私たちが本当に欲しいのは、パブリックよりも“わがままクラウド” という記事を見つけました
クラウドコンピューティングといえば、Webポータルから仮想マシンをクリックし即時購入するIaaS（Infrastructure as a Service）などのパブリッククラウドを思い浮かべる人が多いだろう。パブリッククラウドは、オンデマンド性、俊敏性、拡張性などに優れた画期的なサービスだ。
だが、エンタープライズ用途（既存環境のクラウド移行）で考えた場合、パブリッククラウドが必ずしも適しているとは限らない。パブリッククラウドは、セキュリティポリシーやシステム構成、パフォーマンス、サポートなどさまざまな項目で良くも悪くも自動化や標準化がされており、ユーザーの個別要求に応える仕様になっていないからだ。
実際、TechTargetジャパンが2013年3月に実施した読者調査では、パブリッククラウドを「既に導入済み」と回答した人は9.9％、「導入予定」はわずか6.4％だった。読者からの回答では、「流れはクラウドに向いていることは間違いない」と期待を寄せつつも、「マルチテナント環境はセキュリティやパフォーマンスが安定しないのでは」「ハードウェアも含めてシステムを全て自分たちでコントロールできないので、データの保全性が不安」という意見が多数寄せられた。他にも、「サーバ、ストレージ、ネットワークなどを自由に構成できない」「機器を持ち込めない」「ネットワーク設計に柔軟性がなく複数のLANを構成できない」といった制約がパブリッククラウドでは考えられる。
一方で、クラウドには、ハードウェア資産を持たなくてよく、面倒な保守業務もアウトソーシングできるというオンプレミス型にはない、大きなメリットがある。リソースを迅速に調達でき、サービスによっては他のクラウドと連携することも可能だ。ユーザー企業のIT調達にかかる時間やインフラ保守・管理の手間をオンプレミス型に比べて大幅に削減する効果が期待できる。
そこで注目されているのが、クラウドの特徴であるスピード感や管理負荷軽減、資産レスといったメリットを生かしつつも、個別要求に応えてくれる「ホスティング型プライベートクラウド」（「持たないプライベートクラウド」「Dedicated Private Cloud」「クラウド対応マネージドホスティング」とも呼ぶ）や、「ベアメタルクラウド」だ。これらのサービスは近年、ベンダー各社が続々とサービスを提供開始している。
ホスティング型プライベートクラウドやベアメタルクラウドの多くは、サーバ、ストレージ、スイッチなどの各種機器が事業者のデータセンターに設置され、企業ごとに必要な環境を月単位契約などで利用できる。構築・運用・保守を含めて事業者に委託できるため、ユーザーは調達コストや保守運用コストなどが抑えられる。ハードウェアスペックやシステム構成はユーザーのニーズに合わせて調整でき、場合によってはネットワークのLAN構成やアドレス体系も持ち込むことができる。多くは専有環境を構築でき、資産を持たずに月額料金で利用可能だ。サポートにも人が介在するため、何かあれば問い合わせることができる。システム構成を自由に変更できるため、リソースを他のユーザーとシェアするパブリッククラウドと比較して性能を確保できるなどのメリットがある。
ITインフラを資産として持ちたくないけどコントロールはしたい、ハードウェアの保守をアウトソースしたい、ハードウェア調達を迅速化したいなどの要望には応えつつも、パブリッククラウドの不安を払拭する―― 。ホスティング型プライベートクラウドはそのようなサービスだといえる。
代表的なサービス
ホスティング型プライベートクラウドの代表的なサービスとしては、以下が挙げられる。ここでは、企業名とサービス名、WebサイトのURLを紹介する。主なサービスの詳細は今後の連載で取り上げる予定だ。
ホスティング型プライベートクラウドサービス一覧（50音順）
企業名 サービス名
IDCフロンティア プライベートクラウド
IBM SoftLayer（ベアメタル／専有）
伊藤忠テクノソリューションズ cloudage
インターネットイニシアティブ IIJ GIOコンポーネントサービス
NEC NEC Cloud IaaS
KDDI KDDI クラウドプラットフォームサービス
KVH KVHクラウドソリューション プライベートクラウド
NTTコミュニケーションズ Biz ホスティング Enterprise Cloud
日立製作所 プラットフォームリソース提供サービスサーバサービス
ビットアイル ビットアイルクラウド プラットフォームサーバ
富士通 FUJITSU Cloud Initiative
ニフティクラウド 専有コンポーネントサービス
日本ユニシス U-Cloud IaaS
リンク ベアメタル型新アプリプラットフォーム
ホスティング型プライベートクラウドはパブリッククラウドほどのオンデマンド性や即応性は無いため、「偽クラウド」と揶揄（やゆ）されるケースもある。だが、カスタマイズを好む日本企業にとっては非常に親和性の高いアウトソーシングの形態といえるのではないか。
TechTargetジャパンでは、ホスティング型プライベートクラウドについてのテーマサイト「ユーザー企業が“本当に欲しい”クラウドを探る」を設置している。今後は、ホスティング型プライベートクラウドの市場動向や各サービスの紹介、事例、比較などのコンテンツを展開していく予定だ。
