレス(ダンロップ ウインターマックス)である。
今年はうっすらと白くなったのが1、2度あった程度なのだが長距離を走ることもあり、
例年12月から3月まで毎年履き替えているのだ。
タイヤの音や振動に対しては私の場合は頓着ないというのか許容の範囲、
寧ろ全くないよりは足裏情報はあった方が好ましいと思っているのと
足廻りを換えた影響という点では風切りやタイヤの音は今回の試乗目的とは直接関係ない話かもな。
緩やかな上り坂の西宮名塩SAを過ぎるとすぐに阪神高速へ分岐となる。
三車線ある右の追い越し車線から一番左の登坂車線へとハンドルを左へ切る。
いつもと同じようにじわりと寄せるつもりがスパッと急に左へ行きすぎそうになったのは
ちょっとビックリする挙動だった。
前回書いたVOXYを積算距離10万キロ手前で純正のサスに交換した時に
似たような経験をしたことがあったのだが、
まだ25000キロしか走ってないオヤジ号だけにへたってる訳はなく、
KYB、チューハツとの性能差と認めるべきだろう。
参考までに書くと何故かT社、D社共にAVV50の足回りの推奨交換時期はない。
無制限みたいに思えるが換えなくても安全に重大な瑕疵が発生せずに走行できるというだけで、
決してそのままでずっと快適に走れる意味でないのは賢明なユーザーならお解かりの事と思う。
ディーラーではダンパーからオイル漏れがあったり、サスのバネが折れたり(これは事故以外に考えられない)
しない限りは交換することはないと思っていただいて間違いない。
まあそれだけ一般のオーナーがわざわざ交換しない部品だとも言えるのであるが。
だが事実KYBでは使用状況によるものの3万キロを目処とされているようだし、
チューハツの方も新品購入後1年間の製品保証となっている。
純正と同じメーカーの作ったアフターパーツの方がより嗜好性の高い者に使われる前提と推測すると
この期間がいわゆる旬の美味しい時期なのだろうと解釈すべきである。
当然標準装着品並みの耐久性はあるに決まっているではないか。
まるでステアリングのラック&ピニオンのギアの比を変えたかのようなクイックな反応には
驚くだけでなく足回り製品の重要性、役割をを再認識するばかり。
阪神高速(北神戸線)有馬口インターで高速テストはお終いにしよう。
このまま六甲山系北側を廻ってR176を経由し宝塚に抜けて帰ることにする。
山頂を目指す方面ほど急ではないもののその中腹に位置する176号線は狭くて
アップダウンに富む山岳道でワインディングを試すには調度良いだろう。
日常使うことはもう殆どないが昔のデートコースで最も多用したルートの一つでもあり走り慣れている道でもある。
とは言えこちら側からは上りより下りが多く、夜で視認性も落ちるので
調子に乗って事故など起こさぬように慎重に走行することに専念しよう。
限界的な走りではなく一般的な速度なので皆さんには参考になるかと思う。
比較的空いた道路状況だったが暫く走っているとすぐに前の車に追いついた。
決して煽ったりせず車間距離もあけてゆっくりと走る。
中低速でも高速道で気づいたステアリングの反応、回答性が素晴らしい。
下りではエンブレを多用しフットブレーキを最小にする運転をしている。
以前一年生さんや大雪さんに教わった省エネ走行はこういう場合に向かない、いやゴメンなさい。
このシチュエーションで燃費を考えながらの走りは私には面白くないというのが正しい表現だろう。
有難いことに始動からの燃費は18キロ、少々ラフに扱ったところで15以下にはなるまい。
コーナー手前でアクセルオフ状態のまま今までならフットブレーキを少しだけ踏んで減速していたような
下りのカーブに差し掛かってもそのままステアリング操作のまま何事もなかったかのように
スッと向きを変えることが出来るのである。
カーブが右に左に連続するこの道ではロードスターに代表されるヒラヒラ感が味わえる訳だ。
いやあこれは実に面白い!
