吾輩は『ちょび』助である。
病気が回復して以降、口の悪い自称・飼い主からDEBU呼ばわりされている『ちょび』助である。
まぁ、確かに病気中は身体は辛かったが、あの優しいけれど性格は悪い自称・飼い主がその間だけは色々気遣ってくれていたのである。
吾輩が粗相をしても、声を荒げたりはせず。
調子の悪い時は仕方がないよなぁ・・・大丈夫か?
などと、叱られるのを覚悟していたのに、決して怖い思いはせずに済んでいたのである。
が。
獣医さんの検査結果で、吾輩の良くなかった数字が比較的落ち着いて来たのを知った途端に、その態度は豹変したのである。
(まぁ、肝臓の数値は正常値に戻ったものの、驚異的な血液ドロドロぶりと、万年脱水症状を呈しているのは以前と何ら変わってはいなかったがw)
月に一度か二度、土曜日の夕方。
自称・飼い主は自宅で仕事をする。
治療。とか云うものらしい。
吾輩も病気になってからは、抵抗むなしくあの極悪大魔王に捕まって受けさせられたりしたものだが。
やってくるお兄ちゃんは、ヘタレの自称・飼い主と違って外出中に野良ニャンなどと出くわそうものならば、吾輩の身を守るためにニャンコを一発で追い払ってくれそうな頼り甲斐のある偉丈夫。
そう、吾輩は大嫌いなニャンコやワンコと会った時、ぐぉるぁ!!と、奴らを追い払ってくれる頼もしい男性が好きなのである。
悪名高き、自称・飼い主の弟さんのような。
「あぁ!にゃんこぉ~」とか「わんちゃん」とかほざいて、尻込みする吾輩を引き摺りながら猫や犬の方に嬉々として近寄っていく自称・飼い主の如きハゲオロカは論外なのである。
吾輩の好きなのは頼り甲斐のあるヲノコなのである。
ヲンナ子供や、自称・飼い主のようなヘタレの社会不適応者はお呼びではないのである。
しかも、やってくるその男性は犬好きと見えて、近寄っていく吾輩の頭をナデナデしてくれるのである。
だが、治療の邪魔!とか云って、自称・飼い主は吾輩を部屋から締め出してしまい、一緒に遊ばせてくれないのである。
今日も、時間が近づいてきた。
自称・飼い主は部屋を掃除し、治療する準備を整えて台所で山積みされたカップを洗っている。
関係ないが、二日ほど使用した食器を洗わずに放置しておいた自称・飼い主・・・何故にか珈琲や紅茶のカップばかりが10個ほど散乱しているのに、吾輩のお薬用の皿(マーガリンやビスケットに薬を混ぜるので)が数枚積まれているのに。
普通に食事に使用するような茶碗や皿などの食器らしい食器が一つもないって・・・
一体、どんな食生活をしているのだ?オマイは??
ふむ。
ハゲオロカは不用意なほどにカップ洗いに夢中になっている。
お兄ちゃんがやって来て、吾輩とずっと遊んで貰えるようにする為には,如何すれば良いか?
何か良い作戦はないものであろうか?
そこで、聡明な吾輩の灰白色の脳細胞をフル回転させたら。
ピコーン!
閃いた!!
簡単な事ではないか。
自称・飼い主の行う治療なるものをさせなければ良いだけの話ではないか♪
お兄ちゃんが来るまで、時間的余裕はあと10分ほど。
そこで、吾輩がとった行動は!
どうだ!
治療に使用する布団を使い物にならなくしてやった!!
「ぐぬああぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐげぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
カップを洗い終えた自称・飼い主が発狂している。
元々、おかしいヤツであったが、普段に増してぶち壊れてやがる。
ちょっと。。。不味ったかな。。。
リビングの隅で反省の意を示している吾輩に対して、あのハゲオロカは容赦のない暴言を浴びせながら暴力を働こうとしている。
剥がしてきたシーツを恭順を示している吾輩に思い切り叩きつける!などと云う暴挙に出ている。
いぁぁぁぁぁ・・・
この所、病気の関係もあって、怒ってもフリをするだけだった自称・飼い主。
全部、吾輩はちゃんと見抜いているのだよ。と、ヤツが大声を出したりしても吾輩の方にもゆとりがあったのであるが。
吾輩的には冷静に対処できていたのであるが。
今回は、腹の底からブチ切れてやがる。
ハゲオロカのくせに!
