空腹

空腹を満たすためいろいろなものに、食いつこう

SSDの容量、性能、耐久性、電力効率を高める「3D V-NAND」とは何か?

2014-07-11 17:27:31 | 日記
SSDの容量、性能、耐久性、電力効率を高める「3D V-NAND」とは何か? という記事を見つけました

NANDフラッシュには新しいアプローチが必要

 Samsung Electronicsが韓国ソウルで開催したSSDのプレスイベント「2014 Samsung SSD Global Summit」では、新製品である「Samsung SSD 850 PRO」の発表に先立ち、3次元構造のNANDフラッシュメモリ「3D V-NAND」の技術解説や市場トレンドについて講演が行なわれた。
•発表会リポートはこちら→ Samsung、3次元NAND採用で10年保証の「SSD 850 PRO」を発表
•レビューはこちら→ 「Samsung SSD 850 PRO」徹底検証――“3D V-NAND”で10年保証を実現した先進SSDの実力は?

 開会の挨拶を行なったキム・オンス氏に続いて登壇したジム・エリオット氏は、ITマーケットのトレンドについて解説。ノートPC、スマートフォン、タブレットなどのモバイルデバイスの普及、SNSの浸透などによって、モバイルのデータトラフィックが爆発的に増加しており、それに伴い、ITストレージの容量要求も上昇し続けていると紹介した。

 こうしたモバイルデータ爆発の時代において、省電力、省スペースかつハイパフォーマンスなNANDフラッシュメモリは、最適なソリューションであるという。

 実際にNANDフラッシュメモリは、PC、サーバ、スマートフォン、家電製品などさまざまな機器に搭載されている。その容量ニーズも増え続けており、SSDを中心に今後もさらに増えると予測した。

 そのうえで、同社がNANDフラッシュメモリ、SSDのいずれもトップシェアを獲得しているリーディングカンパニーであることを強調。これまでに市場のニーズに応えるため、プロセスルールの微細化とともに、MLC、TLC(3ビットMLC)といった新たな技術を業界の先頭に立っていち早く導入し、成功させてきたと主張した。

 一方で、同氏が指摘するのが、NANDフラッシュメモリにおける記録密度向上のスピードが鈍化し、収益性が下降傾向にあることだ。このまま従来のプロセスルールの微細化を続けても生産設備などに莫大なコストがかかる割に、記録密度の向上は限界が見えており、NANDフラッシュメモリには新しい挑戦、新しいアプローチが求められていることを強調した。

 その新しいアプローチこそが、NANDフラッシュメモリの3次元構造化、そして同社が実用化してSSD 850 PROに初採用した「3D V-NAND」というわけだ。

一戸建てから高層マンションへ

 3D V-NANDについての技術解説は、ジム・エリオット氏に紹介されて登壇したキーヒュン・キョン氏が行った。同氏は、NANDフラッシュメモリにおけるプロセスルールの微細化、高記録密度化の歴史を振り返りつつ、現在の1xnm(nmはナノメートル)世代やその先のプロセスルールの問題点を指摘した。

 なお、「1xnm」というのは業界独特の呼び方で、19nm前後のプロセスルールをいう。「1ynm」がより微細な16nm前後、「1znm」がその先の10nm台前半のプロセスルールを指している。

 同氏が、微細化に伴う問題として指摘するのが、セル間の電気的干渉と露光装置だ。電気的干渉はすでに1xnmクラスでも深刻な課題となっており、書き込みを行う際には、コントローラに複雑なエラー訂正アルゴリズムが必要としている。また、微細化を進めると回路パターンが狭くなるため、より短波長レーザーを使った高価な露光装置が必要になるとした。

 その課題を根本的に解決するのが3次元構造であり、同社が世界に先駆けて実用化した3D V-NANDだ。同氏はNANDフラッシュを住居に例え、従来のNAND構造は一戸建て、3D V-NANDは高層マンションのようなものだと説明した。

 限られた土地にたくさんの一戸建てを建てれば、必然的に1つ1つの家の大きさ、間隔とも小さくなり、隣り合う家に入居した世帯同士で騒音問題などのトラブルが発生しやすくなる。NANDフラッシュメモリにおけるセル間干渉はそれに相当するという。