クラウド一度研究の必要あり
クラウドコンピューティングといえば、Webポータルから仮想マシンをクリックし即時購入するIaaS（Infrastructure as a Service）などのパブリッククラウドを思い浮かべる人が多いだろう。パブリッククラウドは、オンデマンド性、俊敏性、拡張性などに優れた画期的なサービスだ。
だが、エンタープライズ用途（既存環境のクラウド移行）で考えた場合、パブリッククラウドが必ずしも適しているとは限らない。パブリッククラウドは、セキュリティポリシーやシステム構成、パフォーマンス、サポートなどさまざまな項目で良くも悪くも自動化や標準化がされており、ユーザーの個別要求に応える仕様になっていないからだ。
実際、TechTargetジャパンが2013年3月に実施した読者調査では、パブリッククラウドを「既に導入済み」と回答した人は9.9％、「導入予定」はわずか6.4％だった。読者からの回答では、「流れはクラウドに向いていることは間違いない」と期待を寄せつつも、「マルチテナント環境はセキュリティやパフォーマンスが安定しないのでは」「ハードウェアも含めてシステムを全て自分たちでコントロールできないので、データの保全性が不安」という意見が多数寄せられた。他にも、「サーバ、ストレージ、ネットワークなどを自由に構成できない」「機器を持ち込めない」「ネットワーク設計に柔軟性がなく複数のLANを構成できない」といった制約がパブリッククラウドでは考えられる。
一方で、クラウドには、ハードウェア資産を持たなくてよく、面倒な保守業務もアウトソーシングできるというオンプレミス型にはない、大きなメリットがある。リソースを迅速に調達でき、サービスによっては他のクラウドと連携することも可能だ。ユーザー企業のIT調達にかかる時間やインフラ保守・管理の手間をオンプレミス型に比べて大幅に削減する効果が期待できる。
そこで注目されているのが、クラウドの特徴であるスピード感や管理負荷軽減、資産レスといったメリットを生かしつつも、個別要求に応えてくれる「ホスティング型プライベートクラウド」（「持たないプライベートクラウド」「Dedicated Private Cloud」「クラウド対応マネージドホスティング」とも呼ぶ）や、「ベアメタルクラウド」だ。これらのサービスは近年、ベンダー各社が続々とサービスを提供開始している。
ホスティング型プライベートクラウドやベアメタルクラウドの多くは、サーバ、ストレージ、スイッチなどの各種機器が事業者のデータセンターに設置され、企業ごとに必要な環境を月単位契約などで利用できる。構築・運用・保守を含めて事業者に委託できるため、ユーザーは調達コストや保守運用コストなどが抑えられる。ハードウェアスペックやシステム構成はユーザーのニーズに合わせて調整でき、場合によってはネットワークのLAN構成やアドレス体系も持ち込むことができる。多くは専有環境を構築でき、資産を持たずに月額料金で利用可能だ。サポートにも人が介在するため、何かあれば問い合わせることができる。システム構成を自由に変更できるため、リソースを他のユーザーとシェアするパブリッククラウドと比較して性能を確保できるなどのメリットがある。
ITインフラを資産として持ちたくないけどコントロールはしたい、ハードウェアの保守をアウトソースしたい、ハードウェア調達を迅速化したいなどの要望には応えつつも、パブリッククラウドの不安を払拭する―― 。ホスティング型プライベートクラウドはそのようなサービスだといえる。
代表的なサービス
ホスティング型プライベートクラウドの代表的なサービスとしては、以下が挙げられる。ここでは、企業名とサービス名、WebサイトのURLを紹介する。主なサービスの詳細は今後の連載で取り上げる予定だ。
ホスティング型プライベートクラウドサービス一覧（50音順）
企業名 サービス名
IDCフロンティア プライベートクラウド
IBM SoftLayer（ベアメタル／専有）
伊藤忠テクノソリューションズ cloudage
インターネットイニシアティブ IIJ GIOコンポーネントサービス
NEC NEC Cloud IaaS
KDDI KDDI クラウドプラットフォームサービス
KVH KVHクラウドソリューション プライベートクラウド
NTTコミュニケーションズ Biz ホスティング Enterprise Cloud
日立製作所 プラットフォームリソース提供サービスサーバサービス
ビットアイル ビットアイルクラウド プラットフォームサーバ
富士通 FUJITSU Cloud Initiative
ニフティクラウド 専有コンポーネントサービス
日本ユニシス U-Cloud IaaS
リンク ベアメタル型新アプリプラットフォーム
ホスティング型プライベートクラウドはパブリッククラウドほどのオンデマンド性や即応性は無いため、「偽クラウド」と揶揄（やゆ）されるケースもある。だが、カスタマイズを好む日本企業にとっては非常に親和性の高いアウトソーシングの形態といえるのではないか。
TechTargetジャパンでは、ホスティング型プライベートクラウドについてのテーマサイト「ユーザー企業が“本当に欲しい”クラウドを探る」を設置している。今後は、ホスティング型プライベートクラウドの市場動向や各サービスの紹介、事例、比較などのコンテンツを展開していく予定だ。
クラウド一度研究の必要あり