おそらくサスペンションを換えたことによってボディ剛性が上がりロールも抑えられているからだと思える。
わずかではあるが車高の上がる事が即ちフワフワするという安易な認識は改めるべきだろう。
今回下りが多いのでアクセルを踏みこむ機会が少ないのは残念なのだが、
上りの際には今日は使わなかったTOMSのスロコンをオンにして走るともっと楽しいだろうと思う。
その時には是非ともサマータイヤで走ってみたい。
元々世界戦略車でそれも北米顧客を主なターゲットとしているカムリには山岳コースや
狭いワインディングを走るよりハイウェイを巡航するのに適したセッティングなのは仕方のない話なのだが、
パワーのあるAVV50にとって連続するコーナーは苦手というより
そのダルな挙動が消化不良を起こしたようなイラつく感じがしていたのが、
足廻りを交換しただけで全く別の車かと思えるほど変身するとは思ってもみなかった。
溜まっていたフラストレーションは一気に解消だぜ。
また一般道を普通に走って帰ったことで単に絶対的な速度を上げることよりも
「走る」「止まる」「曲がる」の調和、バランスが向上し人車一体となった感覚の方が
ワクワクドキドキするのもよく判ったのが新しい発見だった。
そう考えれば1台の車をどう完成させていくのか、そのバランス、味付けをどうするのかという事が
多岐多様な選択の中では開発者にとって非常に難しい事なのだろうと思う。
当然ながら私の好みが他人、万人に受けるとは限らないという点も考慮されているはずだ。
今回の試乗でSRとマルチロードプラスに与える最終得点は95点。
天邪鬼さに加え欲深い性格でどれだけ良くてもマイナス1点。
残りの減点分4点は更に超私的な事で誠に申し訳ない。
自宅近辺でのあの急な下りから国道に出る際のフロントスポイラーの干渉問題。
ドキドキしながらゆっくりと降りてみたらノーマルの時ほどではないもののほんの少しだけ擦ったのが残念だった。
時間も然程変わらないので潔く諦めて引き続き迂回路を使うとしよう。
実のところ私の自宅はスキー場の近くにお住まいの方よりひょっとすれば急勾配かも知れない地形に位置し、
車自体には全くもって責任も関係もない話なのである。
2年半前に近所で飲食を共にした若隠居さんなら車で5分程度上がってあの眺望というのを
思い出していただければ頷いていただけるのはないだろうか。
製品本体に対しては事実上フルマークということになる。
いつもの上り坂での超低速カーブの方では気持ち程度鳴きが少なくなったように思う。
タイヤ自体が変わっていない以上、接地面のグリップ圧が変わったからなのだろう。
これも年末に買い換えたサマータイヤ(ダンロップMAXX050+)に戻した際に改めてじっくり比べてみよう。
惜しむらくは今回助手席にカワイコちゃんでもいればプラス25点・・・。
なんて妄想をしながら2時間足らずの装着走行インプレッションは終わることとなった。
山ノ神の目もあり当分は車イジリをすることはなく大人しく走ることになるだろう。
(おしまい)
車高が少し高くてもコーナリング性能が増したみたいですね~
今年の奇兵隊OB会は有馬温泉ですが夜は宴会なので
六甲山からの夜景は見れないかな~
1センチ前が高くなったものの角度ができたため下りから平坦な道へ行く場合
前はほぼ同じ地上高になったのかな?
