クイズ参加者から色々と不満や意外性を問われていたが、
その理由を答える時が来たようだ。
少々長くなるが以下を読んでもらいたい。
但し登場人物中で私以外の者に対しては相手がある話ゆえ、
具体的には説明出来ないことはお断りしておく。
高齢者の運転が厳しく報道されるようになったのはここ数年前くらいからか。
今年4月に池袋で起きた元通産官僚I氏(88歳)の事故は
「上級国民」なんて言葉が流行るような出来事だったのもあり
更に声高に報道されるようになった。
またその後の5月に大津で起きた幼稚園児の集団に突っ込んだ事故は
運転手は50代の女性だったがその内容から悲惨さや事故に対する
自動車を運転する者への厳しい声が更に増すようになってきている。
車は走る凶器であるという自覚を持ち、運転者は交通ルールやマナーを守る
というのは当然のことだが一律に高齢者だけが責められる現状は
少々違う気がする。
そんな7月初旬のことだった。
身近で日頃から言葉にならぬくらい世話になっている身内、
それも親、兄弟レベルの親密さのS夫妻の奥さんMさんから
旦那Sさんの運転免許の返納について相談があった。
但し本人はそれに同意はしていない。
因みにSさん池袋I氏と奇しくも同世代である。
若干耳は遠いが補聴器を付けると問題ないし、それ以外に大きな持病も無い。
というより普通の高齢者というよりはバリバリ元気で下手すりゃ私より上。
毎日近所の喫茶店やスーパー、ゴルフ練習場等と主に短距離の運転しかしない。
自宅の車庫入れで最近よく横のコンクリートブロック塀によく擦るように
なったのが気になるからだという話だった。
子供の頃から現在までSさんとは頻繁に話をするのでよく知っているが、
私が生まれる前から車を運転し段々とグレードアップし今では3ナンバー車。
自宅の車庫を乗り降りするには隙間の幅が狭くて目視で20センチ程度。
考えてみても降りづらい、いや実際私の体型では無理だろう。
幸い痩せ型のSさんはバックで運転席側をブロック塀と1センチ位まで
窓から顔を出しながら寄せた後、自宅のある助手席側から車とドアに
体を擦らせるように捻って半身になって毎日乗り降りしているのだった。
本人はまだまだ乗る気満々、車を取り上げられたら生きていけないと言う。
高齢者に対しては減点の有無に関わらず更新期間は最長3年であり、
更新時期を迎える来年までは最低限乗り続けたいとも話していた。
高齢者に対しては実際の更新手続きだけでなく事前に予備講習検査という
認知機能の検査をパスしなければならず、
またその為には医師の診断書まで用意していかなければならないという
相当高齢者には時間的にも経済的に厳しい規則が決まられている。
ここまで社会問題化している以上は仕方ない部分もあるだろうが、
はっきり言えばその年齢になれば車を降りるように促す、
いや降ろそうとしているのがオカミの方針なのだろう。
そこで私はMさんにSさんは近場しか走らないし、
乗り降りする度に前後左右に緊張しながら気を配るのに無理がある。
もっと小型の5ナンバー車に買い替えをと提案したのである。
いつまで乗り続けるか判らないから今の車を乗り潰すまで使うというMさんに
いや最近の車は安全装置が充実しているので最近の高齢者事故では1番多い
アクセルとブレーキの踏み間違いみたいなのが防止できて安心ですよと
夫婦の間を取り持つような話を纏めたのである。
私自身もそういう傾向はあるがそれ以上の年齢の者にとって車とはセダン。
ハッチバックやワゴンはライトバンみたいな物、
となれば選択肢はかなり限られてくるというより最早稀少種となっている。
既にホンダシビックやアコード、スバルレガシー、インプレッサは勿論のこと
日産シルフィーも3ナンバー化している。
ではどうかと調べれてみればトヨタでアリオン/プレミオにカローラアクシオ、
ホンダのグレイスくらいか残っていない。
カローラスポーツはカッコイイと思うがSさんにすればサニー並みの大衆車。
その中で最も高級で排気量の大きな車となれば答えは一つになる訳だ。
カタログの取り寄せから装着オプションの設定や値引き、
発注手続きまで全て私が行ない納車は8月末か9月初頭と決まった。
支払いも早々に先に済ませていた。
そんな7月の末、Sさんから警察から呼び出しが来たので
一緒に付き合ってほしいと頼まれた。
来た書類を見せてもらうと警察ではなく交通安全協会。
免許の更新は来年で疑問に思いつつ読み進めると
「臨時認知機能検査」の案内だった。
臨時認知機能検査とは一旦停止や信号無視、進入禁止等のいくつか指定された
項目違反の場合に我々なら違反点数を引かれ罰金で済むだけだが
後期高齢者は認知機能低下を調べる為に都度検査を受けなければならないと
決められていたのである。
そんな取り決めは私自身は知らなかったしSさんも当然気にしてはいなかった。
聞けば春頃に一方通行の道路に入りかかって引っかかった覚えがあると言う。
おそらくそれに間違いない。
8月の上旬、丁度お盆前に同行して当日受けた結果が
100点満点中48点以下でNG、因みに79点以上は文句なし、
78点~49点は要注意ではあるが免許はもらえるのである。
付き添いなので検査会場の中までは入れず外で待っていただけだが、
どうやら時間や日付、曜日みたいな簡単なものまで間違ってしまった模様。
平成が令和に変わったのもうっかりしていたみたいだが、
久々に試験みたいなものを受けてプチパニックになったとしか考えられない。
医者に診てもらい直し診断書を添えて再チャレンジする方法はあるにはあるが、
この判定は流石に堪えたようで免許返納する方向に話は一気に進んだのである。
となれば判るよね。残ったのは私が手配した新車の話。
注文書に契約して支払いも済ませている以上キャンセルは出来ないし、
実際もうすぐ生産ラインから車はディーラーに来る段階になってしまっている。
考えつくのはオヤジ号の買い替えだけだった。
これが設問2.の真実、理由なのである。
自らはまず選ぶことは無い車だけど、これもある意味運命かもなんて気もする。
当分おとなしくこれに乗って安全運転に努めるとしましょう。
いや、案外中年(?)暴走族になってしまうかもね。
今はただ現オヤジ1号の下取り額が多ければ良いなあと思うだけである。
まあこんな理由を思いつくのは超難解であったことは清く認めアソビに
お付き合いいただいたガズともメンバーの皆様には深く感謝する次第です。
これで一連の記事は一旦終結となります。
(おしまい)