 一方、高層ビルのように垂直方向に積み上げれば、一世帯あたりの居住面積、間隔とも小さくすることなく、たくさんの世帯が入居できる。

3D V-NANDを実現した3つのイノベーション

 キーヒュン・キョン氏によれば、3D V-NANDのコンセプトはシンプルだが、実用化への道のりは決して平坦ではなく、長年の研究開発の積み重ねによって実現できたことだという。

 一戸建てと高層マンションでは、異なる材料や建築手法が必要とされるが、従来のプレーナ型NANDフラッシュと3次元構造のNANDフラッシュの関係にもそれは当てはまり、「材料(Material)」「構造(Structure)」「統合(Integration)」といった3ステップの技術革新が必要だったと語る。

 絶縁体に電荷を注入するチャージトラップフラッシュ(CTF)の採用が「材料の革新」、3次元メモリセル(3D CTF)の開発が「構造の革新」、そしてそれをチャンネルホールで連結し、円筒状に積み上げるという「統合の革新」だ。

 東芝やMicronなど、他のNANDフラッシュメーカーも3D V-NANDに相当する3次元構造のNANDフラッシュの開発を進めているが、現段階で実用化できているのはSamsungのみとなる。これは、同社が早期から投資を行ない、研究開発を進めてきた成果だと胸を張った。

 3D V-NANDは、垂直方向にセルを生成するため、平面方向に極端な微細化をする必要がない。30nmクラスの露光技術のままセルの層を増やすことで記録密度を上げていくことができるため、セル間の電気的干渉の心配もなく、高価な露光装置も必要がない。

 つまり、同氏が指摘した微細化に伴う課題を根本から解決する。そして、その結果として、記録容量(記録密度)、パフォーマンス、耐久性、電力効率といったメリットをもたらす。

 記録容量、記録密度については、現時点では差がないものの、将来的な伸びしろが異なる。微細化による記録密度の向上では1セルあたり256Gビットで早くも限界が訪れるが、垂直方向にセルを生成する3D V-NANDには1Tビットまでのロードマップがある。

 セル間の干渉がないため、複雑なエラー訂正プロセスは不要で、シンプルなアルゴリズムでデータの書き換えを行えるため、1xnmに比べて書き換えの速度が約2倍、書き換え時の消費電力は約46%低く、電力効率が高い。耐久性(書き換え可能回数)についてはチャージトラップフラッシュの採用も大きく貢献しているとし、2~10倍に向上しているという。

データセンター向けの最新SSDも発表

 キーヒュン・キョン氏が3D V-NANDの解説を行った後、再びジム・エリオット氏が登壇し、「Samsung SSD Leadership」と題した講演を行なった。文字通りSSD業界における同社のリーダーシップをアピールする内容だ。

 SSD市場は、今後も成長を続けていき、容量需要は2018年には2014年の5.7倍になると予測した。中でも上昇が見込まれるのが、データセンター向けだ。設置スペースのコストと冷却コストを低減できるメリットから、TCO削減効果の高さが注目を集めている。また、仮想化トレンドがパフォーマンスと大容量ストレージスペースの要求を高めていることも紹介した。

 Samsungはこれまで、SSDのリーディングカンパニーとして、大容量化、高速化、低コスト化といったPCマーケットのニーズに応えるソリューションとして、TLC NAND搭載SSD、PCI Express対応SSD、NVM Express(NVMe)対応SSDなどを世界に先駆けて投入し続けてきた。データセンター向けも同様であり、今後も3D V-NAND技術とともに業界をリードしていくとした。

 なお、データセンター向けSSDについては、SSD 850 PROの製品発表に続いて、データセンター向けSSDとして、「Samsung SSD 845 DC EVO」と「Samsung SSD 845 DC PRO」の2製品が新たにお披露目された。

 SSD 845 DC EVOは、コンテンツ配信サーバなどリード中心用途向けの廉価モデルで、データセンター向けとしては初のTLC NAND搭載SSDだ。不意の電源断の際にライトキャッシュ中のデータが消失することを防ぐためのタンタルコンデンサを実装している。

 一方、SSD 845 DC PROはアプリケーションサーバやデータベース向けのSSDだ。ライトが集中する用途を想定してファームウェアのアルゴリズムを最適化しており、パフォーマンスの持続性が優れている。こちらは第1世代の3D V-NANDを採用しており、サーバ向けSSDの耐久性の目安であるDWPD(Drive Writes Per Day=1日あたりの全ドライブ書き換え可能回数)も10DWPDと高い。

凄い性能アップ ユーザーとしては価格低下が望みだけれど