+-×÷餓鬼上等÷×-+

[2012年1月 更新]
コメにURLを貼る時は先頭のhを抜いてください。

大っ嫌い。

2011-07-29 03:53:31 | ますべ的書き物風落書き
ばっかじゃないの!
って言われるたびに好きになる恋があっても良いと思う。
酒とタバコとセックスと。それから、えっと。大っ嫌いなあなたのために。




やばっ、ちょっとこぼした。

あーあ、ばかねー。こんなに美味しいお酒。勿体無い。


2人で晩酌してて、ふとした会話。
僕が君とする、毎日する、会話。
こぼしたお酒はほんの数滴、喉を潤すには程遠い数滴。

でもね、でも。
その数滴が僕達には必要な数滴。愛しさの数滴。



っつ!ばか!

うまくキスができなくて怒られた。
酔っ払うと求めてくる君、可愛い君。
だから僕らのセックスはいつも酒びたり。それでもそこに愛は、あるよね。

出会った頃、君は甘いお酒が好きだって言ってた。
でも今じゃ僕よりも日本酒が好き。
僕は昔より君が好きになったよ。



火ちょーだい、ってライターを出すのを面倒くさがった僕に

んーー。
って、君はシガーキスをしてきた。
いつものキスより可愛くて、また好きになった。





明日どこ行きたいー?

って、たまーにするデートの話。
君は最近決まってこういう。

えっとねー、えっとねー!日本酒の美味しいお店!


そう言われてまたいつもの居酒屋に行くことが決まる。
居酒屋というか、酒屋の隣で店主が趣味でやってるお店。

日本酒って、本当に美味しい。
でも、彼女が好きなのは甘口のもったりした日本酒で
僕が好きなのは、辛口の日本酒。

お酒が好きになったのはいつからだっけ。

洋酒は苦手。ジンは飲めるけど。ワインもブランデーも、あまり好きじゃない。
喉が焼ける感覚がだめなんだ。

でも、焼酎も苦手。あの独特の匂いがだめ。
大学時代、友達が事有る毎に焼酎のボトルを持ってきて、僕はまるで対抗するかのように一升瓶を持っていった。




2人で仕事から帰り、お店で軽くご飯とお酒を飲み。
家に帰ってから、また。二合ぐらい飲む。
いつもの夜、いつもの感じ。いつもの、ふたり。


少しお酒が回った身体で、セックスをして。
いつもの夜、いつもの感じ。いつもの、ふたり。

でも今日は、いつもの夜じゃない。


結婚、しよ。


いつか言おう、きっと言おう。明日言おう。

そう決めてた言葉を、先に言われた。
男として恥ずかしい事なのかな、と少し思った。
でも、嬉しくて泣いて。どうでもよくなった。


結婚、しようか。


ごそごそと、2ヶ月渡しそびれていた婚約指輪を街灯が照らす部屋から探し出し、渡した。

そして、僕達は。





年をとり、子どもは大きくなった。
子どもはまた、子どもを生み、そして君は死んだ。

何もできなかった。急なことだった。

今でも思い出す、楽しかったとき。

愛してるって、お酒を飲まないと言えなかった君。
僕も、とだけしか言えなかった僕。


君がいなくなって心から思う。
お酒をやめて、素面で言える。






ばっかやろう。大好きだよ。
愛してる、大っ嫌い。愛してる。




君が死んで、付き合ってくれる人がいなくなって。
お酒はやめた。

たまに、君を思い出して煙草を吸う。
思い出の、君の煙草を。



大っ嫌いだよ、お前なんて。
だからまた

結婚、しよ?

最新の画像もっと見る