お久しぶりです。夢案内人の兎でございます。
好きな食べ物はニンジン。普通でしょう?あまり面白くないのはあなたのせいでもあるのですよ。
今日はどんな夢をご覧になりたいのですか?
ほう、楽しくてもう一度見たくなるような、目が覚めなければいいのに。というような内容ですか。
まぁ私が夢を作ったり選んだりできる訳ではありませんので。
え?なぜ聞いたかって?ハハハ。そんな事に意味はございません。言うなれば、趣味。でしょうか。
さぁ、それではそこにお立ちください。5歳児でもわかるようにシールが貼ってあるでしょう。そう。そこです。
なるべく良い夢が見れるように目を閉じて祈ってみてはいかがでしょうか。
それでは、いきますよ。
ここは、岡山?
岡山は親父の実家があるところだ。
でもこんな岡山は知らないし、見たこともない。
なんでここが岡山だってわかるんだろう。
波止場がある。あぁ、あのフェリーに乗ってここまで来たんだった。そうだ。そうに違いない。
「ほら!はやく行くわよ!」
なんだ、この美人さんは。是非お付き合いしたい。
このちょっとキツめの視線がたまらないな。
「あんた私のどこ見てんのよ。」
そんなに胸が強調された服を着ていてよく言うよ。
そんなことより、これは。
空から青い綿が落ちてきている。これが雪。岡山の雪は埼玉の雪と違うんだな。
せんせー!はやくぅー!
そうだ。今僕は先生だったんだ。
課外授業で岡山に来ているんだった。受け持ちの生徒たちは本当に可愛い子たちばかりだ。
かんちょー!かんちょー!
ふ、慣れたものだ。カンチョウするのに声をかけるとは。やはり子供だな。
よし、じゃああの山の上のロープウェーまで行くよ!みんな一列でね!
長い長い道。
峠に沿ってアスファルトが敷いてある。頂上まではどのくらいかかるのだろう。
でもあのロープウェーに乗りたい。なぜか乗らなければいけない、という気がする。
おや、あの行列はなんだ。
すいません、これは何の列ですか?
「これは、ロープウェーの順番待ちだよ。」
なんてことだ。兎が喋っている。
昔マンガで読んだようなキャラクターだ。それにしても山で背広姿に会うとは思わなかったな。
先生、私。絵が描きたい。
そう言われたと思った時。なぜか僕は文房具屋にいた。
昨日友達と飲んで、財布の中には8千円ぐらい残っていた気がする。
よし、先生が買ってあげよう。みんなと仲良く使うんだよ?
やったー!
それにしてもこの子はすごい可愛いな。幼女的な可愛さではなく。
なんだろう。幼児ではあるんだがどことなく昔好きだった人に似ている。
名前も思い出せない生徒ではあるが、生徒は生徒なのだろう。
画用紙にするか、スケッチブックにするか。
やはりここはスケッチブックにしようかな。ケント紙のいっぱい入ったスケッチブック。
色鉛筆とクレパス。すごい、100色もあるのか。値段は
4千円、だと。
だがいい、買ってしまおう。
地味なスケッチブックと派手な色鉛筆を手にレジに進む。
おかしい。
会計が済むと財布には小銭しか残らなかった。
でも、まぁいい。
まだ雪、降ってるね。
でも私この雪好きだな。キレイだもん。
先生、そろそろ時間が。
おや、さっきのキレイなお姉さん。
波止場の道をお姉さんと二人で歩く。デートみたいだ。
では、私は船に火を入れてきますので。
フェリーを運転してきたのはお姉さんだったのか。
というより私物、なのか。
よし、みんな。帰るよー。
青い雪とも、お別れ。か。
気がつくとそこはもう家の前。
どうして帰ってこれたのか。
あの子の描いた絵はどんなだったのか。いろいろ知りたいことは山ほどでてくる。
先生、お疲れさまでした。
あぁ、お疲れさまでした。
家に帰っても誰もいない。
いや、いた。先月飼い始めた文鳥が。
そして家先で別れたはずのお姉さんが、ついてきていた。
えっと、あれ。期待していいのかな。
冷蔵庫から振り向いたお姉さんの顔は兎になっていて、ぎょっとする。
だめよ、もう時間だから。
Viii
Viiiiii
あー、もう朝か。
夢、見てたなぁ。あれはどこだったんだろう。岡山…ではないよな?
トイレに立ちながら独りごちていた。
携帯のアラームは止まり、待ち受け画面に戻っていた。
ポップで可愛い兎のイラスト、友達には似合わないとこき下ろされたが僕はしばらくは変えるつもりはない。
欲を言うなら今回もきちんと落ちてほしかった。笑
まぁ次回はそうしよう