大きなボディーにもかかわらず、
発進時や高速道路でアクセル踏みこんだとき、
さらに山岳道路での急登路での加速も・・・・、
そのパワーを感じ楽しむ場面はいくらでもあり、驚愕ですね。
しかも、気にせずアクセル踏みこんでも、燃費は驚くほどには悪くならない。
エンジン性能とHV性能、頭が下がります。
走行性能に加えて、オヤジ号のダンパーとNewサス、レカロシート、
オヤジさんのうきうき試乗が目に浮かぶようです。
六甲から見る神戸も美しいことでしょう。
最近は自分自身の足のストロークが如何に貧弱かを感じることが多く。
オヤジさんの記事はその意味でいろいろ参考になります。
足のストロークを改良するためには、やはり立腰、しかも骨盤から太ももを決して離さない強さ、一瞬でもこの辺りが緩んでしまうと、次の動作には入れません。
(安全地帯の唄の一節に、もう離さない、離さない、離さない・・・・
なんていうのがあったと思うのですが、
最近はそれを口ずさみながら歩き走っています(周りの方々はへんに思うでしょうか))。
しっかり固定されたサスは体剛性を上げ、
そのバネの強さと長いストロークは柔軟にしなやかに
そして俊敏に路面の変化を捉え対応する、
股関節周りも柔軟・弾力的に回転させることができる、って、
走る、曲がる、止まる、人の基本作動、あるいは一年を通して唯一冬に楽しむスポーツにも
共通と思いつつ読みました(私自身もこんな素晴らしいサスを身に着けたいです)。
BMWの評を思い出しました。
ノーマルでのカムリの乗り心地は
万人向けを狙っていると思いますが
いろいろと手を加えればカムリもBMWのような乗り心地を得ることが
出来るのではと言う期待が。
でも1cm上げても、まだ車体を擦ってしまうのは残念です。
こちらで何時ぞや道路が凸凹だったので役所にクレームしたら
アスファルトですりつけてくれました。
一回ダメ元でクレームですね。
有馬はどちらにお泊りでしょう?
もし良かったらメールでも詳細情報教えてください。
聞いたからって突然行ったりはしませんからご安心を(笑)!
それと有馬自体が裏六甲の山中ですからそこから見える夜景は有馬の夜景になりますなあ。
大体が六甲山の夜景は頂上から見るのを除けば平地の神戸、大阪側から見た表六甲を指しますからね。
バンパーの干渉については1センチ程度の問題ではなさそうです。
これは本文に書いた通りですわ(涙)・・・。
先の記事への返コメにも書きましたがかなりの主観ゆえご勘弁願います。
一般的にはKYBはやはり固いですよ。
その引き換えにというか代償というかは人夫々でしょうが何かを得ようとすれば
何かに目を瞑るという考え方は必要かと思います。
相乗効果のお陰でワインディングが楽しくなったのは正直な部分ですけどね。
そうそう安全地帯の歌を口ずさみながら歩き回っている人を見かけたなら
私も「ちょっと変な方」と思うでしょう(笑)!
BMには乗ったことがないのでコメントに困りますけど、
私の記事もエエ加減なもんですが本来客観的に伝えるべき評論家がこれまた曲者ですね。
いや、彼ら全てが悪いというより柵や利害関係、ひょっとしてまともな人物がいたとして、
文章だけでその感覚を伝える能力がどうかという問題もありますでしょ。
結局素人同士の情報交換の方が案外リアルかも知れないですよ(笑)!
こと、良かったですね。
ショックやサスを交換された目的に、フロント下部
が路面とこすることを解消するということがありま
したが、それが解消できなかったようでちょっと残念
でした。
リアの車高アップがフロントのアップより7mm多い
ようなので、リアだけサスを純正のままにするという
ことにはいかないのでしょうかね。
パーツ交換で自分の感覚にぴったりフィットした感じなんですネ。
期待以上の結果のようですネ。ただ課題の坂はクリア出来なかったようでチョッピリ残念。
バンパー干渉自体は仕方のないことと思いますね。
これ以上上げると今度は見た目の不自然さが気になってくるでしょうね。
どれだけ違うかは別として4輪分セットで設計されてるサスを後ろだけ(前だけも)
取り替えるのはあまりお勧め出来ないですね。
特にチューハツのは左右対称形に巻かれたりした特性も純正とは違うように思いますよ。
まあそこそこ期待通りで良かったです。
簡単に自分で交換できない物だけに気軽になかなか・・・。
当分大人しくしときます。