ヤツはその後、慌てて治療用の布団はベランダに干して、別の敷布団を取り出してきてシーツをセットし直していた。
そして、再び吾輩の元に来て、吾輩をハウスに閉じ込めようとする。
勿論、吾輩はそんな仕打ちを受ける謂れなどはない!
と、牙を向いて抵抗したら・・・
否・・・
抵抗しようとしたら。
即座に飛んできたスリッパが、吾輩の横っ面を殴打した。
この卑怯者め!
吾輩と戦うなら、飛び道具(違)など使わず、素手で勝負してみろ!!
などと云う、吾輩の正当な反論に耳を貸す素振りもなく、ハゲオロカは怒り狂っている。
ったく・・・
ヘタレの小心者がぶち切れる、こういう時は手に負えないのである。
そして、お兄ちゃんがやってきた。
ハゲオロカは吾輩に怒声を発していたくせに、何事もないような顔をして玄関までで迎えに行っている。
なんてやつだ・・・
吾輩もお兄ちゃんの所に走り寄ろうとしたら。
その隙をついて吾輩を抱きかかえた自称・飼い主。
「お前は乱暴者だから、すぐに飛びつくだろう。ダメダメ」
と笑いながら吾輩をハウスの中に放り込んで折の扉を閉じてしまった。
ありえなぁ~い!!
猫の目と秋の空とヲンナ心と自称・飼い主の挙動はくるくる変わりすぎ!
吾輩、抗議したさ!
こんな理不尽なことがあるか。
これは不条理だ。
思い切り、大声で抗議の声を上げ続けたさ。
普段なら、近所迷惑だからと、少し大声で脅してやれば何でも云う事を聞く、ちょっとへそ曲がりな下僕である筈の自称・飼い主であるが・・・
今日は、近所迷惑なんのその。
一時間半近く吠え続けたのに、最後までハウスに閉じ込められたままだったのである。
嗚呼。
なんて、可哀想なのであろう、吾輩って。
お兄ちゃんが帰った後、漸くハウスから出して貰ってのであるが。。。
吾輩、自称・飼い主の今回の暴挙には納得できないのである。
そんな吾輩を無視して、自称・飼い主はベランダに出て干した布団に思い切り、消臭・除菌のスプレーをこれでもか!おりゃうりゃ、親の敵だ!と、云うくらい吹きかけ、そのまま夕食を買いに出掛けてしまったのである。
ヲイ!
吾輩を無視するな!
大嫌いなお留守番を予告もなくさせるな!
出かける時は忘れずに!の吾輩のおやつ、確信犯的に忘れてるだろう!!
そんな事ばかりしていると、いつかバチ当たるぞ!!
と、思ったら。
ヤツが近所のスーパーに行っている間に不意打ち的に豪雨が襲ってきた(爆)。
やつはずぶ濡れで帰って来た。
ベランダに干した布団も水を吸って大変な状況に。
ザマアミロ!自称・飼い主!!
天網恢恢祖にして漏らさず。
因果応報。
これはオマイの行いが呼んだ不幸なのだよ、ハゲオロカ。
そんな騒動ばかりの一日も終わり。
夕食を終えた(て、スーパーで買ってきた水も滴るwパック寿司)自称・飼い主は少しは落ち着いたと見えて、のんびり珈琲を飲みながらテレビを見ている。
有り得ない不幸に見舞われた吾輩も、もう疲れたよ・・・テーブルの横で熟睡中。
どんなドタバタが起こっても、一日の終わりは寛いで過ごしたいものである・・・
と、思った吾輩が悪かった(汗)。
痛いよぉ!
怖いよぉ!
泣いちゃうよぉ!
キャンキャン。
ク~ン。
アンアン。
キャイ~ン。
「如何した?怖い夢でも見たのか?」
目を覚ましたら、吃驚した自称・飼い主が駆け寄ってきていたが・・・
いきなり、ヤツの顔が視界一杯に広がっていたので、吾輩は咄嗟に!
ウガァ!!!
またしてもヤツに牙を向いて飛びかかっていた。
まぁ、あっさり避けられてしまったが。
ザンネン(何?)。
「なんだよぉ。また叱られていた夢でも見たのか?」
自称・飼い主がヘラヘラ笑っている。
その姿まで何気に腹が立つ。
リアルでヤツに怒られて。
夢の中でも叱られて。
目を覚ましたら、いきなり瞳に映るはヤツの顔。
そして、今も。
ウトウトしていて、頭をもたげたらPCをカシャカシャしていたヤツが手を止めてコチラを向いた。
思わず視線があってしまった。
気分、悪!
おやつもくれないくせに!
嗚呼、未だに悪夢は終わらない・・・である・・・